7 自己紹介(?)
今日は二本投稿します
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あの状況から少しマシになった……気がする。
まず、男子から白い目で見られるようになってしまった。
義妹よ、離れてくれないか?サーシャは嬉しいんだけど目的が透けて見えるから嬉しくも何ともない。
嬉しくもない……訳ねえだろう!
そこに担任の、エステル先生が来た!
きゅ、救世主だあ!
内心そう思っていた時もありました。
だって投げかけられた言葉がこうだもん……
「モテモテだな。よかったな。」
「た、助けてくださいよぉ〜」
「お前も一昨日助けてくれなかったじゃないか。」
「あれは先生の自業自得……」
「ブーメラン刺さってることに気づけよ……はぁ。」
諦めたかのように頭をぽりぽり掻く。
そして、俺は見逃さなかった。何か企んでいるのかニヤッとしている。
「自己紹介するか!」
別にそれ位構わんが……だって趣味と、名前と、得意な事ぐらいじゃないか?
あ……趣味や。
「お前らは何か勘違いしている。自己紹介は順位付けも含まれている。
しかも、最上位クラスは10人しかいない。」
すいません勘違いしてました。
周りを見れば、紅3点と言ったようにこいつら以外に女子は1人しかいない。
そして俺が最後だって事は……10人しかこのクラスいないとか悲しい。
「ちなみに座学部門もあるぞ。これは既に事前テストしてたが、一位はニッケル=ローランドだ。
二位はサーシャ=ハンブレーウス、三位はローリー=ウィルコックス、四位はレオーン=アザロフ、五位はエルナ=ロルツィング、六位はニッケル=シャーリア、七位はアラン=スィソエフ、八位はグスタフ=ペルション、九位はコンスタンタン=ラバーレ、最下位アルゴ=カサーリだ。」
「「「分かりました。」」」
一位は俺か。思ったより好成績だったな。
サーシャも高い。ただ、、、そう思いながら義妹の目を見る。
ウルウルとした目をしている。
そうかそうか、順位をもっと上げたいのか。
「今度勉強手伝ってやるよ。」
「うわーーーーん」
泣き出した!?何故だ!?
「な、何で泣いてるの?」
「酷いんだよ!だってね、1日のうち寝る時と風呂入ってる時以外ずっと勉強なんだよ!!
ご飯食べてる時も常時質問してくるしでひどいんだよ!!
目も当てられない状況になってたのに、少し解放してもらえたと思ってお風呂でゆっくりしてたら『お風呂も5分で上がれ』って言ってくるし……」
「それはローランドが悪い!」
「毎日それぐらいしないといけないんだぞ……普通は……」
「あんたの普通はぶっ飛んでるわ。」
うーん、前世ではこれでも優しい方なのだと、言われたのだが……常識が少しずれているのかも知れないな。
「そこ!私語禁止!はあ、そろそろいくぞ。」
「第何アリーナですか?」
第一アリーナから第五アリーナまであるようだが……
何処まであるのだろう?って言うくらい広かった。
「そのことも知らんのか……
まあいい。第四アリーナだ。いくぞ。」
その言葉を皮切りに皆立ち始める。
そして、第四アリーナへクラス内順位を決めにいくのだった。
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アリーナはダンジョンだ。
ダンジョン内ではHPに守られるため怪我はしない。
HPがなくなると何処にいるのかも全くわからなくなる。
更にその後、すぐに所謂『反省部屋』に行かされるそうだ。
だから手加減の必要はないとのこと。
「総当たり戦だ。心してかかれよ?」
「「「はい!」」」
2本の短剣、『アスカロン』と『アゾット』を、手に構える。
『アスカロン』は、前世で悠久の旅人の二つ名を持つ‘ジョージ’を殺した際に手に入れた物だ。
噂によると、20メートルのトカゲ、要は恐竜を倒した剣であるそうだが眉唾だと思う。
名剣ではあるから今でも愛用しているが。
『アゾット』は、世界最高の名医でもあり、裏では錬金術という禁じられた魔術を行なっていた、パラケルススが、錬金術で作った物であるらしい。
錬金術では賢者の石を使用して、鍔に宝玉が嵌められそこに、賢者の石の養分と、最硬の魔石である魔金剛石で、行き来して更にそこに悪魔を封印することで力の循環をおこなっているそうだ。
こんなもは前世では信じられなかったが今では信じられる。
よく俺の手に馴染む剣だ。
力一杯に剣を握る。
そうすると自然とコチラに力が流れてくる。
‘始め’の合図があった途端に走り出す。
相手は、ローリー=ウィルコックスだ。
手袋をつけた状態で、レイピアに似た槍を使ってきた。
握力が強すぎるのか持ち手がみしみし音を立てている。
槍を弾くのは至難の業だろう。
ならどうするか、それは見切りだ。
「なっ!?僕の突きが見切られるだとっ!?」
驚愕の表情に染まっているようだ。
だが今は戦いの中ということを忘れちゃいけない。
「まだまだ!」
「なかなかに速いな。」
ただ俺はどんなところで修行してきたと思っている?
暗殺者の修練場の中では中の上くらいしかないな。
感心するよ、こんなに速く早く槍を放つことができるなんて。
「感覚鋭敏かな?相当優秀だな。
使い手によって利便さや強さが変わることも多いがお前は何の感覚を鋭敏にしているんだ?」
「そこまでこぎつけたか!?とんだ観察眼だな!」
「ふふっ、照れるなぁ」
そう言いながら短剣を振るう。
狙い目は奴の足!
それを察したのか槍を下段に構えてくる。
こういう争いは前世では一切してこなかった。
新鮮で仕方ない。強くならないと!
どんな生物であろうと殺すそれが暗殺者だ!
「覇ぁ!」
「紗亜ぁ!」
「剣聖の本気見せてやるっ!」
「槍聖の本気見せてやるっ!」
くそっ!速い!ここまでとは!?
「無槍雨っ!」
「神速っ!舞っ!」
これが戦いの境地に立たされた時に発生する固有能力……
神速は何人にも抜かされず追い付かれない最速の?
これじゃあ、まるで光みたいだ。
ただ俺は自由には扱えないようだ。
そう思ったのも束の間……
「紗亜ぁ!」
「ぐ、はぁ……」
HPがなくなった。
「敗者!ニッケル=ローランド!」
そして意識を手放すのだった。
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頭痛で俺は目を覚ます。
ここは……白い天井、そして柔らかい枕に、ゴワゴワの布団……
これは病室か?
「あ、起きた!」
そういえばさっきから天井が半分しか見えないんだよな。
皆さん、お分かりだろうか?
これは膝枕という物らしい。
「ねぇ、さっきの順位結局義兄ちゃん3位だったよ。
一位は、サーシャ=ハンブレーウスだったみたい。
これ見て。」
一位 サーシャ=ハンブレーウス
二位 ローリー=ウィルコックス
三位 ニッケル=ローランド
四位 アルゴ=カサーリ
五位 グスタフ=ペルション
六位 コンスタンタン=ラバーレ
七位 ニッケル=シャーリア
八位 アラン=スィソエフ
九位 エルナ=ロルツィング
最下位 レオーン=アザロフ
へー、結構座学と違うね。
あっちは努力でこっちは天賦の才が影響するからね。
大きく差ができたんだろうね……
取り敢えず明日は狩りか……
そう思いながら深い眠りにつくのだった。。。