夜襲
――夕刻 謁見の間――
ガリオラ
「しかし騎士団長殿、確かなんでしょうなあ、その襲撃の情報とやらは。にわかには信じられませんが。」
少し非難めいた言い方をするガリオラ大臣をヤギウがギロリと睨む。
「信じられないのであれば部屋に戻って休まれるがよろしかろう。明日の朝にはその首と胴が離れていなければ良いですな。」
サハリ
「お二方ともお控えください。王の御前ですよ。それに何もないに越したことはないではないですか。」
ムルタ
「その通りだ。この王都は絶対に守らねばならん。団長、大臣、協力してくれ。」
「御意」
「は、はあ、まあ王がそうおっしゃるのでしたら。」
サハリ
「それでは私は教会をしっかりとお守りすることにします。皆さまご無事で明日の朝を迎えましょう。」
ジント
「先生、教会1人でいては危険です。王様たちとここにいた方が・・・」
サハリ
「私は司祭ですので教会を守らないといけません。それに今日は王都内の有志が教会の警護に来てくれることになっています。施設を預かる私が不在では示しがつかないでしょう。それでは。」サハリは部屋を出て教会へと戻っていった。
ディーア
「サハリ司祭大丈夫かしら?」
ジント
「教会周辺も多めに人を配置するようにお願いしとくよ。」
今日もディーアの胸元にはネックレスの宝石が金色に輝いている。(そういえばルーア様はあの状態でも意識あるのかな。もしあるなら1回目に何が起こったか観測できているかも知れないな。)ふとそんなことを考えていた。
ガリオラ
「ではワシも執務室におるから何かあったら呼んでくれ。」
大臣もここから少し離れた執務室へと去っていった。
ヤギウ
「ではジントよ。ワシらも行くぞ。」
ヤギウは指令室、ジントは城内の警備に着く。
ジント「ケン,ヒカリ! ディーア・・王女様たちを頼む。何かあったら大声で呼んでくれ。すぐに駆け付ける。」
「ああ、任せておけ。お前こそ気をつけろよ。」
「アンタこそ油断してやられるんじゃないわよ。」
ヤギウとジントが謁見の間を退出しヤギウは指令室に入った。
ジントは城内の見回りをする。
ーー23時過ぎーー
ジントが教会の傍を通りかかると教会の扉付近には10名ほどの兵士が警護にあたっていyた。周囲にも20~30名ほど警備がいるようだ。
(これならとりあえずは大丈夫だな。)そんなことを思っていると教会の扉が開き中からサハリの声が聞こえてきた。
「「親愛なる我がしもべたちよ、汝らに我の祝福を授けよう。共に同じ夢を見、同じ道を歩む幸福を与えよう。真に信仰厚き者たちよ、さあその手に剣を取り、共に覇道の道を駆け抜けよう。征道の尖兵」」
(なんだ?詠唱?)ジントがそう考えた瞬間
教会を中心に王都全体を結界が取り囲む。そして辺りにいた兵士たちが黒騎士へと変貌していく。
「おい、お前大丈夫か?」ジントが近くにいた兵士に話しかけるが完全に黒騎士へと変貌した兵士は剣を抜きジントに斬りかかる。
ジントも剣を抜き受け流すが他の兵士たちも黒騎士になりこちらへ向かってきた。
(くっ!彼らを切り捨てる訳にはいかない、それにディーアが心配だ。一旦謁見の間に戻ろう。まさかサハリが黒幕だったとは・・・)「「迅速」」
キン!ガン!ギン!城の中でも黒騎士と守備兵の戦闘があちこちで起こっていた。
「うわあああ!」1人の守備兵が黒騎士に斬られそうになっている。
(仕方ない!)「「光弾」」ジントはなるべく威力を抑えて光弾を放つ。
光弾は黒騎士の右肩にあたり黒騎士の右肩ごと右腕を吹っ飛ばした。
「大丈夫か!」ジントは守備兵に駆け寄る、が、後ろから先ほどの黒騎士が残った左腕で剣を持ち斬りかかってくる。
バサ!!ジントは黒騎士を袈裟懸けに叩き切った。
(すまない・・)ジントは元仲間を救えなかったことを心の中で詫びる。
「た、助かったよ。ありがとう。武運があったらまた会おう。」先ほど襲われていた守備兵は体勢を立て直し戦列に復帰していった。
(それにしても黒騎士になっていない者も多くいるようだ。黒騎士化する者とそうでない者の違いはなんなんだろう?)
(そうだ。急がないと・・)ジントは立ち塞がる黒騎士を躱しながら指令室の前までやってきた。扉を開け中を除くが誰もいない。(師匠は謁見の間に向かったのか)
謁見の間に近づくと扉があったところは爆発でもあったのか周りの壁ごと吹き飛ばされて廊下に瓦礫が散乱していた。中で戦っている音が聞こえる。
ジントは部屋に駆け入り中を見回す。
部屋の中央に黒ローブを纏った奴、その周りに黒騎士30名くらいが陣取っており
奥の控えの間前に師匠と騎士2名、ケンが追い込まれていた。
辺りには訪問団の護衛で同行するはずだった直属部隊が無残な姿で転がっている。
「師匠!ケン!」
「その黒ローブの女は真空刃みたいなのを飛ばしてくるぞ。気をつけろ!」ケンが叫ぶ
「不覚・・不覚じゃ襲撃が分かっておったのにむざむざ主君を討たれてしまうとは・・」ヤギウが口惜しそうにつぶやく。
(主君を討たれる?)その言葉に玉座を見るとムルタ王が座っている。その胸には槍が突き刺さっていた・・あれはどう見ても・・
黒ローブ
「あら、新しいお客さん?ああ、誰かと思えば・・遅かったのね。あとはそこの4人と中の2人、それとあなたでおしまいよ。」
「じゃあ、来てもらって早々悪いけど、さようなら。」




