第五十九話 レレ様とのお茶会3
「っ……な、何かしら? 我が家でできることは諜報くらいのものだから、慎重に言葉を選ぶことねっ」
何か後ろめたいことのある者であれば、このレレ様の言葉も『自分の身を省みろ』くらいの内容に聞こえるのだろう。しかし、私には、『私の家の力も使える分は貸してあげる』と聞こえる。そして、それはきっと間違ってはいないのだろう。
「レレ様、それとは、ちょっと、違います。ただ……恋愛相談、したくて……」
そう、私は誰かを貶めたいわけでも、犯罪を隠したいわけでもない。ただ、レレ様の意見を聞きたいのだ。
「れっ、恋愛相談!? ちょっ、あなた、人選を間違っているのではなくて!?」
クワッと目を見開いて、言葉通りに驚いているレレ様。ただ、私だってちゃんと考えてはいる。
「でも、恋愛相談、は、友達と、するものだって……」
「ふんっ! し、仕方ないですわね! 私以外に友達が居ないリコさんのために、恋愛だろうがなんだろうが、相談にのって差し上げますわっ!」
顔を真っ赤にしてプイッとそっぽを向くレレ様。その様子は、何だかとても可愛い。
「レレ様、ありがとう、ございます! 私、レレ様、みたいに、可愛くなりたい、です! 好きな人、に、可愛いって、思って、もらいたい、です!」
可愛いレレ様ならば、きっと、何かアドバイスをもらえる。そうでなくとも、親身になってくれるのは確実だ。
「かっ……リ、リコに比べれば、当然、私の方がか、か、か……やっぱり違うわよ! 私よりもリコの方が可愛いじゃない!!」
ツンがデレを発揮するその瞬間を、私は目撃してしまった、ということなのだろうか?
レレ様のその言葉に驚いていると、レレ様は大きく息を吐く。
「自覚がないようですわね。無口で小柄で、健気で黒い耳が可愛くて、性格だって優しくて、それなのに強くて、そんなあなたに惚れない男なんてこの世に存在を許すべきじゃありませんわ」
「え、ぅ?」
何か、最後にとんでもない言葉があったような気がしたが、それ以上にレレ様に褒め殺されてあたふたとしてしまう。
「だから……さぁ、洗いざらい、全部吐きなさい?」
そして、ニッコリと……しかし、さすがは諜報と拷問に長けた家柄らしく凶悪な顔で微笑んだレレ様に、私は、セインさんとの出会いから今までを全て、話すこととなった。




