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チュートリアル無双  作者: ぐわじん


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21 コントロール

 ここで大声を出して師匠と先生を呼ぶのが良いのだろうか? 大声を出した瞬間に切りかかってくるかも知れない。強さも分からないし、でも間違いなくここにいる敵は格上のはず、それも二人同時は絶対無理。


『どうしたの? 一人で駆けたら危ないわよ。というか、何ぼーっと突っ立ているの?』

 先生! 良かった、振り返るが先生が見えない? あれ?


マル(マルグリット)、どこですか? 見えないんですけど」


『はあ? すぐ横に居るでしょ、何を言っているの?』

 いや絶対おかしい、先生も師匠も見えない。でもそばにいるって、どうしてそんな事がバグか? バグなのか?


「今二人組の男に絡まれていて、ここをタダで通れると思っているのか? って」

 二人組をチラっと見るが先生と会話していても気にしていないようだ。


『え? カトウ以外に誰も見えないわよ』

『どうしたんじゃ? ワシにも見えんぞ』

 これはもしかして……、ストーリーか何かで個人単位での強制イベントみたいなものか? それなら分かる気がする。

 仮に個人単位のイベントだとして、強制的に死ぬようなイベントを用意するだろうか? いや弱めに設定していたとしてもそれでも絶対格上だし、二人は無理だ。ここはGを払ってでも危険を回避すべき、Gを払うとして幾らなら助かるのか?

 手持ちは一万五千位、でも高レベルな場所だからこれじゃ足りないかも知れない、勿体ないけど全額で行こう、失敗出来ないしな。


「所持G全てでよろしいでしょうか」

 と言ってGを手の上に乗せて、頭を低くして差し出す。


『全てとか曖昧な表現じゃなくて幾らかと聞いているんだが?』

『なめてんのかお前! 何でちゃんと聞かれた事に答えないんだ、あぁーーん』

 全て出すって言っているのに! 額が少なければ戦いになるのか畜生め! しかし、ここで怒っては駄目だ、穏便に、穏便にしないと。


「一万五千七百六十Gです」


『一万五千七百六十Gだあ!? ……オシ、分かった』

 一人が袋を取り出し、袋の中に手を突っ込みゴソゴソとしている。私が出した手の上に一万五千七百六十Gが置かれた。はあ?


『じゃあ、気を付けていけよ』

 立ち去ろうとすると二人組を慌てて呼び止める。


「いやいやいやいや、ちょっと待って下さい、すみません。意味が分からないのですが」


『はあ? どこからどう見ても追与(おいあたえ)だろうが』


「おいあたえって何ですか! そんなの知りませんよ!」


『追剥の逆だろ、まったく。じゃあな、気を付けていくんだぞ』

 二人とも茂みの中に消えていった。何それ? そんなのがこの世界には居るのか。もしかして、一番最初に来た旅人へのボーナスか何かだったりするのかな。

 なんてこった、貰えると分かっていたら百億Gって言えばよかった。そして師匠と先生が見えるようになった。


『でも珍しいわね追与が出るなんて、でも相手の所持金より高い金額を伝えると、強欲な奴め! とか言われて戦闘になるわよ。額に応じて増援が来るし厄介だわ』


「ああー良かった。じゃあ百億Gとか言わないで正解でしたね」


『え? 一兆G位はもらえるわよ?』


『ワシは最高二兆G貰った事があるわい』


「えええええ!!!! 一万七千Gって言っちゃった。すげーショック!」

 俺のバカバカバカバカ。そんな私をみて師匠と先生はニヤニヤとしている、何ニヤついてやがるコイツラ、自分の事は棚に上げて物凄く腹が立つ。


『冗談よ冗談、でも五万G位なら行けたかも知れないわね』

 ッチ! コイツラ……、冗談を真に受けてしまった、でも自分の顔も何故かニヤついている。これがPTプレイの楽しみなのかも知れないな。それに損? は数万だけみたいだし、戦闘に成ったら絶対無理だったから、少ない金額でも貰えたんだから満足した方が良いだろう。



 その後も敵を倒しながら進む、ビッグオオツチが多めになって毒を多めに喰らったのはご愛敬みたいな。


『カトウ、駄目よ油断したら。それに近くにジャイアントアシダカが居たんだから毒が無いそっちを狙わないと、まだ敵の区別や特徴が判断できないの?』


「すみませんマル(マルグリット)。覚えることが多すぎて直ぐにはちょっと難しいです」

 先生は少し悲しそうな表情をしている、出来の悪い生徒で申し訳ありません。



 セーフティポイントの山小屋に入って休憩を行う。ここだとモンスターには襲われることが無いので安全にログアウトが可能だ。ちょっと断りを入れてログアウトする。ちなみにこのキャラはこのままここに居続ける事になる。



