31 チョロイン?
クエストは達成され、経験値とG、アイテム、“お人好し”の称号が貰えた。
『“お人好し”:ユニーク称号。複数の困っている人を助けた、かつ、人が避けそうな事案であっても諦めずに取り組んだ人に贈られる称号。お助け系クエストの発生率が上昇、詐欺師に狙われる確率が上昇、NPCから好感を持たれるようになる。
あんまり人が良いとリアルでも騙されちゃうぞ、もうちょっと人を疑ったり、適当に流した方が良いんじゃない?』
ふむ、NPCの詐欺師が居るってことだよなこれ。MMORPGは現実世界と変わらずなのか、世知辛い設定だねえ。
『カトウさん、良かったらこれも食べてください。ささっささっ』
お菓子を沢山進めてくる彼女は名前はビジン、パティシエで自分で作った料理を食べ続けていたら太ってしまい、陰で醜いと言われていたことを耳にしたきっかけでダイエットを始めた。で、こんな事になっている。
まだ完全では無いが多少肉付きが戻ってきた。さっきのが骨に手ぬぐいを一巡させた位だったのが、その上に更に一巡巻いたくらいまで復活している。うん、つまり全然骨だよ。
でも女性にチヤホヤされる経験なんて無いから、これはこれで、その、なんというかエヘヘ。まあ有りっちゃ有りだ、でも満腹度いっぱいだからこれ以上は食べれません。
『カトウさんは命の恩人です、こんなに親切にしてくれたのに対価も求めないてこないし、本当に良い人ですね、何かお礼をしたいんですけど……』
両手を股の前あたりで組んでモジモジ、体をクネクネしながら、上目使いでこちらを見ている。いやまだ骨っぽくて無理です。というか、これゲームですから十八禁設定やハラスメント防止設定がありますから。
それに対価が要らないとか言ってないし、まだ求めてないだけだから。回復ポーション代くらいは貰っても良い気がするんだよね。でも貰えるならGかアイテムが良いですね、しかし面と向かってGをくださいとか下衆な気がする。
「あの何か物をください。スタック出来る料理やお菓子でも良いですよ」
すり寄ってくるビジンさんの両上腕部を掴んで引き離す。
『うーんいけずー、そんな事おっしゃらずとも、お菓子は差し上げます。えーとじゃあ、私の特製パティシエレシピはいかがでしょうか?』
「本当ですか? ありがとうございます。ただ料理スキルは無いので、転売しても良いですか?」
『グハッ。私の長年の成果が……なんというサディスト、もう本当に酷い人ね~』
いや、良い人なのか酷い人なのかどっちなんだよ。好感を持たれるのは良いんだけど、もうちょっと肉付きが良くなってからね、あっ開錠スキルがあるんなら宝箱を開けて貰おう。
『はい、開きましたよ』
ビジンに宝箱を開けて貰った、中からは一万Gと“甘い琥珀の指輪:料理スキル+1”が手に入った。おおシャルへのいいお土産が二つ出来たな、もしかしたら高額で買い取ってくれるかも知れない。
『また遊びに来てくださいね。来なかったら行っちゃいますからね』
ププランとパリ・ブレストを百個ずつ貰った、どっちも一言で言えばシュークリームだ。味は若干甘いとしか分からん、多分ゲームとしての限界だろう。
「遊びに来ると言っても、暫定の本拠地はチュートリアだけど、今はこの辺を探索中だし、気の向くまま行動しているので捕まらないと思いますよ。それに他の大陸? とかにも行ってみたいので、ここに戻ってこないかも知れないし。
探して居ないとショックだと思いますから無理に探さないで下さい」
一度だけ知り合ったゲームのNPCに対して再び会う約束なんて出来ないし、そもそも怖いから会いたくない。とは言え期待させても悪いから、正直に伝えた。
『ひっ酷い……。私をこんなにしておいて。はっ! じゃあ付いてきます!! それなら行き違いになることもないし良いでしょ!!』
いや駄目です。まだ顔怖いんだって、ほぼ骨ですよ。ログインして直ぐそばにその顔が見えたら戦闘態勢に入っちゃうよ。それに、もしそうなったら心臓に悪そうだ、ログインする都度心拍数が上がって強制ログアウトの繰り返しになるかもしれない。
それに“こんなに”って、どんな事をしたっけ? 良くはしたと思うけど、酷い事をした記憶が無いんだけど。
しばらく押し問答を繰り返すが埒が明かない。仕方ない、この手は使いたくなかったが最終手段をとる。結果、無事に解放された。ん? 何をしたかって? GMコールをしてハラスメント通報です。
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「星の屑成就のために、チュートリアよ! 私は帰って来た!」
斧を一回振り回してから体の前で構える。久しぶりにチュートリアに帰って来た、もうすぐ村に着くのでテンションが上がってしまった、エヘヘ。
『カトウさん! お帰りなさい。何を叫んでいたのですか?』
振り返ると、藪がガサガサと揺れて鉈を手にした、戦闘直後と思われるいっちゃっている目のシャルがいた。相変わらず戦闘直後こえー。それよりもだ、さっきのセリフが超恥ずかしい。もういやだー、自分のバカバカバカ。
「ん? 何か聞こえました?」
