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チュートリアル無双  作者: ぐわじん


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36/41

36 イベント開始

 メンテナンス明け後、ログインしてチュートリアに向かう。焼け跡になった教会はそのままの状態で放置され、住人達は門や塀の補強など、慌ただしく準備を行っていた。私が十六万個もクリスマス飾りを納品したためにこんな状況になってしまった、何て事をしてしまったんだ俺は……。


『カトウ、こっちには来ないで良いって言ったのに…。貴方って人はもう』

 先生が少し怒ったような、それでいて呆れたような、でも喜んでくれているような感じで迎えてくれた。


『カトウ、お主ヤル気なんじゃな、分かったお前の実力を見せつけてやれ』

『信じてました。一緒に頑張りましょう』

 師匠もシャルも歓迎してくれている。俺が納品さえしなければこんな事に成らなかったのに。そんな文句は一言も発せずに…ん? 師匠とシャルが紙をんっんって感じで出して来たので受け取る。

 まったく、口で言うのが恥ずかしいのかな? もうーどれどれ『良い迷惑じゃ』『最悪』


「グハっ、ごめんなさい。ごめんなさい」


『冗談じゃよ、冗談。二十%位冗談じゃ』


「それ、ほぼ本気じゃないですか」

 周りのNPCが笑いながら準備を続ける。滅茶苦茶申し訳ない気持ちでいっぱいです。多分このままだと私が気を使ってしまうだろうから、最初に話題にしてくれたのかも知れないな。シャルはペコペコ謝り、嘘だからね、とボディータッチしながら再度謝ってくる。まあ触れてくれるという事は、そんなに怒ってないのだろう。



 師匠の店で作戦会議を行う。メンバーは先生、師匠、シャル、ビジン、本屋のフレデリックさん、薬局のエルファさん、と私だ。基本的には私一人で敵を倒す必要がある。当然、自分より格上あるいは同じくらいの相手含めて十六万以上も相手にして勝てる訳がない。


『カトウ、今の貴方の装備、スキルを全て教えてくれるかしら……なるほどねぇ、そうよねえ』

 全ての情報を伝えたが、今のままではどうにかなる感じがしない。絶望的な状況の中、一生懸命案を考えている。


『火がLV7、風がLV5でしょ。合わせて12か、合計18にして二次転職まで行けば統合魔法が使えるわ、でもこの短期間では無理ね』


『鍛冶スキルがLV8になれば、もう少しまともな装備が用意出来る筈じゃ。鍛冶屋転職で鍛冶スキルが+1、鍛冶屋の弟子称号で+1されるぞい』


『いや今鍛冶スキル上げてもねぇ。それに今の装備ランクだとたかが知れているじゃない』


『薬剤師に転職すれば、薬学+1、薬局の弟子称号で薬学+1されるよ、騙されたと思って転職してみないかい? でも武器ならドワージンさんが作って渡してあげれば良いのでは?』


『それが出来るんなら、武器などと言わずワシらが直接倒した方が早いじゃろ、決められた条件を守らないとならんのじゃ』


「ちなみになんですけど、マルが本気を出したらどうなりますか?」


『そうね。レベル十五以下のモンスターなんて一撃で(ほふ)れる範囲魔法も沢山有るわよ。ただ、

同時に数千という単位で相手にするのは流石に厳しいかも。逆に一度に戦う数が少なければ、どんなに数が来たって余裕ね、MP回復ポーションをがぶ飲みしつつだけど』


「とんでもねーな。いや、とてつもない強さですね」


『ただね、本気を出すならもう雑貨屋店主じゃ居られなくなるわ』

 え? それってどいう意味ですか? もしかして先生、本当は竜で人間化すると幼女体系になるというお約束的な存在だったりします? 年齢も二百歳越えって言ってたし。


『いえ、大魔導士に転職するから雑貨屋店主ではなくなるの』


「紛らしいわ! 言い方が! でも大魔導士とか、とんでもない凄い職業に就けるんですね、自分なんて全然なのに」


『いえ、カトウには才能があるわ』


「どうせ、ツッコミの才能とか言うんでしょ」


『いえ、ボケの才能が有るわ』

 はっ? 何を言っているのか全然理解出来ない。


「あの、何とおっしゃいましたか?」


『カトウにはボケの才能が有るわ』


「すみません理解出来ませんでした。もう一度良いでしょうか?」


『カトウにはボケの才能が有るわ』


「全然理解出来ませんでした。もう一度良いでしょうか?」


『流石に分かるじゃろ! 何が理解出来ないんじゃ』


「いや、ボケの才能があるって事しか理解出来ませんでした」


『それが全てじゃ!!』

 まさか、そんな、自分にボケの才能があるなんて。いや実は薄々とは感じていたんだ、今まではそれを発揮できる場所が無かったんだ。ツッコミが居ないというか、気軽に会話できる知り合いが居ない環境ではボケなんて出来なかったのさ……、暗い過去を思い出してしまった。


『どうでもいい会話はその辺にしていただくとして「ぐはっ」、決められた範囲内で私たちが出来る事を確認した方が良いのでは? 今ならLV差があってもデメリットが発生しないのですよね? じゃあ、マルグリットとドワージンと一緒に高LVの敵をバンバン倒して、カトウさんのLVを上げてしまえば良いじゃないですか』

