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私、異世界で獣人になりました!  作者: 星宮歌
第二章

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第三十六話 解決策と疑念

 きっと、ミーナさんはこの店を離れたくないのだろう。それが分かるくらいには、ミーナさんの表情は強張っていて、無理に浮かべた笑顔が痛々しかった。だから……。



「いえ、その必要はありませんよ」



 セインさんのその言葉に、私もミーナさんも、いつの間にか俯いていた顔を上げる。


 ゼラフは、色々と問題を起こしているとはいえ、この国の貴族であることに変わりはない。にもかかわらず、セインさんは確信を持ったような表情だった。



「詳しくは話せませんが、この件は私に任せてください。もうすぐ、私の部下がここに来ますので、彼に護衛をしてもらえることになるでしょう」



 どういうことだろうか、と内心、首を傾げる中、ふと、魔族についての知識が蘇る。



『魔族は、片翼を見つけた際、その片翼関連での問題が発生した場合、特例として様々な手段を講じることが可能である』



 なお、具体的な手段に関しては、個々の役職によって異なるし、それを公にすることはないので、ほとんどが不明だ。しかし、近衛騎士であるセインさんが、自分の都合で部下を動かすということは考えづらい。そもそも、ゼラフとは初対面のようでもあったことだし……。



 じゃあ、もしかして……。



 片翼のために、部下を動かしているのでは?


 そんな予測に、サッと血の気が引く。



 セインさんの、片翼は、ミーナさん……?



 見れば見るほど、庇護欲を誘う姿のミーナさん。美少女といっても過言ではないミーナさん。美男美女の、とってもお似合いのカップルに見える、セインさんとミーナさん。


 目の前が真っ暗になるとは、まさにこういうことだったのだと、漠然と思考の隅で考える。



 でも、まだ、セインさんは片翼だと言ったわけじゃない。それなら、襲って既成事実を作ってしまえば……?



 ぼんやりと掠めるキケンな考え。ただ、それがキケンなのだということはちゃんと理解できていて、即座に否定する。



「リコさん? やはり、まだ体調が良くないのでは?」


「っ……」



 ふいにセインさんに心配されて、私は言葉に詰まる。



 この心配も、きっと、ミーナさんのために……。



 そう考えると、もう、心の中はグチャグチャだった。



「ご、めん、なさい……。やっぱり、もう、帰ります、ね?」



 これはもう、早く帰って、一人になった方が良い。そうは思うのに……。



「っ、医者を呼びましょう! いえ、近くの診療所へ行く方が早いですねっ」



 途端に慌て出したセインさんは、そう結論づけると『失礼』とだけ言って、私を抱きかかえる。



「へ?」


「すみませんが、部下はすぐに来るので、私達はこれで失礼させていただきます」


「え? は、はい、お気をつけて!」



 そうして、私は何が何だか分からないまま、セインさんに抱えられて病院へと運び込まれることとなった。

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