27 飾り集めと、ドキドキのお願い
鉱山の中を進んで行く、一応メインの通り以外の場所にも行くだけ行ってみるが今のところ目ぼしいものは、閃亜鉛鉱とニッケル鉱くらいかな。
メインの通りを進んでいると、コウモリの大群が見えたアブーラコウモリだろう。先手必勝範囲魔法を喰らわしてやるぜ。
「ファイヤーボール【ニ】」
小さな爆発が起きて四匹のアブーラコウモリを倒した。うひょーたまんねー、一度に多数のモンスターを倒す爽快感。次は片手に回復ポーションを持ち、試してみたかった事をする。どんどんと囲まれてHPゲージが減り始める。
「ナパーム」
地面に座った状態で唱えると思っていた通り、私に取りついていたアブーラコウモリが燃えて一度の数十匹を討伐出来た。直ぐにポーションを飲み、第二陣にはファイヤーボール【ニ】を唱えて、こちらも十匹位倒した。たまんねーな、おい。残った数匹を倒して稼ぎを確認する。
クリスマスの飾りが十個に、コウモリの羽、爪などが多数手に入った。ちょい格下でも数が多いと入手出来る数が増えるから良いね。とにかく爽快感が凄く良い、もっと強い魔法を覚えたらもっと気持ちいいだろうなきっと。
採集ポイントについて鉱石の採集を開始する。折角だからクッキーを使ってみると容姿がプレゼント箱になり、飾りの貰える確率が増えた。人が多いところでやると楽しそうだな、私には全く関係が無いけど。
休憩を挟み、採集とモンスター討伐を繰り返す。まだ重さ的には余裕があるので、一旦落ちてまた翌日も同じ場所から再開する。
再開するが死んでた。まあキャラを放置しているんだから死んでいてもおかしくない。またここまで移動する時間が勿体ないので、課金アイテムを使ってその場で復活する。一個三百円だし、一番割引率の高い五十個パックを買っておいた。ここまで二時間位かけてくる方が無駄だと思う。
採集とコウモリ狩りを継続していたら、ついにLV10に到達してしまった。嬉しいけど嬉しくない、何故なら死んだら物を落とすからだ。念のため課金ショップで旅人のお守りを購入する、死んだ時に物を落とさなくなる効果がある。
こちらも三百円、商売が上手いよなーまったく。割引率が一番高い五十個パックを購入した。借りものを落とす訳にはいかないからな。
荷物もいっぱいになったので、帰還して休憩。アドバイスを貰いに師匠の店に向かった。
『こんにちはカトウさん』
シャルが来ていた。服装はいつもと同じだったので、ちょっと残念。
『今日は鍋の取っ手が取れてしまって、その修理依頼に来たんですよ』
ん? なんで鍋の取っ手なんて壊れるの? 料理スキルで作るから道具は存在するだけで、使わないんじゃないの?
『だってレシピに無い材料しかなかったら、料理出来ないですよね。毎日同じものを食べるのも飽きちゃいますし、レシピに無い材料でも食べるためには、スキルだけではね』
なるほど、そういうものか。ただプログラムなのだから何でも良いだろっと思ったけど、あえて口にする必要性も無いし、心の中で突っ込むだけにしておく。
『メリークリスマス!』
しばらく会話していると先生もやって来た、師匠と歓談している。最近仲良くなってきてるんじゃない? 結構いい事だと思う、うんうん。
「シャルは最近どんな料理を作っているのですか?」
どうにかして、ひねり出した会話の話題が料理だった。だって、会話するのって難しいんだよ。
『イノシシ肉と鶏肉が手に入り易いので肉料理ですね。あとは小麦粉からパンでしょうか。料理スキルを上げている最中なんですけど、ただスキル上げするには数多く作る必要があるのですが、流石にそこまでの材料を手に入れるのが大変だし、悪くはならないとは言え、作り過ぎちゃうと処分というか、保管も大変ですしね』
にこやかに話すシャルをみて、ドキドキする。NPCなのにな。いま考えている事をシャルに伝えたら呆れられるだろうか、それとも……。かなり恥ずかしいんだけど、どうしようかな。でも。
「あっあの、その、えっと…」
ドキドキしながら、少し手をあたふたしながら、なんとか言葉を捻り出そうとする。
『はい』
シャルも分かってくれているのか、落ち着いて喋って待ってるから、という雰囲気を醸し出している気がする。
「こんな事をいうのは、非常にあの、恥ずかしい話なんですが、えっと、その、いま」
『はい』
「ちょっとやろうとしている事があって、その、それには料理が必要なんです」
『はい』
