SCP-268-JP 終わらない英雄譚
リアルが忙しく、投稿が遅れました!すみません。今後も不定期になりますが、気長にお待ち下さい。
今までは報告書通り、プロトコル→説明の順でしたが、今回はAとかBとか分かりにくいから混ぜてみました。読みやすくなりましたかね?
相変わらず書き方模索中……未だ定まらず……
もっと軽い感じに紹介するべきなんでしょうか?
オブジェクトクラス:Euclid
SCP-268-JPはタイトルらしき1文が刻印された黒の革表紙を持ち、計測不能な枚数のページで構成される書籍群。現在、財団は専用ケージ内に計███冊収容している。本型…沢山…嫌な予感がひしひしと…
SCP-268-JPは日本国内で、危険を伴う救命活動を行ったことで死亡した人物によって、命を救われた過去を持つ人物(報告書では助けられた人をSCP-268-JP-A、助けたせいで亡くなった人をSCP-268-JP-Bと表記。今回は省略してそれぞれA、Bとする)の前に出現する書物。自宅、勤務先、外出先など出現場所は様々。そのため、Aになりそうな人はリストアップと監視を、失踪したら調査を行う。財団職員での該当者にはこのオブジェクト情報が公開される。
出現した時のSCP-268-JPには『「Aっぽい表現」を救った「Bっぽい表現」の英雄譚』というタイトルが刻印されている。内容は、始めの数ページに「序章」としてBがAを救った経緯が簡潔に書かれ、その後は白紙になっている。出現時期に規則性はなく、事前に予測は困難である。
出現したSCP-268-JPにAが触れることでAは消失、行き先は不明である。その後、SCP-268-JPには24時間ごとに1章追加される。SCP-268-JPを損傷や汚染しても新品まで回復するため、破壊は無意味である。
追加される章の内容は、Aが命の危機に晒され、Bがそれを助けるかどうかの選択を迫られるというもの。この時のAは消失時の姿と記憶、Bは死亡時の姿と記憶を保持しているように見える。つまり、Aだけ成長している…元少女で美しく成長したAと2度も命を救ってくれたイケメンなBの恋物語が始まる…なんて事は勿論ない。そんな優しい世界ではない。だってSCPだから(無慈悲)。
Bが「助けよう!」と思えば必ずAを助けられる。そしてB自身は死亡。追加された章はBを賞賛する内容に。そして24時間後の次の章ではまた違った状況でAが命の危機に…の繰り返し。周囲に人がいることもあるが、完全にモブもしくはNPC 状態。何が酷いって、文章からBだけが前の章の内容を記憶していると思われること。何度も何度も自分の命を捨ててまでAを助けても、次の日にはまた同じ状況。それをAは覚えてない。つまり恋にも発展しなi(殴)
Aが直面する危機的状況の例
地下鉄のホームから転落
鉄骨の落下
川に流される
毒ヘビに噛まれる
銃を所持した暴漢に捕まる
SCP-███-JPっぽいものに[編集済]される
Aさんよ、家から出ないでくれたまえ…というか、え、SCP出てくるの!?それならどっちも死なないだけマシなのかもしれない(麻痺)。
さて、ここで疑問が1つ。BはAを救うかどうかの選択が出来ると書いた。ならば、救わないと決めたならば…?
