表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝石龍の生き残り計画  作者: おもち丸
22/47

21話

※本日は2話投稿しております。

まだお読みでない方は、そちらからお読み下さい。

部屋でウトウトしながらぼーっと待っていると、

ゼラードが戻ってきた。



あの後暇になった俺は、部屋の中にあるものを観察をしていたのだが。

タンスとに清潔でフカフカのベッド。

その向かいに机と2脚の椅子があるシンプルな6畳ほどの部屋だ。


風呂やトイレはどうするんだろうという疑問以外は、異世界ならではというような発見は今のところ無い。


部屋には窓もあったが、俺の背丈では外の様子を伺うことはできなかった。飛ぶのは疲れるから止めといた。


窓から射し込む日差しは、既に夕方の柔らかな黄昏色のそれとなっていた。

男は昼頃外に出たので、それなりな時間が過ぎたようだ。



男は俺を掴んで机の上に乗せると、自分も椅子に座り



「飯だ」



と言いながら、腰のポーチから青い大きな魔石を取り出したのだった。



深く澄んだ、時に荒れ狂う水の力を感じさせる大きな魔石。



それを、「飯だ」 と気軽に渡してくる男。



(---いやいやいやいやっ?!)



森で見かけた男達の話から推測すると、魔石は決して安いものでは無いようだ。

しかもこの魔石は中々の【水の魔力】を帯びているように感じるし、高級品のように思える。

こんな気軽に受け取っても良いものなんだろうか。



受け取ることを躊躇する俺に苛立った男は舌打ちすると、ガツンと魔石を俺の顔にぶつけてくる。そして、



「こんぐれぇの魔石なら、またすぐ手に入る。

・・・一々面倒だから、さっさと食え。」



と言い放った。


これだけの魔石を、またすぐ手に入れられるって。


男はソロで冒険者をしてるのだから実力はあるのだろうが、どうやら中々の高級取りのようだ。

俺も自分の食い扶持くらいは頑張って稼がねば。


もだもだ考えていると、グリグリ魔石を押し付けてくるので有り難く頂く。





(----っ?! なんだコレ!! ウっっっマい!!!)





その魔石は、日本人だった頃に住んでいた田舎では食べた事のないような極上のスープの様な味がした。

あまりの美味さに、高級品だから味わって食べようとしていたことなど忘れ夢中で貪ってしまう。


ペロりと平らげると、川の石や岩などでは決して得られない満足感に思わず恍惚とした溜め息が漏れた。


男はそんな俺を何を言うでもなく見ていたが、ふと



「お」



と声を上げた。

どうしたのだと伺うと、俺の脇腹辺りを指さしながら



「今喰った魔石の欠片が、そこらから出てきたぞ。」



と教えてくれた。


首を捻って見てみると、水晶を覆うように生える白銀色の金属の間から、先程食べたものと同じ色の石が、鱗状に生えていた。


自分の身体ながら、ワケが分からなさ過ぎて



「ぴぎゃっ?!」



と驚きの声が漏れる。



「お前、自分の身体のことなのに気付いてなかったのか。」



ゼラードは呆れた声を出しながらも、



「あの後用事を思い出してギルドに寄った際にドゥーガに聞いたんだがな。


力の弱い鉱石は栄養や魔力として、力のある鉱石は【宝石龍】の身体の一部となってそいつの力となるらしい。


だから【宝石龍】の身体を見れば、そいつが『何』を喰って生きてきたのか分かるんだとよ。」



面白そうに新しく生えた青い鱗を突つきながら、そう教えてくれる。



(そういうことか・・・)



魔力を含まない川辺の石や岩では、空腹を誤魔化すことしか出来なかったのは、そういった理由のようだ。



「見たところお前は、【無の魔力】を持つ【魔水晶】と、通す魔力の属性でその性質が変わり【光の魔力】も併せ持つ【ミスリル】が中心となっているようだな。

目は【アダマンタイト】と、力を持たないが純粋で大きな宝石といったとこか。


おっ、お前【土の魔石】を喰ってたのか! 黄色い鱗もあるぞ!」



と男は楽しそうに俺をあちこちひっくり返しながら眺めている。



初めて見るちょっと浮かれたような様子が気味悪く、少し引く。



【魔水晶】はきっと俺の身体の中心となっているものだ。鉱山にあった水晶も同じものだったのだろうか?

【ミスリル】は身体を覆う白銀色の金属の事らしい。喰った記憶などないので、生まれつきとしか言いようがない。

【アダマンタイト】は折れた剣先に映っていた金色の目のことだろうか。

【土の魔石】は【ストーン・バレット】を教えてくれた黄色い石のことだろう。



(・・・って、あれ??

今、【水の魔石】が身体の一部になったということは―。)



と思い目を閉じて身体の中の力に集中すると、相変わらず強い【土】の力の陰に、今まで感じなかった微かな【水の力】を感じた。



(水の力。なら・・・)



指先に小さな水の球を思い浮かべ、【水の魔力】を乗せる。

すると、イメージ通り指先に小さな水の球が浮かんだのだった。



「どうやら、魔石の力を自分のモノにしたようだな。」



と、俺の様子を見守っていたゼラードが言う。



「ぴ、ぴぎゃう・・・(そ、そうみたいなんだけど・・・)。」



その通りなのだが、気になることが。



(こんな小さな水球でも、ある程度の力を持っていかれた。

取り込んだ魔石が帯びていた魔力はもっと強かったし、喰らった魔石の力をそのまま自分の力にできる訳では無いのか?)


ということは。



『新しい属性の魔力』を手に入れたり、『魔力の最大容量』を増やすためには、今みたいに『力をもった魔石』をどんどん取り込んでいくことが必要なようだ。




(魔石を取り込むことが、俺の身を守ることにも・・・。


コイツの、役に立つ方法にも繋がる、ということか・・・。)



ならば、今後は機会があれば積極的に魔石を集めることにする。



そう考えごとをしていたら集中が途切れ、指先の水球が弾けてゼラードの顔を濡らしてしまい殴られたのであった。



今回もこのような話をお読み下さり、ありがとうございました!


こうして文章を書いてみると、自分の苦手なことがどんどん浮かび上がってきますね・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