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第4話 「邂逅」

今回は新たな拠点と、新キャラクターが登場します。

少しずつ『自由落下』の世界が広がっていく回になっています。


ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!

車は静かに山道を走っていた。


窓の外を流れる景色は、いつの間にか街並みから深い緑へと変わっている。


エンジン音だけが一定のリズムを刻む。


「……。」


俺は窓にもたれ、ゆっくりと目を閉じた。


張り詰めていた神経が、少しずつほどけていく。


意識は静かに沈んだ。


◇


白い。


どこまでも。


空もない。


地面もない。


立っているのか、浮いているのかさえ分からない。


そんな世界だった。


その白の中心に、一人だけ立っている。


人影。


男か女かも分からない。


顔を見ようとする。


だが。


どうしても認識できない。


目も鼻も口もある。


それは分かる。


なのに、顔として頭に入ってこない。


まるでそこだけ世界が拒絶しているようだった。


コツ。


コツ。


足音だけが響く。


人影が歩いてくる。


一定の速度で。


俺の目の前まで来ると止まった。


「……誰だ。」


返事はない。


いや、聞こえないだけだ。


俺は一歩踏み出した。


人影も一歩踏み出す。


距離は変わらない。


近付いているはずなのに。


永遠に届かない。


やがて人影は、ゆっくりと右手を差し出した。


反射的に体が強張る。


敵だ。


理由もなく、そう確信した。


伸ばされた指先が、あと少しで届く。


その瞬間、


世界が砕け散った。


◇


「着いた。」


御鏡の声で目を覚ます。


目の前には、大きな山荘が建っていた。


周囲は木々に囲まれ、鳥の鳴き声だけが響いている。


人の気配はない。


「ここは?」


「祖父の別荘。」


御鏡は鍵を回しながら答える。


「今は俺たちの拠点だ。」


玄関をくぐる。


中は想像以上に広かった。


大きなテーブル。


壁一面の日本地図。


各地に刺さる無数のピン。


机にはノートパソコンと資料が山積みになっている。


「……秘密基地みたいだな。」


思わず漏れた言葉に、


御鏡は少しだけ笑う。


「小学生か」


靴を脱ぎながら続ける。


「Beginningが確認され始めたのは約一年。」


「一年……。ビギニング?」


「俺たちはそう呼んでる。」


「願いが引き金になることが多い。」


「何を願ったかで能力は変わる。」


「だが、能力についてまだ分からないことだらけだ。」


なるほど。世界を知り尽くした集団ではない。


巨大な組織でもない。


ただ。


同じ異常を追う人間たちが集まっているだけ。


そう感じた。


「真。」


廊下の奥から声がする。


黒髪の少女が姿を現した。


肩まで伸びた髪。


静かな表情。


そして。


透き通るような碧色の右目だった。


左目は眼帯をしている。


「君も能力者?」


「はい。今見佳子(いまみ かこ)高1です。」


御鏡が俺を見て


「能力を視てもらう。」


「落さん。少し近づいてもらえませんか?」


俺は言われるがまま一歩前へ出た。


彼女は静かに目を閉じる。


部屋から音が消えた。


数秒後。


「……感じる。」


小さな声。


「…開眼。」


右目が淡く光を宿した。


その視線が俺を捉える。


一秒。


二秒。


三秒。


「……え。」


少女の呼吸が止まる。


御鏡が眉をひそめた。


「佳子?」


返事はない。


少女は食い入るように俺を見続ける。


「嘘……。」


額を汗が伝う。


「広い……。」


御鏡が一歩前へ出る。


「出力か?」


少女は首を振った。


「違う……。」


息が震える。


「範囲……。」


部屋の空気が張り詰める。


彼女の瞳はなおも、何かを追い続けていた。


まるで。


果てのない空を見上げているように。


「まだ……。」


かすれた声。


「まだ終わらない……。」


御鏡の表情が変わる。


「……佳子。」


「どこまで視える。」


彼女は小さく首を横へ振った。


「……分からない。」


一滴の汗が床へ落ちる。


少女は震える声で言った。


「広すぎて……全部、視えない。」


俺は何を言われているのか分からなかった。


ただ一つだけ。


御鏡が息をのんだ。


「……そんなはずはない。」

第4話を読んでいただき、ありがとうございました!


ついに新たな拠点へ。

そして、佳子が視た落の能力とは……?


次回からはBeginningなどについて、さらに物語が動きます。


ブックマークや評価、感想をいただけると、執筆の励みになります!

次回もよろしくお願いします!

xでキャライメージ持てるように画像なども投稿してます!

https://x.com/otiaiam

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