胸糞スキー生存フラグ破壊
「強制エンドロールが来るとは思ってたが、バリアを破壊できるなんてことあるのか。2の作中では一度も破壊されなかったのに」
バリアは破壊されたがダメージが軽減されたおかげでギリギリ命を奪われなかったミュウは回復魔法をかけて這いずりながら、なんとかヴィランにバレないようにしてその場から逃げようとする。
「クソ、僕から全てを奪ったあいつにケジメをつけさせたいところだがここは撤退だ。僕の双肩にはこの世界の胸糞の未来がかかっている。ここで死ぬわけにはいかない」
胸糞スキーとしての使命感を湧き立たせ、ミュウはゴキブリのような俊敏さで這って進んでいく。
戦いの余波で吹き飛んでいた岩の破片のうらに隠れると、おそらく見つからないだろうと高を括り先ほどの戦いの分析を始める。
「相手は所詮やられ役のラスボスな上、あまつさえこちらはサブヒロインとはいえ、2の主人公を超える力を持った強化騎士な上、初代のチート鎧デウスエクスマキナとタメを張れる鎧だった。デウスエクスマキナと違い、ラスボス特攻兵装は積んでないとはいえ、ガード無効、必中、瞬間再生持ちであるこちらが本来であれば圧勝」
まずお互いがゲーム上で持ちえる要素から洗い出すとやはりミュウが圧勝するという結果を出し、現実との齟齬にミュウの頭に苛立ちが募る。
両者に生じた圧倒的な差をどうして覆せたのか、ミュウには全くわからなかった。
しいてあげるとすればこの世界に来てしてきた努力や学びなどの本来なら微々たる影響しか与えないものということになるが、そんなもので覆されるとはにわかには信じられなかった。
「そんなもので……」
「興味深い個体です。あなたからは有用なデータを引き出せそうです」
「な、なんだ!? お前?」
思索を深めようとするとすると漆黒の髪に赤目、禍々しい見た目の女がいきなり現れると詰め寄ってきた。
疑問をぶつけると周りがいきなり暗転して何も見えなくなった。
「ここに神経と接続するラインがあるんですね」
無感情な抑揚のない声が聞こえると神経が鎧と接続したような感覚に襲われ、激痛が走る。
脳みそを何かに無理やり入り込りこまれて犯されているようだった。
『やめろ! やめてくれ!』
引き起こされる根源的な恐怖に悲鳴をあげるが、侵食は止まらない。
何が起きるかわからないが、流れてくる非人道的な存在に接触することでミュウは自分が死ぬよりも酷い目に遭うことを察した。




