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9 救援等着 ※他人称視点有り

付け足しですが、今日二本投稿します

「ぶるおおおおお!」


 巨大な咆哮が巻き起こる。

 まるで突風だ。


「おい、シャーリア、こんなの勝てっこねえ。救援要請だ。俺は時間稼ぎする。」


「ふぇえ!?お義兄ちゃん大丈夫なの!?」


「大丈夫だ、俺を信じろ!」


 いい笑顔で言った俺は少し難しい表情を作る。


「ただ、少し囮になって欲しい。」


 大剣狼(ロングソードウルフ)の攻撃を捌きながらそう言う。


「えっ!?そんなの無茶……」


「全力で俺は隠密して、お前は全力で逃げる。そして、俺は不意の一撃で相手のノックアウトして、相手の足を削り取る。」


「……わかった!頑張ってみるよ!」


 その言葉を皮切りに作戦を2人とも実行する。

 ちゃんと全力で逃げてくれているようで何よりだな。

 暫く5秒ほど見逃した後、全ての強化をパワー型に変更し、首の後ろに攻撃を叩き込む。

 相手は全身が痙攣したのか、少しビクンビクンと跳ねながら、仰向けに倒れた。

 そこを足を集中的に叩きまくる。

 2秒もしたら起きてきたが……少し動きが鈍くなっていたようだ。

 ‘勝機が見えたぞ’と思える瞬間だった。


「はっ、こんだけダメージ与えても倒れねえのかよ。

 こりゃあ、スタミナ版に移行して、持久戦仕掛ける仕掛けるしかねえな。」


 そう確信し、持久戦に移行する。

 何ならもとよりそのつもりだったのだ。

 自分が倒したいという欲が出た。

 魔法を練り上げる速度、魔法の威力などは使えば使うほど上昇するが、それが生命の殺害または、殺傷を目的であるとするならば、何十倍にも上昇する。


「つぅまぁりぃ、今が稼ぎ時ってこと!どりゃあ!」


 キィン、と澄んだ音が響き渡る。

 体中に力を巡らせて開放する。


光線百連撃(ライトギルティ)!」


 なん十発の光線が、大剣狼(ロングソードウルフ)の右足の刺さる。

 目に向けて短剣を一閃し、さらにそこに光弾(ライトボール)を打ち込む。

 この程度の魔法は、無詠唱で打てることが可能だ。


「しっ!」


 鋭い剣戟を幾たびにも繰り返す。

 爪の剣がついに一つ折れる。

 剣が生えてくるところに剣で切り込む。


「はっはっは!その程度かよ!いぬっころ!

 爪は痛いなぁ苦しぃなぁ!

 どんどん魔力を消費してくれるバカ頭に今は感謝しなきゃいけないなぁ!」


 爪とはいえ体を修復するには魔力を消費するのだ。

 その言葉を発するとともにこう思う。『勝てるかも!?』と。

 そんなに甘くはないのだ。

 神速(カミノハヤテ)が打てたとしてもそれは変わらないだろう。

 何故ならどのみち一撃で倒せるビジョンが思い浮かばないからだ。


「じらして、じらして、じらしまくる。

 倒せるかもしれない。

 そんな隙を作りぎりぎりになって最短距離でよける。

 この時点で、お前は体力管理って面で負けている。

 残念だったな。お前はもうすぐ魔力切れだろう?

 俺は他人より魔力総量が多いから、このくらい余裕なんだよ。」


 こんな返事がないとわかりきっているような言葉に返事が返ってくる。


「お待たせ。」


「救援到着だよっ!」


 と。


 ***


「おい、お前らかけ事なんてやめろ!」


「げっ、ギルマスだ!にげろぉー」


 そんな棒読み野郎に逃げられた男はギルドマスターのグラディウス=ホミエルスだ。

 強面で、泣く子も黙るがものすごく優しく、この怖い顔がコンプレックスらしい。

 今日も平和だと内心思っていた。


 だが、ニッケル=ローランドが、爪を一つ削り終わったくらいで、シャーリアが冒険者ギルドに無事到着した。


「危険区域レベル2で、上位種の異常個体が発生しました!

