40 初PT(主人公とは別人)
一月十五日、サタンの侵攻イベントの集計が終わりランキングが公表された。いやー敵が沢山湧いたけど、ライバルも多くてそれほど数が倒せなかった。まあ、今回は敵に会えるかは運次第だったし、単独で倒した数なんて、絶対一位になれると思わなかったし。
スムージーを飲みながら、単独討伐ランキングを確認する。百位で四千体越とか、どんだけ討伐してるんだよと言いたくなる。十位で五千体を超えた、笑える。スムージーを吹き出さないように気を付けないと。
三位で六千体越! どうやったら倒せるんだっつうの、思わず咳き込みそうになった。そういえばカトウさんランキングに出てなかったな、流石に一人で十六万体以上も狩れないよね。二位が六千六百六体か、惜しいなあと六十体でゾロ目だったのにな。で、一位が十二万千三百二十体とブブブッー、ゲホッ、ゲホ、なんじゃそりゃ、スムージーを吹き出してしまった。
相変わらず滅茶苦茶だなカトウさん、次は負けない、とか思ったけど同じ土俵にさえ乗ってなかったわ。しかし、どんなプレイスタイルだったのかな、後で聞いてみようっと。とりあえずSNSにお祝いメッセージを送っとかないとな。
今回のイベントで一位から百位には“デーモンスレイヤー”の称号が与えられ、悪魔系モンスターに与えるダメージが増加する。一位は十%、二~十位が九%、十一~二十位が八%、という感じで順位が低くなるほど下がっていく。
そうなるとカトウさんて、“断食マスター”の称号で満腹度百%で百%増しダメージ、“真のザーコキラー”で悪魔系に二倍(百%)増しダメージ、“デーモンスレイヤー”で悪魔系に十%増しダメージだから、合計で二百十%増しダメージじゃん、とんでもないわー。火魔法も素でLV7とか、うちのクランメンバーでも最大でLV6なのに、どんだけぶっ壊れなんだろうな。
しかも今回のイベント参加者全員に、倒した悪魔モンスター一体につき百Gがボーナスとして与えられているから、約十二.一MGも貰ってんじゃん、羨ましいわー。
公式ホームページには待ちに待った情報が掲載されていた、そう、血盟システムの実装である。これでチャットがしやすくなるからそれだけでもありがたい。また本拠地、血盟バトルなども実装されるので、滅茶苦茶楽しみだ。さてAWにログインするかなと。
『カトウさんこんにちは、お久しぶりです。イベント討伐ランキング一位おめでとうございます。え? ついにチュートリアルを止めて普通にプレイを始めたのですか? 目的達成おめでとうございます。はい、相談? いいですよ』
なるほど、職業についておらず、初期装備で、攻撃系範囲魔法使いだから、なかなかPTに入りづらいと。え? LV15? 先日LV11でしたよね? どうなってるのー、でも十二万体も倒せばLVは上がるよね。
それにしてもカトウさん程のぶっ壊れなら、全然一緒にPT位組むのにな。え? 火魔法LV8まで上がったの? こわっ、とんでもないわ。
はいはい、他には何かあるんですか、プレイスタイルに合わせた装備や職業を選ぼうとしていると、火と風でヒーラーじゃなければ、魔法使いですよね? えっ放火魔? ゴホッゴホッ。凄い効果だな放火魔、全然良いじゃないですか、これなら私たちと一緒に狩り出来るんじゃないの?
