表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チュートリアル無双  作者: ぐわじん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/41

34 悪魔

 もうすぐクリスマスイブにクリスマスか。まあ私には全然関係無いんだけどね、関係あるとすれば二十五日になって安くなったケーキを買うくらいだ、いつもなら。でも今年は違う、そう、二十四日にケーキを買っても良いかなと思っている、お金に余裕があるので。


 

 今日はお手伝いという名目のデートをシャルとしている、目的はガラス材料の採集だ。シャルやNPCとのプレイは楽しいんだけど、そろそろチュートリアルも終わらせてここから離れないと。寂しくなるけど仕方ない、いつまでもチュートリアルを続けている方がおかしいんだから。こうして二人で出かける機会は、今後無くなってしまう気がする。


 茂みをかき分けて進むと少し開けた場所に出た。そして大きい赤っぽい何者かが体育座りをしている。明らかにモンスターというか敵っぽい。ノンアクティブなんだろうか、こちらに視線を向けたが立ち上がって攻撃してくる様子は無い。


『こんにちは。良かったら、こっちに来て座ったらどうだい』

 大きい何者かは座るように勧めて来たが、座ったらすぐに行動出来ない。敵っぽい奴の前で安易に座るのは危険だ。悩んでいると奴は立ち上がった、でっでかい、四m位ありそうだぞ、こいつやる気か? しかしコイツの顔怖すぎ、何だろう多分種族的にこんな顔なんだろうけど、ひでーな。


『紹介が遅くなったね、私はサタン』


「……」


『……』

 沈黙が続く。サタンがこんな場所に居るか? どうせ、第何大隊がどうのって言うんじゃないのか? しかし、一向に続きを言う気配がない。


「あの? 本当にサタン、あっ失礼サタン様なのですか? その後に第何大隊、中隊、小隊のホゲホゲと続いたりしないので?」


『ハハハ、貴方は悪魔界の笑いに通じているのですか。それは悪魔界では流行っているネタの一つですね』

 マジカ、あれは悪魔界の鉄板ネタだったのか。じゃあ、この人は本当にサタンなのか? そんなサタンが何でこんなところで体育座りをしていたんだ。サタンって悪魔の親玉、王様みたいな感じだよね。普通に考えたらラスボスとかじゃないの?

 MMORPGの場合だと、高LVのプレイヤーが何十人、何百人と集まって討伐するような敵じゃないの? そんなのがここに居るの? 嘘でしょ? でも本当だったら……やばい、やばい、やばい、やばい、こいつはやばい、聞きたい事が沢山ある。


 シャルが攻撃する気配を感じたので、すかさず左手を横に延ばしてシャルの行く手を塞ぐ。タイミング的にギリギリだった。私が出した腕にシャルがぶつかって来たので、このまま止めなかったら戦闘になるところだった。

 しかし、それでも前に出ようとする感触が腕に伝わってくるので、少し強めに押しとどめる。どんだけヤル気があるんだよ、血気盛ん過ぎんだろ。本当にサタンだったら殺されるぞ、多分瞬殺だ瞬殺。


 今奴から視線を外すのは非常に危険だ。危険だがシャルと認識合わせておくのも大事。シャルの顔、そして目を見る。視線が合ったので顔を横に振ると、シャルは頷いて一歩下がってくれた。


 ふうー良かった、一時はどうなる事かと思った。腕に胸が触れたことは気にして無かったようだ。こんな事ならもう少し強めに押しとどめれば良かった。今度はそうしよう、よし。

