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悪役令嬢は、前世怠惰な魔法使い。  作者: 皐月乃 彩月
続章 そして、世界は大罪に染まる。
27/31

??????

 

 

 

  

──ここに連れてこられてから、どれくらいがたっただろうか?


5年か、3年か……いやもしかしたら、1年であるかもしれないし、もっと短いのかもしれない。


私の体内時計は最早正常な機能を失い、私の精神は一種の破綻を迎えた。

だから、私は身体は生きてはいるが、精神は既に死んでいるのだろう。


ぼんやりと永遠にも続くかのような時の中で、ふとそんな風に考えた。


「家畜風情がっ……! 覚えておれ、いつか必ず妾がっ……!」


大人達が出ていった部屋で、ぶつぶつと少女達の憎悪に充ちた声が聞こえる。

子供達の悲鳴が聞こえるこの部屋で、怒りを維持し続けられる子供はそう居ない。

私が知っている中だと、この少女を除いて5人だけだ。

最近、新しく連れられてきた少女。

この少女は、いつまで絶望せずにいられるだろうか?


私は沢山の管に繋がれた自分の身体に一瞬目を向けると、ゆっくり目を閉じ意識を沈めた。









◆◆◆◆◆◆◆◆









「──貴様は何時までそこで寝ているつもりなのだ?」


かけられた声に目を開けると、室内の顔ぶれは大きく変わっていた。

どうやら、少し眠り過ぎたらしい。

知った顔は、6人しかいなかった。


「む?……どうやら、目を覚ましたようだな」


私に声をかけたのは、前に理不尽に怒りを燃やしていた少女だった。

少女はまだ絶望に堕ちていないようだ。

だからこそ、他の多くが壊れ死にゆくなかで生き残っているのだろう。


「おい、“寝るな”。妾が話し掛けているというのに、無礼であろうが」


再び沈みそうになった意識が、少女の声によって繋ぎ止められる。

抗う事も出来たが、何となく意識を浮上させた。


……これが少女の能力であろうか?


ここに集められた子供達は、何かしら特別な能力を持っていた。

私は包帯だらけの少女に、目を向けた。


「貴様は何故ここにいるのだ? 貴様ならあの家畜共を始末して、此処から出ていけるのだろう?」


少女は私に問うた。


私は今生き残っている中では、恐らく最も古株だ。

故に、他の誰よりも壊れてはいるが完成されている。

少女の予想通り、私は何時でも出て行ける。


けれど、それに何の意味があるのか?


私は久しく動かしていなかった表情筋で、少女に笑みを向けた。

私の嘲りや憐れみが入り交じった笑みに気付いた少女は、眉をしかめて此方を蔑んだ目で睨み付けてきた。


「何もせぬなら、家畜よりも劣る。妾は唯一にして頂点、いつまでもこのような場所に留まるつもりはない」


それだけ言うと、少女は興味が失せたのか私に背を向けて離れていった。


強い少女だ。

確かに他とは一線を画するだろう。


けれど──

少女は此処を出て何処へ行くと言うのだろうか?

此処を出て行ったところで、私達に帰る場所は何処にもないというのに。









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