「え? PT組んで一緒に戦って頂けるんですか? しかも装備も貸していただけるなんて、是非お願いします!!」
『今は、ダワーオラなのね。じゃあテレポーターを使ってトオキヨに飛んで、そこからハママイに飛んでください。え? 歩いていけないかって? それじゃあ今日は無理よ、戦闘無しで丸一日位かかるんじゃないかしら』
このゲーム、世界が無駄に広いからテレポーター使わないと知り合いと遊べないのよね。逆にテレポーターがあるから遊べるんだけどさ。料金がちょっと勿体ないけど、狩りすれば直ぐに回収出来るから、まあ慣れないうちは抵抗あるんだろうな。
目指すは悪魔モンスターが沢山居る場所、ハママイから船で向かうデーモンズランド。ここは範囲狩りに適した狩場だし、私たちが良く利用している狩場の一つだし、カトウさんにとってもダメージが与えやすいから絶対向いていると思うわ。
血盟員の数人と合流しPTを組み、準備が出来たPTから順々に向かう。空いている狩場は先行で向かったメンバーが確保している。
「はじめまして、腹出るカトウです。よろしくお願いします」
『よろー』『よろしくー』『よろろー』
動画で見ていたけど結構なお腹ね、エルフでデブキャラは珍しいわ。さて、PTを組む前に装備を渡してと、あれ? 加藤さんからもトレード欄に何かきた、取りあえず受け取っておく。
「私だけ借りているのも悪いので、これ使わないから借りている間、お貸ししますよ」
『ぎゃあああぁーーー! これって開錠+3じゃないですか、こんなの借りれませんよ! 開錠はスキル上げが凄く困難なスキルなので、これ滅茶苦茶高額な装備品ですから、値段? 多分値段付けられないと思います、数十Mクラスじゃないと取引が成り立たないけど、そんなにGを持ってないから買えないというか。
いいですか、高額な装備やアイテムは他の人に渡しては駄目ですよ! そのまま盗まれる可能性だってあるんです。渡して盗まれたら、運営だって取り返してくれないんですから。いいですね、他のプレイヤーを気軽に信じちゃ駄目ですよ』
MMORPG初心者みたいだし、その辺のルールも教えてあげないとな。初心者支援は嫌いじゃないんだよね、ふっふん。デーモンズランドに到着し、ここでのルールや戦い方などの基本的な説明を行う。
『じゃあ試しに、あのネズミーマウスを倒してみましょう。あいつは敵を沢山呼び寄せるので、もたもたしていると敵が増えますよ。まあ範囲狩りする時は、それはそれで好都合ですけど』
「ファイヤーアロー…… ファイヤーボール【ニ】」
まあ弱い敵だからこんなもんか、あっという間にポリゴンになって消えた。もう少し強い敵と戦わないと威力が分からないわね。あっグールフィーが居たわ、悪魔のアンデット、あれなら耐久力が無駄に高いから分かりやすいかも。
「ナパーム」
炎がグールフィーを包み、しばらくしてポリゴンになった、やっぱり結構な威力ね。うちの魔法使いよりも威力があるんじゃないかしら。しかし気になることが、さっきからシュークリームをパクパク食べている。満腹度を高めるならもっと効率の良い食事があると思うんだけど、デブキャラのロールプレイの一環なのかしら? やっぱこだわりが違うわね。
『ところでカトウさん、そのNPCは知り合いですか? ごく自然について来ているんですけど?』
「あー、紹介が遅れました。傭兵NPCのビジンです。よろしくお願いします」
『ご挨拶が遅れました。カトウの嫁の、イタッ、よっよようへいNPCのビジンです。お邪魔にならないようにしますのでよろしくお願いします』
嫁と言ったらカトウさんに殴られてた。傭兵NPCなんて普通雇わないわね高いし、ソロプレイヤーだと雇うのかしら、金持ちは違うわね。
「ビジンは知り合い価格で大分値引きして貰っているんです。本当なら一時間五Kで、一日百二十K、一カ月で三.六MGになるところを、三MGで契約してます」
『はあ? 三M? それちょっとおかしく無いですか? 一日どれ位ゲームしているんですか? 十二時間…結構してますね。まあそれは置いといて、十二時間なら一日六十K、一カ月で一.八MGでは?』
ビジンは、ハッしまったバレた、という顔をしていた、オイオイ。
「いえ、それは違いますよ。いつゲームするかなんて相手は分からないですし、待機時間も他の事は出来ないでしょうから、当然待機時間も費用に含めるべきです」
人が好すぎるよカトウさん。ビジンはホッとした顔してますよ。これは、ちょっと私がしっかりしないと駄目ね、ウンウン。
そのカトウさんが、何にもない岩をじっと見つめている。何? 何が見えるの? 透明なNPCでも居るの? 怖いわー。
「あっいやっ、採集ポイントみたいだから何が取れるのかなって」
『え? どこにも採集ポイントなんて無いですよね?』
『おい、採集ポイント見える?』『いや、見えないけど』
全員見えてないみたいなんですけど、カトウさんだけに見えるの? 何で? カトウさんが岩にツルハシを使って採集を行い、何かをゲットしていた。ええええーーー? なんで??