 今まで存在が空気だった本屋のフレデリックさんが良い事を言った。それならLVもスキルも沢山上がりそうだな。


『駄目よ、それではカトウのために成らないわ、そんなのは認められない。だったら、この町を放棄して、イベントが終わった後に再建した方がましよ』


「そっそんな……」

 私の性でこんな事になっているのに、そこまで私の事を考えてくれているなんて、その気持ちを考えると、私の事はどうでもいいから強制的にLVあげをしましょうとか言い出せない。


『カトウさんが倒すとして、どこまでなら協力出来ますか? 例えば支援魔法を外のフィールドで掛けてあげることは? それはOKなんですね、じゃあヒールとかは? それもOKと。

 向かってくる敵を倒すのは良いけど、積極的に狩りに行っては駄目、でも挑発行為は有り、うーん基準があいまいですね。

 範囲攻撃でターゲットがこっちに来ていない敵まで倒す可能性がありそうですから、基本支援者は出来るだけ倒さないようにしましょう、特に間違って殺さないようにするため範囲攻撃禁止の方向で。

 武器をドワージンが作って貸し出すのは? 持っている物を貸し出すのは良いけど、作って貸し出すのは駄目と。じゃあ私とエルファさん、念のため村全体で何かカトウさんに役立ちそうな装備が無いか家に帰って確認しましょう』

 フレデリックさんが仕切って、やれることやれないことを整理していく。空気的な存在とか思ってごめんなさい。私が出来る事は無いだろうか? そういえばレシピや魔法書を解放してなかった。本当は転売してゲーム内通貨を得ようと思っていたんだけど、流石にそれは良く無いだろう。


 アイテムのレシピ(ランダム)を開けると、家具製造北欧編(木工)と毛皮仕立(縫製)、LV3魔法書は落とし穴(土魔法)、LV4魔法書はトルネード(風魔法)、スキル熟練度+3は、(開錠)だった、トルネード位だな役立ちそうなの。


『カトウさんの範囲魔法で多少は敵を倒せると思いますが、一発撃って相手が生き残った場合、あるいは付近の敵がリンクして迫って来た場合、非常に危険ですね。支援メンバーがヒールしたらターゲットが変わって攻撃される可能性があるから、そうなると混戦になって向かって来た敵だけ倒すといのは難しそうだし……』

 フレデリックさんは最後まで言わず考え込んでいる。


「出城みたいなところに籠って、そこから範囲魔法を撃つのはどうでしょうか? そしたら攻撃を受けずに一方的に敵を倒せるんじゃ?」


『駄目じゃろ、周囲の敵は倒せるかも知れんが、砦から離れた場所の敵は倒せんぞい』


「じゃあ、敵のいるところまで走って誘い出してから、籠るを繰り返せば?」


『少し足りないわ。走った場合イベント以外の敵が湧くから、余計な敵まで引き寄せてしまうし、カトウでは戻れずに死ぬわよ、それに遠くの敵を引き寄せるのは非効率的よ』

 確かに先生の言う通りだ。いや、でも先生や師匠が走り回って引き連れて来てくれても良いんですよ、とは言えなかった。


『私が敵を引き連れて来ます』

 ビジンの説明を聞き、それなら敵を集められそうだと思える。籠る場所については私の考えを説明し、その案で行くことになった。




『お待たせー、大変な事になったよね大丈夫? でもこんなの何に使うんだい? ゴミだから良いけどさ。あと普通にお土産も沢山持ってきたから皆で食べて。困ったときはお互い様っていうだろ』

 翌日、マーメイが大量の、物凄く大量の、とてつもない量の貝殻を持ってきた、それと何人ものNPCを連れて。貝殻は窯があるところで大量に焼き、石灰を作っている。


 お土産はウマール海老や魚介類でとても美味しそうだけど、実際には味が無いのでちょっと残念。イスト村からも支援の品や、牛、NPCなどが手伝いに来ている。ノストという北にある大きな街からは、兵隊が五百人程支援に、って兵隊多すぎだろ! いや多い分には良いんですけどね。難局に向けて皆で協力して事に当たっている。


『あああーウマール海老に新鮮な貝や魚、小麦にチーズもある! 後は宝石が有れば完璧なのに』

 いつぞやの若いシスターが支援物資を見て興奮している。いや、それ皆さんへのお土産ですから独占しちゃ駄目ですよ。


『あら、聖なる守りが手に入るなら食べるより作って貰ったら良いんじゃないの?』

 先生今何て言いました? この人詐欺師じゃないの? 聖なる守りって良いものなの? 使う素材によって攻撃力や防御力、属性に対する耐性や与えるダメージの増加が見込めるのですか、そうですか、ずっと詐欺師だと思ってました、ごめんなさい。

 宝石箱には、ダイヤモンド、サファイヤ、ルビー、エメラルド、トパーズ、等の多数の宝石が入っており、一番高価なダイヤモンドを使って聖なる守りを作製して貰った。神様への貢ぎ物という扱いなので、このような素材が必要だったらしい。


 土木部隊がチュートリアを起点に東西南北に散っていった。師匠の用意した穴掘り用のスコップと石灰を持って。籠るための砦を多数作る予定だ、穴は埋まるけど掘った土は活用できるからね。

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