万引き犯逃亡エンド破壊
「ヴィラン辺境伯,オオトカゲの討伐ご苦労であった! 敵前逃亡した皇族の腑抜けどもの代わりによくぞ誉を刻んだ! 二つ離れた国ーーテスム共和国から共和国の君主がこちらに来る関係ですぐに褒美を渡すことはできない! それゆえ,褒美までの間,皇都にて待機することが現在の貴君のなすべきことだ!」
「御意」
軍に帰り,サンイーターを討伐したことを報告すると軍の司令官はこの場に皇族がいないこともあり,皇族のことをボロクソに言うと待機を命じてきた。
暇ができた。
特段皇都でやることもないが,金は腐るほどあるので,暗黒平原用の魔道具を大人買いしてしまおうか。
ついでに暗黒平原を管理する人材が見つかれば,一石二鳥だが,領地経営できるほどの人材が転がっているはずがないのでそう甘くはないか。
「泥棒だ!! 捕まえてくれ!!」
魔道具屋に向けて進路をとっていると,魔導具屋の親父の叫び声が聞こえてきた。
見ると,ちょうど店からボロを被った子供が飛び出して来るのが見えた。
俺はこういう強盗事件で犯罪者が裁かれない胸糞オチが一番嫌いなので,子供を風魔法で昏倒させる。
「おお,助かった! 前会った貴族の坊ちゃんか! 割引しとくぜ!」
「いらん。それよりもささっとガキをどうにかしろ」
「ああ,わかってるって。たく,スラム街のガキが,忍び込みやがって」
「何? スラム街のガキ?」
「坊ちゃん,なんだ,ここの近くにスラム街があることを知らなかったのかい。こうやって忘れた頃になると皇都の城下に現れて,そこのガキどもが盗みに来るんだよ」
スラム街。
DLCでは特に記載がないので知らなかったが,皇都にスラム街があるとは。
「都市に蔓延る胸糞の巣窟がここにもあるとはな。なんと言うことだ……。一刻も早く浄化せねばならん。スラム街はどこだ?」
「平民街の外れのゴミ置き場の向こう側だ」
「そのガキを俺に渡せ」
「おい,勘弁してくれよ。騎士に差し出さねえとケジメがつかねえじゃねえか」
俺が子供から手取り早くスラム街の情報を引き出すために,身柄の要求すると,魔導屋の親父が渋り始めた。
「黙れ」
「おいおい,金じゃあ俺は……。大金じゃねえか! 毎度あり!」
手持ちの金貨袋を押し付けると,親父は目の色を変えて,俺に子供を譲った。
「起きろ」
「うっ」
スラム街のことを吐かせるために頬を叩いて子供の目を覚まさせる。
「あんた,誰だ?」
「スラム街のことについて吐け!」
「ヒ,ヒィ!!」




