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宝石龍の生き残り計画  作者: おもち丸
3/47

3話

-蝙蝠は問題なく退けられた。


となると、行動の選択肢が増えることになる。

もし蝙蝠相手にも苦戦するようなら、下手をすればこの場所から動けなくなるところだった。2日連続で姿を見たということは、それなりな数がこの洞窟内、あるいはこの付近にいるとも考えられるからだ。


(まず、この洞窟がなんなのか… ここはドコなのか。

それより何より、とにかく外に出たい…!!)


まだ2日目とは言え、代わり映えのない薄暗い景色ばかりだと気分が滅入ってくる。

どちらへ進めば外に出られるか分からないが、敵を倒せたことで一歩踏み出す勇気がでてきた。




(硬い身体に鋭い爪… 他に、何ができる…??)




目を閉じて意識を集中する。

頭… 腕… 足…。人間にもあるそれら以外にも、動く場所はないか。

背中の羽、尻尾、額の角…。この身体ならではならでの部位を意識する。


まず、羽。

力を入れて羽ばたかせると、激しい風と共に土埃が舞う。そのまましばらく全力で動かしてみたが、まだ身体が小さく羽も大きくないため、身体を少し浮かせて前に進ませるので精一杯だ。どう考えても歩いた方が早いしラクだ。

羽を動かしすぎて腹が減ったので、とりあえずさっきの蝙蝠の岩の部分を食べておく。

後ついでにナイフ代わりに牙を拾ってみたが、自分の爪で切った方が早そうだ。



続いて、尻尾。

とりあえず近くの壁に叩きつけてみると、ズガン!と壁が抉れた。

威力はあるが、自分の尻尾もそんなに長くはないため、わざわざ相手に背中を向けて隙を見せるより爪で切りかかった方が良さそうだ。

背後の相手への牽制としては使えそうだが。



最後に、角。

角は突っつくイメージしかなかったので壁に向かってヘディングをかましてみたが、根元から折れるかと思った。滅茶苦茶痛かった。

他になにかに使えないか角に意識を集中してみる。

それを続けていると、角が少し熱くなってきた気がする。

何かが起こるかとそのまま角に意識を集中してみる。

すると段々身体中に熱が生まれ、それらが角に集まってくるのを感じた。ただ、角が熱くなる以上の変化は感じられない。



(羽や尻尾を動かしたときとは違う、熱を感じたけど…。

角には、何か使い道があるのかも知れないな。ただそれが何なのか今はわからないけど…)


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


(あまり成果は得られなかったけど)

今の自分にできることを一通り確認できたので、いよいよ先へ進むことにする。


まず昨日の蝙蝠の死骸と折れた剣先、そして矢が散らばった場所に向かい改めて現場を観察する。


死骸の顔の向き、矢の突き刺さり方、剣先があった位置………。


矢は基本的に真っ直ぐに飛ぶであろうことを考えると、矢羽根がある方から誰かが弓を射ったことになる。



(ってことは、こっちの方向から冒険者が来たってことだよな…??)



洞窟の奥部から戻って来た際に敵と遭遇した可能性もあるが、外に繋がる道に出れる可能性も高い。


それにここから鏃側に向かって歩いた場合は冒険者たちに遭遇する可能性もある。


(今のこの姿で人間の前に姿を見せるのは… 不味い、よな…??)


なんせ今の自分は怪物の姿をしている。いくら『元人間だ』と話したところで口からは鳴き声しか出ないし、そもそも突拍子もなさすぎて信じて貰えないだろう。


(とりあえず、こっちに進んでみるか。)



---こうして、矢羽根側に向かって続く道へと歩き始めた。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇




途中で例の蝙蝠の他に自分の2倍はあるであろう大きな蜘蛛と、背中が金属でできた蜥蜴に出会った。


蜘蛛は前の世界にもいたタランチュラに似た姿をしていて、やはりお腹辺りが岩ででてきた。

毛の生えた大きな蜘蛛は個人的にムリだったので必死に走って逃げたが、相手は身体の大きさと蜘蛛の運動性であっという間に追いつかれる。

蜘蛛は口から灰色の煙を吐いてきたので、横に転んで避ける。そして吐息が当たった地面をみると、そこに生えていた草が石になっていた。

あまり時間をかけたら不味いと思いさっさと切り裂いたが、断末魔と毛の生えた蜘蛛を切った気持ち悪さから背筋がゾワゾワしっ放しになってしまい、思わずその場から逃げだした。


背中が金属でできた蜥蜴は動きが遅いため、楽勝だった。

背中の金属を食べるとソーセージみたいな味がする上に身体が少し温まって美味しかった。




洞窟を道に沿って歩く。

曲がり角は全て右に曲がることにし、遭遇した魔物と戦い、疲れたら穴を掘って壁の中で息を潜めながら鉱石を食べてから寝る。


そんな風に過ごしていると、段々洞窟内が明るくなってくるのを感じた。



数多くある素晴らしい小説の中から、このような拙い話を目に留めて呼んで下さり本当にありがとうございます。

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