後編
フォールズ。未界に生息するこの生物の生態について分かっていることは、多くの個体が圧倒的な力を持った筋肉質の人型、強靭な皮下組織、角や翼や鋭い爪と牙、体長は3メートルから5メートルほどあり、恐ろしい顔をしていることだ。食事は未界の果物という説があるが、食べているところは滅多にみられない。そして、何より一般的に知られていることは、人間を見たら襲い掛かってくる狂暴性だ。理由は不明だが、フォールズは同族以外の生物を殺傷しなければ気が済まない性質を持っているらしい。食べるためでもないのに人間に襲い掛かってくるのだから質が悪い生物なのだ。
そんなフォールズに対抗するのは、未界から現れた木に実る果実を食べた少女たちのみ。彼女たちによって編成された討伐隊だけ。彼女たちは『魔法少女』と呼ばれるようになった。
??91年 5月1日 午前10時
「『ゴースト』の分身でフォールズを確認!」
「大変! 皆、あたし先に行ってくる! 『ダブル』!」
「ちょ、他の皆に連絡を……ちっ! 『ドライブ』!」
「はぁ、連絡はわたしの方でやっとくか……」
魔法少女の第三期生(G3)は今日も討伐隊としてフォールズと戦う。今日は壁からはみ出てきた大量のフォールズとの戦闘だった。
「第三部隊、魔法少女アクセル、メテオ、ブレイブ、スペクター、クローズ、全員揃いました!」
「よし、行くぞ! フォールズどもの駆除だ!」
「「「「はいっ!!」」」」
魔法少女たちは片っ端からフォールズの駆除にあたる。一人ひとりが強力な魔法と戦闘技術を持っているのだ。
「『ドライブ』! はぁっ!」
「『ダブル』! おりゃあ!」
魔法少女アクセルの『ドライブ』は高速移動の魔法、ブレイブの『ダブル』は身体能力強化の魔法。アクセルの高速剣技がフォールズを切り裂き、ブレイブの拳が叩き潰すのだ。
「『メタモルフォーゼ』炎! 雷!」
「援護する……『ゴースト』分身……!」
「僕もいるよ! 『ビルド』!」
魔法少女メテオの『メタモルフォーゼ』は形状・形質変化の魔法、スペクターの『ゴースト』は実態のある幻を作る魔法、クローズの『ビルド』はあらゆる物を構築する魔法。メテオの剣に炎と雷の属性が付与され、スペクターの分身が援護する。更にクローズがフォールズの足元に罠を構築して動けなくする。見事な連携だ。
やがて、他の部隊が到着するまもなく壁からはみ出たフォールズは全滅した。
「よし! フォールズの殲滅を確認! 任務完了だ!」
「えへへ、やったぜ~!」
「こんなもの朝飯前よ」
「わたし達、強いですから……」
「僕達、頑張しました!」
フォールズの駆除に魔法少女達は微笑みあった。ただ、そんな彼女たちの顔はすぐに曇る。もうすぐ正午になるからだ。
「大変! もうすぐお昼ご飯の時間じゃん! このままじゃ学食に行けないよ!」
「ブレイブ、落ち着け。昼飯くらい後でも……」
「コンビニは嫌よリーダー? うちの高校の学食ならバランスがとれてるからありがたいのよ」
「そうなの? わたし知らなかった……」
「僕も今日の学食食べたいです! 今から走っていけば間に合いますよ!」
「よ~し! 皆走ろー!」
「……ったく、仕方ないか」
高校の学食目当てに彼女たちは任務完了後に走っていった。そう、彼女たち魔法少女は高校生なのだ。討伐達の魔法少女たちは皆、中学~大学生の少女で構成されている。つまり、ほとんどの構成員が十代の少女で構成されているのが討伐達なのだ。
「やったー! 間に合いそう!」
「当たり前だろうが。私達は誰だと思ってるんだ」
「リーダーのアクセルは間違いないじゃない。私達の中で最速なんだし」
「でも、わたし達って普通の人よりも優れてますし……」
「ご飯ご飯!」
彼女たち魔法少女の大半は討伐隊の使命と学業を常日頃こなしている。怪物退治と学生生活を。そんな大変な日常を過ごしているのだ。それでも、彼女たちは戦い続ける。未知の世界から湧いてくる怪物たちから皆が生きる世界を守り続けるために。
それが魔法少女。魔法という強大な力を正義のために使う少女たちなのだ。
おわり