「ニッケル鉱ですね。何で見えるかと言われても、一度鑑定していれば見つかりますよね? え? 鑑定LV5で、採集LV5ですね、生産スキルですか? 鍛冶LV5で薬学LV3ですね」
採集も鑑定も鍛冶もLVたかーい、生産職なら分かるけど魔法使いでここまで高いのは異常ね。一体どれ位マルチで活躍出来るのかしら。
攻撃を集中して受ける人が走り回り、ヘイトを集めて悪魔を二十体位呼び寄せる。最初は様子見だからね、数はこんなものにしておかないと。それに地面から湧いてくるマッドクラブは大型で耐久力が高いため、走り回る距離が長いと引き連れて来る数も多くなり、効率が悪くなってしまう。もうすぐ敵を引き連れてくるから、カトウさんには魔法の準備をしてもらわないと。
『カトウさん、魔法の準備をって、何喰ってるんですか!』
振り向くと、熱々のステーキ肉を左手に持って、肉を口で噛み切って頬張っている。肉を手で持つなよ!
「まんふくどムシャムシャホントールです。ムシャムシャ」
敵を沢山引き連れて一旦私たちの前を通り過ぎて、Uターンして戻ってくる。そうする事で隊列が長くなった敵が一か所にまとまりやすくなる。そして狭い場所に向かうと敵がより一層密集する。
『旋風撃!』
「ナファーム、むしゃむしゃ」
集めて来た敵が一瞬で溶ける、倒すというよりも溶けるという表現の方がしっくりくるくらい殲滅の速度が速い。カトウさんの魔法の威力が高すぎてマッドクラブ以外は直ぐに消えてしまう。でも満腹度が重要なのわ分かるけど、違和感があるわね。
「マッドクラブを避けたいのですか? それじゃあ、ビジンに敵を集めて来させましょうか? ビジン、悪魔をいっぱい集めてきて下さい」
『了解です』
ビジンが走るがマッドクラブが全然湧かない、忍び走りのスキルって良いわね。どうすると覚えられるのかしら? 悪魔を百体位連れて、更にまだ敵を集めようとしている。多いわ、多過ぎよ。それじゃあ、引き付ける役目のHPが持たないわ。カトウさんに止めるように言ってもらわないと。カトウさんを見ると、岩を一生懸命にのぼっている、自由過ぎるだろお前!
「ムシャムシャ、ナパーム、トルネード」
引き連れて来た敵に対して魔法を放つと、直撃を喰らわなかった敵の大半がカトウさんに標的を変えた。それだとカトウさんに攻撃が集中してしまうから危険よ。しかし、悪魔の多くが岩の下で右往左往している。
「ファイヤーボール【ニ】、ナパーム、トルネード、ファイヤーボール【ニ】」
『旋風撃!』『普通攻撃』
集まった敵をどんどんと倒していく。ヘイトはカトウさんに行っているが誰も岩の上を攻撃できない。滅茶苦茶楽過ぎる何これ? それと範囲魔法って便利過ぎんだろ、いや違うわね、カトウさんが別格で強すぎるんだわ。
最後がまとまってないのに公開しちゃった。あーあー。あと一話位なんだけど、全然まとまらないんですよねえ。もう、この40話で終わらせたいくらいです。
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