穏やかになった日々
日々は以前とは違った流れで過ぎていった。
もはや痛みと罪悪感と訓練の連続ではなかった。
村人たちは少しずつ、リアナが自分たちの守護者であるという考えに慣れていった。
最初は戸惑った。
人々は彼女に敬意を払い、ほとんど畏敬の念を込めて挨拶するようになった。
子供たちは彼女を指さし、「あの人だ!アッシュウルフを追い払った人だ!」と囁いた。
女性たちは宿屋の戸口に果物や焼きたてのパンの入った籠を置いていった。「彼女が元気を取り戻せるように」と。
男たちはもはや彼女を疑いの目で見ることはなく、家畜や作物に問題があると彼女に助言を求めるようになった。
リアナはどう反応すればいいのか分からなかった。
時には微笑み、
時には居心地悪そうにうつむいた。
しかし、感謝の気持ちを拒むことは決してなかった。
アデルとアレクシアは、彼女を守る影のような存在になった。
リアナが休みの日になると、彼女たちは決まって何かしらの口実をつけて宿屋にやってきた。「お花の手入れを手伝って」「今日はバラに肥料をやらなきゃいけないの」「パンを持ってきたわ」。
本当は、ただリアナと一緒にいたかっただけなのだ。
ある日、裏庭で植物に水をやっている時、アデルが何気なく言った。
「ねえ、村の人たちはもうあなたのことを怖がってないわよ。むしろあなたのことを慕っているの。あなたを、自分たちを守ってくれる人だと思っているのよ」
リアナはじっと立ち尽くし、じっと水やり用のジョウロを手にしていた。
「もし、いつか私が村の人たちを守れなくなったら?」
アレクシアが近づき、優しくジョウロをリアナから受け取った。
「そしたら、私たちがあなたを守るわ。もう言ったでしょ。私たちもあなたの守護者なのよ」
アデルは微笑んだ。
「宿屋の主人もね。彼はあなたのことを…そう、まるで自分の娘のように思っているのが分かるわ」
リアナは胸が温かくなるのを感じた。「彼…私を家族のお墓に連れて行ってくれたの。」
二人の少女はしばらく黙っていた。
それからアレクシアが静かに言った。
「それはすごく嬉しいわ。
彼は誰もそこへ連れて行かないのに。」
リアナは花を見つめた。
「私…こんな日が来るなんて思ってもみなかった。
友達。
私を気にかけてくれる人。
いつも隠れていなくていい場所。」
アデルはリアナの手を取った。
「そうね、今はもう手に入れたわ。」
「そう簡単には行かせないわよ。」
日々は過ぎていった。
リアナは宿屋の主人と朝の修行に励んだ。
彼はもうただうなり声を上げるだけではなかった。
時には、力強くも優しい手で彼女の姿勢を正してくれた。
修行の後、彼は何も言わずに彼女の皿にチーズや蜂蜜を少し残してくれた。
午後は宿屋の手伝いをした。
夜、村が眠りにつくと、彼女はこっそりと森の空き地で女神たちと修行した。
そして数日おきに、アデルとアレクシアの庭へ行った。
そこでは、彼女は守護者ではなかった。
ただのリアナだった。
彼女たちは花に水をやり、
くだらない話をし、
水をかけ合い、
笑い合った。
そしてリアナは、少しずつ、両方を手に入れることができると信じ始めた。
自分の中に秘められた力と、
守るに値する人生。
ある日の午後、三人がラベンダー畑に座っていると、アデルが突然言った。
「この中で一番美しいことって何だと思う?」
リアナは彼女を見た。
「何?」
アデルは微笑んだ。
「もう普通を装う必要がないこと。
ありのままの自分でいられる。
心の中に抱えているもの全てを。
そして、私たちはここにいる。」
アレクシアは頷いた。
「村の人たちもね。
少しずつ、みんな守護者に慣れてきているわ。」
リアナは周りに咲く花々を見つめた。
そして初めて、未来について考えても罪悪感を感じなかった。
ただ希望だけを感じた。
小さく、
儚く、
でも、確かに。
ここまで読んでくださり、心から感謝いたします。
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