それは勿論、想像通りの悲劇的な結末が待っている。
BがAの救出を諦めた場合、状況から分かる通りAはそのまま死亡する。そしてAの死体はそのまま現実世界のSCP-268-JPの近くに出現する。そしてSCP-268-JPにはBがAの死を見届け、「霧のように消滅する様子」が最終章として描かれる。さらに、SCP-268-JPの表紙のタイトルがBを侮辱するものに変わり、特異性を失う。
Bは何度も何度もAを救い、何度も何度も自身の死を経験し続ける。初めにAを助けなければ良かった…と考え始めるのかもしれない。そんな状況に疲れ果てたBはそのうちAを助けないことを選ぶ。Bのみが必ずAを救える状況にあるためBは、救えるのに救わなかった、見殺しにしてしまった、と後悔するだろう。自らを責め、後悔しながらBは消失。Aも死を迎えるため、現実でのBがAを救ったという事実すら無に帰してしまう。さらに、何度も救ったことは横に置かれ、見捨てた所だけに焦点をあてたようなタイトルをつけられる。
なんと言う胸糞さ…
さて、これに対する財団の対応は難しい。開くや読むという行為ではなく、触れただけで特異性が発現するからだ。財団はAが触れるリスクを減らすため、プロトコル・ヴィラン-268を制定している。様々な救命活動の実例をあげ、助けた人と助けられた人の両方を徹底的に批判、侮辱する本を執筆。そのデザインとタイトルをSCP-268-JPに似せ、財団のフロント企業である███書房でシリーズ出版する。すると、このシリーズは民事訴訟されるなどし、案の定忌避すべき問題作として有名に。この作戦により、被害発生件数は約15%減少したそうな。
家とかに出現したら、今すぐ手に取って捨てに行っちゃいそうだけど(笑)
ここで、いくつかSCP-268-JPを紹介しよう
SCP-268-JP-17(全96章)
A:肝癌のためBから肝移植を受ける
B:肝移植の手術後、合併症により死亡
タイトル「病魔に苦しむ妹を救った、心優しき兄の英雄譚」
→「たった一人の肉親を見殺しにした屑野郎の物語」
最終章:大型車両に撥ねられ内臓破裂
SCP-268-JP-42(全127章)
A:Bの実子
B:Aの出産時母体か胎児かの選択で出産を決意、死亡
タイトル「まだ見ぬ我が子の命を救った、愛深き母親の英雄譚」
→「無情なアバズレの息子として生まれたがために泣き叫びながら燃え尽きた少年の悲劇」
最終章:炎上する家屋に閉じ込められ焼死
SCP-268-JP-79(全186章)
A:派兵先の███での敵襲時Bにより救命
B:Aを銃撃から庇い死亡
タイトル「未来ある若き兵士を救った、尊敬すべき上官の英雄譚」
→「死に瀕する部下を我が身かわいさに見捨てた腰抜けのおはなし」
最終章:輸血ができなかったことによる失血性ショック
SCP-268-JP-106(現在2███章)
A: SCP-███-JPに遭遇したことで[編集済]となるも、オブジェクトの無力化により影響下から脱した
B:エージェント・佐久間。SCP-███-JPの回収任務中に無力化に成功したが殉職
タイトル「無辜の幼き少女を救った、忠勇なる財団エージェントの英雄譚」
→「N/A」
追記:エージェント・佐久間は章の開始時に毎回何かを叫ぶが、内容は全て検閲されている
エージェント・佐久間は既に2000回以上、つまり6年近くも繰り返している。強い(確信)。それ以外の人も100回近く救ってるの偉いよね…精神力が半端じゃない。
さて、彼の命を賭した行動は実を結ぶのだろうか。そして彼は毎回何を叫んでいるのだろうか。
終わらない英雄譚に終わりはあるのだろうか。
今回の紹介を読んで嫌な気持ちになったアナタ、そんなアナタにおすすめのTale記事がある。SCP-565-JP「手のひらヒーローズ」とのコラボである。こちらのオブジェクトも負けず劣らず胸糞なお話。しかし、胸糞と胸糞を掛け合わせることによってスカッとする…かもしれない。
エージェント・佐久間頑張って!と思ったアナタにもおすすめのTale記事が。こちらはSCP-964-JP「セカイ系ハンター」とのコラボ。彼がどんな気持ちで少女を助け続けるのか、終わりがあるのか…
もう1つだけ。SCP-268-JPに書き手がいたら?英雄譚の傍観者にしかなれない彼は何を考えるのか。
ちらっと出てきたオブジェクト2つも、そのうち紹介してみようと思う(多分)。
「SCP-268-JP」 home-watch氏作
http://scp-jp.wikidot.com/scp-268-jp
「表題:少年の夢と信頼を踏みにじった、エセヒーローどもの茶番劇」 home-watch氏作
http://scp-jp.wikidot.com/micro-heroic-tale
「駄作の一章、祈りの一頁」 Nimono-oishi氏作
http://scp-jp.wikidot.com/nimono-oishi-tales-005
「英雄、などではなく」 aster_shion氏作
http://scp-jp.wikidot.com/your-turn
ちなみに、エージェント・佐久間が叫んでいたことは下書き時点では記述されていたそう。しかし、投稿するにあたって削除されたということでここでは紹介しません。皆さんの想像力にお任せします。
次回紹介するSCPは――と言いたい所ですが、次回はSCP紹介じゃありません。ここしばらく忙しく、紹介文のストックも切れかけなので小話を1個挟んでいきたいと思います。
財団職員、どんな人がいると思う?真面目な人?正義感溢れる人?いやいやまさか!ぶっ飛んだ人間(?)だらけの財団、みんなも就職してみないか?