 仲間が足止めしています。助けてください。」


 その凶報を聞いた瞬間作戦が立案される。


「ここにいる、Bランクのパーティーの魔獣の王は、緊急依頼だ。

 俺を連れていけ。」


「「「「今すぐ動けるぜ」」」」


 四人が同時に返事をして、その中の唯一の幹部が俺とそこの女を連れていくことになった。

 おそらく四人同時に返事することになった原因であろう女は普通に一般的に美女といわれる人材だが、俺にも女房がいるため死にたくはない。


「ありがとうございます!」


 その女はシャーリアというようで、泣き顔で感謝を伝えてくる。


「行こうぜ!」


 そう、魔獣の王の幹部が言うと俺たち三人が外に出た。

 そして、速度特化の魔獣である『劣化神獣(レッサーフェンリル)』だ。

 神獣はどんな風よりも早く進むことができる、風の加護をもっているそうだ。

 さらに、その劣化神獣(レッサーフェンリル)をテイムしているこの幹部もすごいが……


 本当に風を置いていくほどとは言わないでも爆速で走っていく劣化神獣(レッサーフェンリル)を見て、俺は元Sランク冒険者だから上から目線だが、シャーリアはどういった風に見えているのかが気になりそっち向くと、目を輝かせていた。


「しゃべるな、舌を噛むぞ。」


 そういうと、ハトが豆鉄砲食らったような顔をして驚いた。

 お前が言うな、とか思っているんだろうな。手に取るように解る。


 そんなこんなして道案内してもらいながら、目的地に着くと信じられない光景が広がっていた……が、それでも俺は戦わなくちゃならない。共に……な。


 ***


 救援が到着したようだ。

 活路を見いだせたぞ!

 そう思い、短剣を強く握りしめる。


「すみません!俺は足止めをしてほかの方々は首を狙ってください!弱点です。」


「見たらわかる。しかし、お前ひとりで大丈夫なのか?」


「問題ないですそれで今まで時間を稼いできたわけですしね。」


 何とか全員茂みに囲まれた場所を見つけ作戦会議を始める。


「ふむ、女は何ができる?」


 そう聞かれたシャーリアは、こわもてのおじさんに聞かれてたじたじになっている。


「わ、私は……火属性の魔力量倍化で物量作戦で押してます。

 ただ、お義兄ちゃんにおんぶにだっこなので……」


「そこそこの火力は出せますよ。危険区域レベル1くらいはやっていけます。」


 それを聞いたギルドマスターは、納得したといった表情になる。


火の玉(アグニピラ)二発くらいは出せるってことか?」


「はい!」


「そしてお前は何ができる?」


 そう聞かれた俺は答える。


光弾(ライトボール)を無詠唱。光線百連撃(ライトギルティ)に、光玉雨(ライトボールレイン)と、身体強化魔法のスタミナ版とパワー版 脚力 腕力 そして、感覚鋭敏ってところですかね。」


 それを聞いたギルドマスターは驚いた顔をして改めて質問する。


「学園の生徒のSクラスか?」


 その問いに俺はあっさり答えた。


「「はい。」」


 その言葉の意味を理解し、さらに驚く。

 二人同時に答えたという意味を。


「まさか、二人共とはな。片方はSクラスだとは思ったが。」


 これは、Sクラスの人間は総じて、プライドが高いのでチームをふつう組まない。という意味が含まれている。


「さっき、シャーリアが俺のことをお義兄ちゃんってよんだでしょ?」


 その言葉に本日二度目の納得した表情を見せるギルドマスター。


「なるほどな。」


「なら俺の後輩になるわけだ。よろしく!」


 さっきから空気になってた、テイマーの人が急に饒舌になる。

 よほどしゃべれる内容が来てうれしかったのだろう。


「兎に角、戦いはもう始まるようですね!」


 俺たちの後ろには大剣狼(ロングソードウルフ)がすぐそこにやってきていた。

ブクマと星5つください『乞食』

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