スラム街に潜む胸糞
スラム街の地下。
明らかに堅気ではない男たちが酒を飲み交わしていた。
「診療所にコソ泥のガキが姿を見せなかった。今までの積み重ねが水の泡だ」
「ガキは幸運だったな。これ以上,あんたに騙されて,母親に毒を盛ることはねえわけだ」
その荒くれ者の中で一人だけ浮いている白衣の優男が悪態を付くと,顔に傷がある獣人の男がおかしそうに笑った。
「俺を悪く言うなよ。悪いのはガキなんだ。吹っかけた値段で薬の額を言ったら,健気にも払うって言ってきたからな。本当に人をムラムラさせるガキだ。俺がガキが足掻いてどんどんと不幸になる様を見るのが好きだって言うのを知っていたんだあいつは。煽ったんだよ,俺を。あいつが薬の正体が毒とも知らず必死に金を稼いで,母親を死に追いやる様が見たくなるのもしょうがないことだ」
「相変わらずいい性格してるな。ネタバラシする前にくたばって疼いてんだろ。仕事請け負おうか?」
「気が効くじゃないか。男娼して,妹のために薬を買ってるガキにネタバラシをしようと思ってるんだ。毒で妹がくたばった頃合いの方がよかったんだがな。今回ばかりはしょうがない。いつも通り,真実を知ってガキが絶望した時に始末を頼む。自分が家族を死に追い遣っていたと気づいて絶望した瞬間のあの顔はたまらんからな」
「おう,確かに貰ったぜ」
優男が愉悦に顔を歪めて依頼金を渡すと,獣人の男もほくそ笑んだ。