 いや、よしじゃない、何を考えているんだ俺は、そうじゃない、そうじゃないんだ。問題は長さだ、触れている長さだろう、次は長くしよう、よし。

 邪な考えをしながらサタンの動向を見守っていたが、サタンがしびれを切らしたようで、何か行動を起こそうとしているのが分かった、くそう、どうなってしまうんだ……。



『様親衛隊、第一大隊、第二中隊、第三小隊、第一分隊、第二班、第一組組長、マーシーだ』


「タメが長いよ! 長すぎ!」


『いや、それはどうでもいいのでは? 何故こんなところに居るんだい? お前の目的は一体何だ?」

 シャルがマーシーに問い詰める。


『まあ落ち着いて下さい。そこに座ったらどうですか? 攻撃はしませんから』


「悪魔の言うことなど信じないぞ! 座ったら攻撃してくるんだろう、さっきも座るように勧めて来たし罠に嵌めるつもりなんだろ、全部お見通しだ」

 ほいほい騙されるような、そんな素直な性格ではないぞ。


『こちらだけ座っているのも悪いと思って勧めただけなんだがな、まあいい、私も立ったままでいる事にしよう。えーと、さて何だったかな?』


「どうしてここに居るんだ。目的は何だ?」

 マーシーとの距離は十m位だろうか、相手が戦闘態勢を取っていなくても、油断せずに武器を構える。


『ゴホッゴッホ、…ぅ…っ……ぁ…、ゴホ、ゴッホ』

 咳き込み、急に声が小さく無くなった。何かを言おうとしているが全然聞き取れない。仕方が無いので少し接近して声が聞こえるくらいまで近づく。


『あーすみませんでした。ちょっと喉の調子が悪くて申し訳ありません。えーとここにいる理由ですよね? 散歩ですよ』


「嘘をつくな、何でこんなところまで散歩しに来るんだ! その割には座っていたじゃないか」


『散歩して疲れたから座っていただけです。普段はもっと北の拠点で活動しているのですが、えーと、ああーそうだ、商人と思われる人達がいたから襲ったんだけど、逃げられたんだった。

 そいつらを追っかけてたら普段のテリトリーから大分離れてしまって、テリトリー内なら次に何をすれば良いか決まっているんだけど、テリトリー外だと何をどうすべきかが全然分からないんですよねえ』


「それのどこが散歩だ!」


『移動したのですから、結果的に散歩と言えるでしょう』


 こいつは何を言っているんだ? 普段とは別の場所に居ると何をすべきか分からなくなるって意味が理解出来ない。今のところ敵対する気が無いという事で良いのかな?


『私はもう少し友好的に接したいのですが、警戒を解いてもらえないでしょうか?』

 本当に友好的に接したいのだろうか? だって悪魔だぜ、悪魔。しかも商人を襲っていたと言っているし、そんな奴と仲良く出来るだろうか?


「悪いが、悪魔を信じる事は出来ない」

 そう伝えると、マーシーの顔がより一層凶悪になった。


『悪魔全員が嘘をつく訳でもありませんし、私も出来るだけ正直に話しているつもりです。もう少し互いの理解を深めて妥協点を探りませんか?』

 正直、敵対するモンスターと一体ずつ仲良くするための活動とかしたくない。凄く面倒くさいし、最終的に全員敵じゃなくなったら、だれと戦って経験値やG、アイテムを稼げばいいんだよ。

 それよりも普段見かけないモンスターが目の前にいるんだから、戦って何が入手できるかの方が興味がある。こいつは何をドロップするんだろう、でも今は採集に向かう途中だから、戦闘は避けるべきか残念だ。


「すみませんが、私たちは用事があるので失礼しますね」


『なぜーーだーー、どうしてだーー、なんでだーああーー、ワタシハー、コンナニモ友好的になろうと努力したのにーー、いきなり襲うような事もセズー、正直にハナシタノニィィィ』

 一気に怒りゲージが振り切ったかのように怒りだした、しかも自分の発言で更に怒りが増していっているようで、話しながらどんどんと怒っている。


『オマエハー同族を殺していて、称号まで付与されているのに、それでもユウコウテキにしようと、ガンバッタノニィィ、どうして仲良くなれないんだあ。お前等は悪魔や動物やモンスターを殺すのに、俺たちが逆に人を殺したり、襲ったりするのは許さないとか、おかしいだろう。何て自分勝手なヤツラだ!』


「待ってくれ。それは誤解だ、誤解なんだ。聞いてくれ。俺は人じゃ無いエルフだ」


『ソウヤッテー、俺をバカにしてえぇぇー、お前のようなデブなエルフが居る訳が無いだろう、というか、そこは問題じゃ無い、許さない、許さんゾウゥウウ!!』

 駄目だ、説得に失敗した。腕を叩く感触がある、何だ今凄く不味いところなんだけど。更に叩くからシャルの方に振り返ると、振り返る途中に左にもマーシーと同族と思われる奴が、そして真後ろにも、更に右にも、四体の悪魔に囲まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