『星の屑成就のために! チュートリアよ!! 私は帰って来た~!! とか仰ってませんでしたか?』
聞こえてんじゃん! しかもさっき私がしていたポーズまで真似て。恥ずかしくて死にそうです。シャルがクスクスと笑っている、俺も釣られて笑って、村に着くころにはゲラゲラと笑いながら自然と土産話をしていた。
「あっそうだ。シャルにこれを……」
ポシェットから“甘い琥珀の指輪”と“名パティシエの特選レシピ”を取り出した。
『え? そんな悪いですよ、そんなの頂けません!!』
シャルが申し訳ないという気持ちが伝わるくらいの拒否をしてきた。
「ん? あげませんよ」
『え? くれるんじゃないんですか? あっいやっその…』
シャルが自爆して、顔を赤くしている可愛い。しかし、実は高値で販売出来るかも何て思ってましたとか言い難い。んー仕方ない、こんな状態じゃ販売したいとも言えないしなー、よし、うん、どうするかな。
「えーとレンタルをしようと思ってました」
シャルの料理スキルは6、持ってきたレシピやシャルのレシピには、スキル7以上必要な物があるので、十分にスキルレベル上げに役立つはずだ。
『なるほどレンタルですか』
シャルにも悪い話ではない、細かい条件を詰めていく。これで料理については心配ないな。あっいけない、大事なことを忘れてた。
「あの、こっちはプレゼントです。前から防具が不足していると思って」
と言おう思ったが、そんなに親しくない男性から貝殻ビキニを貰ったらどう思うだろう。逆の立場で考えてみよう。ちょっと親しい女性からワカメで出来たブーメランパンツの水着を貰ったら……。
そんな素材で水着が出来るんだと感心するな、いや違う、出汁が取れそうだな、いや違う、自分の股間にあてたワカメで出汁とか取りたくない、いや違う、出汁が取れるのは昆布だった、いや違う、いつもトランクスタイプだから恥ずかしい、いや違う、駄目だな一旦落ち着いて考え直そう、よし。
一言で言えば、かぶれちゃいそうだな、いや違う、濃い緑の水着ってちょっとどうかと、いや違う、ヌルヌルしてて気持ち悪そう、いや違う、お腹が空いたら食べれそう、いや違う、生のままで食べるとかちょっと気持ち悪い、いや違う、やっぱり股間にあてたものを食べようとは思わない、いや違う、耐久力弱そうだからスッポンポンにならないかな? いや違う、うん嬉しいそうだ嬉しい。
ちょっと考えがおかしな方向に行ってしまった。私だと嬉しいけど、多分、推測だけど、もしかしたら、引かれるかもしれない。折角手に入れたのにな。でもなあ、見たいよなあ、ハラスメント行為でログイン禁止とか、チュートリアに出禁とかなったら嫌だしなあ、でもなあ。
「シャル、あの、その、実は、海で仲良くなった人から貰った防具があるんだけど、その変わっているから見るだけでも見せようかなっと」
『もう、カトウさんたら。さっきみたいにプレゼントだなんて思いませんよ』
少し顔を赤くして、ちょっと拗ねた、というか、可愛い。しかし、これでプレゼントだと言い難くなったな。まあいいや、貝殻のビキニアーマーを見せる。
『なにこれ! こんな恥ずかしい恰好で戦えるんですかね? 凄いネタ装備ですね』
あげなくてよかったー。変態扱いされるところだったかもしれない。
『これちょっと着てみても良いですか?』
キターーー。神展開キターーー。顔が一秒間に十回くらい頷けるくらいの速さで同意する。ちなみにそれだけ早いと何が何だか分からないだろう。しかし、なんでこんなに都合良い展開になるんだろうな、不思議だね。不思議だよね?
シャルがビキニアーマーを手に取って、その場で装着し始めた。え? え? ここで着ちゃうの? 私が目の前に居るのに? うわ、うわ、うわ、両手で目を隠して、当然指の間はガッチリ開いてて、凝視する。
『じゃじゃーーん、どうですかね?』
ビキニアーマーを着て、クルクルっとその場で回って、おどけてセクシーポーズを取った。
「凄く可愛いと思います。そのそれ、差し上げますよ」
やべー超ドキドキした。しかし、想定外だったのは今の服の上から着るとは思ってなかった。追加装着する事で陸上での防御力は上がるらしい。
『可愛いだなんて、本当ですか? でも悪いですよ~。分かりました、有難く頂きますね』
まあ、ちょっとドキドキさせてもらったし、料理に協力してもらっているし、プレゼントしても良いだろう。作りたくなったら、材料さえあれば出来るし。よし、あとは金だ。じゃなかったGだ。
伏線を直ぐに回収すぎじゃないかって? いやそうなんですけどね。しかし、お笑いの方向性はあっているのだろうか? ストーリーの方向性よりも気になる。
それとツッコミがないボケには、画面の前でツッコンでくれても良いんだからね。
面白かったグットボタンをクリック。グットボタンは無いよー。その分ブックマークや最低点でもつけくれると、評価が上がってランキングに載れば他の人の目に触れるようになるので、そうなると作者のやる気が上がって、食欲が増えて太ります。うそ、関係なく太ります。
それと他の作品をブックマークしたり、評価点をつけもいいんだからね! 作者はオッサンだから変な期待はしないように。




