4 女子たちのルール
春の潮風が運動場の砂を少しだけ巻き上げるころ。
美浜小学校の教室では、昼のチャイムが鳴ると同時に、給食のにおいが広がった。
ナギは毎日、この時間が好きだった。
海の家で母が作る味噌汁も好きだけど、給食のパンやスープも、どれも新鮮に思えた。
「ナギ、それ全部食べちゃうの?」
同じ班の由衣が、スプーンを止めて言った。
「うん。おいしいから」
「……そっか。でもね、うちのクラス、女子は一品残すルールなの」
ナギは目を瞬いた。
「どうして?」
「だって、みんなが全部食べたら、嫌いなものが出たとき困るじゃない? 誰かが“これ苦手だから食べて”って言っても、もう残ってないと助け合えないでしょ」
由衣はそう言って、牛乳を少し残した。
まわりの女子たちも同じように、少しだけおかずを皿に残していた。
ナギだけが、いつも通り全部を食べ終えて、空になった皿を両手で包みこんだ。
波の音が、胸の奥で静かに響いた。
海では、魚も貝も、残したりはしない。命は命のまま、巡っていく。
ナギはそう教えられて育った。
「ねえ、由衣」
「なに?」
「わたし、残さない。でもね、誰かが困ってたら、食べてあげるよ」
そう言って笑ったナギの笑顔に、由衣は少し戸惑いながらも、
「……ナギって、変わってるね」と笑い返した。
その日の放課後。
由衣は給食当番のナギが、みんなの皿をきれいに洗っているのを見て、
ふと、潮の匂いを感じた。
* * *
夕方。浜辺の防波堤の上で、青は波を見つめながら言った。
「女子って、いろいろあるんだな」
「うん。でもね、悪いルールじゃないよ。みんなで助け合おうって気持ち、分かるから」
ナギはそう言って、小石を海に投げた。波がやさしく返してくる。
「でも、ナギは残さなかったんだろ?」
「うん。残したら、もったいないから。海の魚たち、ぜんぶ食べるでしょ」
青は笑って、「たしかにな」とつぶやいた。
夕陽の光が二人の顔を赤く染める。
潮の匂いが、ナギの髪の間をすり抜けていった。
青はその横顔を見ながら思った。
――ナギの心は、まるで潮のゆりかごみたいだ。
誰かを責めず、すべてを包みこむように、静かに揺れている。
アイデアを出してAIが書きました。
青い海のナギ、掌編、潮のゆりかごは、時はランダムです。
そのワンシーンを切り取るような物語です。
今回は、小学生のナギと青たちです。