 ご飯とトイレを済ませてSNSを見ると閲覧数やブックマーク、応援のコメントが増えている。うひひひ。お礼のコメントを書いて、さてもうひと頑張りかな。

 再度ログインして満腹度回復のために料理を手動で食べると、当たり前だけどちょっとずつ食べれて満腹度はじわじわと回復する、でもこれって誰得システムなの? ロールプレイ用の遊び心なのかも知れないな。



 再開後直ぐに火魔法のスキルLVが3に上がって、ファイヤボール【ニ】を覚えた、初めての範囲魔法だ。ちょっと魔方陣が大きくなって、発動までの時間が延びて、飛んでいく火の玉がちょっとだけ大きくなって、当たった時の爆発エフェクトが大きくなった。数匹纏まった敵がいないから効果は分かりづらいけど範囲攻撃らしい。


 宝石の原石の採掘ポイントで採掘を行い、採掘ポイント復活の待ち時間中に、風魔法を中心としたスキルLV上げを行った。そして数時間後に風魔法のスキルLVが3になり、これで目標にしていた合計魔法スキルLV6を達成した。先生と師匠が祝福してくれている。


 コントロールというパッシブスキルが自動で手に入った。自動で入る意味が分からないけど、まあ面倒が無くていいね。スキルという表記が紛らわしいが魔法の種類や必殺技の一種のようで、スキル枠は圧迫しないらしい。


 再度宝石の原石を採掘して、最後は先生の魔法“リターンホーム【二】”で、一気に町まで帰った。十秒程度で発動するので、パーティメンバーが危機に陥った場合などにも有効だって。



『カトウ、レベル上げだけど考えたいことがあるから明日は休みで良いかしら』


「はい、というか何日も仕事を休めないですよね、今日は本当ありがとうございました」

 先生の表情が少し曇っていた、狩りをしている最中もそうだし帰った後も何か考えている風だった。何かまずい事しちゃったのかな、師匠と先生と別れてゲームをログアウトする。



 翌日、デイリークエストを行った後、コントロールの効果を確かめるため、ヒポ草やポク草などの群生地に向かう。ノンアクティブの敵なら最初は狙えるけど、攻撃を受けながらだったりすると当てる場所を選ぶというのはちょっと難しいオートでの狙いの方が楽だな、もう少し練習しないと。


 練習をしていると大分狙えるようになってきた。最初は敵の攻撃を受けることについて腰が引けていたけど、そもそも痛くないし、ダメージも大したことないし、死んでもデメリットないし、落ち着いて操作出来るようになったら普通に狙えるようになってた。まあゲームだし、そんなに難しかったらつまらなくなっちゃうだろうしね。



 更に翌日、いつものようにデイリークエストを行う。先生(マルグリット)の所にはクエが無いので行く必要は無いが、正直先生に会うのが嫌というと語弊があるが、あの顔を思い出してしまい気が引ける。でもこのままだと疎遠になってしまいそうだし、気持ちを奮い立たせてお店に顔を出してみる。


『カトウさんおはようございます』

 居たのはシャル(シャルロッテ)だった、まあそれはそれで良いんだけどね。


「シャルお弁当美味しかったです。ありがとうございます」

 そう言ったらシャルが照れてたデヘヘ。ガラスの瓶の在庫が増えてたので買って店を出る、先生は、また夜にでも顔を出してみよう。


 何度目かの採集とモンスターの討伐を行って町に帰ると既に夜になっていた。もう店は閉まっているだろうし、酒場の方に顔を出してみる。

 酒場に入って店内を見渡すと、師匠、先生、シャルが丸テーブルに座っているのが見えた。シャルが私に気が付いたようで立ち上がって手招いている。


「こんばんは。ドワ、マル、シャル」

『おう』『はいこんばんは』『こんばんはカトウさん』

 師匠は軽く手をあげて、先生は軽く笑って、シャルは手を小刻みに振りながら挨拶した。エールを注文して席に着く。話題何て持ってないので、コントロールの練習をしていた事や生産スキルを上げていたこと等を伝えた、それ以上の話が出来ないので言葉に詰まる。


『カトウ。実は貴方に話があるの、大事な話よ』

 いつになく真剣な顔をしている先生、きっと先日の何かだ。師匠とシャルは何事かと他の人の顔を伺っている。シャルは聞いては成らない話かと思ったようで席を立とうとしたが、それを先生が押しとどめる。


『貴方達にも聞いて欲しいからそのまま座っていて。カトウ、貴方のLV上げにはもう協力出来ないわ、もうこの町に留まるべきではないわ』

 先生は真剣な顔ままだ。これは冗談では無いのだろう。

いつもありがとうございます。更新はゆっくりですが、引き続きよろしくお願いします。

それとブックマークまだの方是非お願いします。


更新が遅いので、宜しければ他の作品もお願いします。

「緊急特番!タレントが不祥事を起こしたので番組撮り直し」

短編コメディーで笑いだけに特化した作品です。

他にも、面白い話があるかもよ。チラチラ。


あとがきで読者に媚びる事に何のためらいもあるけど、結局やっちゃうぐわじんです。

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