「でも、私その、この世界ではお金もそんなに持ってないし、あの、強くもないんですけど、あっ、で、その倹約中で、そんなに払えないんですけど」
『…はい』
シャルが困惑しているのが分かる。自分の中で、言葉が、感情が整理出来ない。でも、言うんだ。
「それでお忙しいシャルに、こんなことをいうのも悪いと思っているんですけど」
『はい』
「料理をですね、作って欲しいんです」
『はい。料理ですね、協力しますよ』
シャルは即答で返事をしてくれた。でも伝えたい事が伝わっていない。
「いや、ですね、その、そうではなくてですね。結構大量に料理が欲しいんです。だからSPとか凄く消費すると思うんです」
駄目だ、なんか変な方向に行っている。
『はあ』
「だからですね、その、仕事に差しさわりない程度にですね、その、毎日、少しずつでもいいので料理を作って欲しいです」
『毎日料理を作って欲しい? ん?』
シャルが考える顔をしている。
『えっプップップップ、プロップロッポ、プップップ、プロッポ、プロッポズ』
師匠が変な声で驚いている。
『へーやるじゃないカトウ』
先生は何か知らないけど、感心している。恥ずかしい話なのに感心する要素なんて、何処にもないと思うのに。
『カトウさん、ちょっと要点が良く分からなかったので、もう一度言ってください』
シャルが真剣な眼差しで私をじっと見つめている。私もシャルの顔を見て、もう一度、気持ちを落ち着けていう。
「ふーはー、ふーは。はい。シャルにお願いがあります。毎日少しずつでも良いので料理を作って欲しい」
『……』
考えるシャル。そして私たちを見守る師匠と先生。
『料理の材料はどうしますか?』
『『へ? え?』』
ちょっと外野がうるさい。シャルの質問に驚く師匠と先生。
「当然、私が狩りをして持ってきます」
『『おおー』』
感心する師匠と先生。そして考えるシャル。
『つまり、食事のデリバリーサービス契約という事ですね?』
『『えええーーーー!!』』
「はい、そうです」
『『ええええええーーーー!!』』
「いや、違います。そうではないです」
勢いで、そうだと答えてしまった。
「誤解の生むような、表現をしてしまってすみません」
『『おう、おお、おう』』
「作っていただければ取りにお伺いしますので、デリバリーはしなくて良いです」
『『えええええええええーーーー!!』』
『少しなら無料でも良いのですが、大量だと仕事にも影響してきますので、費用もいただく事になりますよ』
「はい、当然です。ただ高い買い物をする予定なので、例えば別の素材や出来た料理の何割か……」
『『…………』』
シャルと二人で条件を詰める、素材は基本私が持ち込み、作製した料理の二割をシャルが貰う事。持ち込み出来ない素材については、以前預けていた砂千五百と青銅五百を譲渡する事で相殺した。
いやー倹約のためとは言え、こんなずうずうしいお願いするのは、恥ずかしかったわ。何故か師匠と先生がご立腹の様です。
『紛らわしいわカトウ。JAR〇に言いつけるわよ』
「マル。JAR〇を何で知っているかは別として、広告に関するものだけですよ」
『あら知らなかったの? 昨年からゲームに関する事も含まれるようになったよ』
「え? そうなんですか。知りませんでした」
『はぁ……なんか、最近ツッコミの質が下がってないかしら、もうちょっと勉強しなさい」
「すみません」
『ちなみにCMだけよ』
「いやだから、ボケだか本当だか自信が無いから、もっと分かりやすいボケでお願いします。というかゲームとか言うなや!」
最近の先生は少し暴走気味だな。あれだな、最初は満足していたけど、一度満たされると上限が上がってしまって、どんどんと欲が出るようになるのかも知れない。
放置していてすみませんでした。書こうとは思っていたし、クリスマスの話も入っている事から分かるかも知れないけど、書きながら止まってました。
で、とは言え、またトンデモナイような仕事に巻き込まれているので、超放置になります。ストック分無くなったし。でも、エターナルにはしないつもりです。
それと書きかけの短編、お笑い特化の話が三話程あります。うち二話は、大分煮詰まって来たから出しても良いかなと思ってますけど、どうなるか分からないです。
ブックマークや感想いただけると励みになりますし、他の人の目に触れる事になるので、よろしくお願いします。それと他の作品も良かったらお願いします。




