12 海の中の友だち、青にライバル現る
小学生編の書き切れなかった夏休みの出来事です。
夏の日の午後、青とナギとシロは、いつもの防波堤で遊んでいた。
「今日は誰が一番遠くまで石を投げられるか競争だ!」
青がそう言うと、ナギはにっこり笑って石を拾った。
けれど、結果は──ナギの勝ち。
石は青のよりもずっと遠く、海の向こうへ飛んでいった。
「やった!」
ナギは両手を広げて嬉しそうに叫んだ。
「ほら見て、私の方が上手でしょ!」
青は悔しくて顔を赤くした。
「女の子のくせに……」
その一言に、ナギの表情が曇った。
「女の子のくせにって、どういうこと? 青だって負けたのに!」
「俺は本気じゃなかったんだ!」
「うそ! 全力だったでしょ!」
二人は睨み合い、ついに青はぷいっと顔を背けた。
シロが「くぅん」と小さく鳴いて、二人の間にちょこんと座る。
しばらくして、沈黙が続いた。
風に揺れる潮の匂い。空には白い雲が流れていく。
青とナギ、2人はお互いに声をかけられなくなり、お互いを背にして反対方向の海を眺めていた。
「ナギ!」
そんな時、ナギに男の子の声がかかった。男の子は青と同じくらいの背丈で、銀髪に深い藍色の瞳をしていた。
「ルカ!」
ナギは突然のルカの登場にびっくりした。
「どうして、ここにいるの? 海の中じゃあ︙」
ルカと呼ばれた男の子も人魚だった。青は間が悪いところで、突然のルカの登場に面食らったが、2人の間に入って行けず、ルカとナギのやりとりを聞いていた。
「ナギが、人間の学校の夏休みだから会いにきた。ナギが海にいないと寂しいや」
青は、よくしゃあしゃあとそんな恥ずかしいことが言えるなあと膨れっ面で聞いていた。
「仕方ないわ。私は人間界で修行なんだから。でも、ルカが会いに来てくれてとても嬉しい!」
なっ、なっ、なんだよー、ナギ!
青は心の中でごちた。
「……ルカなんかに、そんなこと言われて――」
思わず悔しさが込み上げる。
でも、ナギが楽しそうに笑う顔を見たら、口に出すこともできなかった。
青はしょんぼりと肩を落とし、海に視線を落とした。
ルカはそんな青に気づき、すぐに理解した。
「この子、ナギのこと……すごく大事に思ってるんだな」
青の拗ねた仕草や、目を逸らすたびの小さな動作、全部がルカには正直すぎるくらいに見えた。
「なるほど、人間の子も意外と分かりやすいんだね……」
ルカは微笑みながら、ナギと目を合わせ、少しだけ肩をすくめた。
ナギはまだ嬉しそうに笑っている。
「青、大丈夫? あんまり拗ねすぎるとシロも困るよ」
青はふてくされ顔のまま、しばらく黙っていたが、やがて石を手に取り、防波堤に置いた。
「……俺、ナギにあんなこと言っちゃって︙」
ルカは青とナギの関係にぼくの出る幕はないやと静かにうなずき、ナギ向かって手を振った。
「ナギ、また会おうね!」
ナギも笑顔で手を振り返す。ルカは波に身を沈め、すっと海の中へ戻っていった。
青はその後ろ姿を見つめ、深く息をついた。
そして小さな声でつぶやく。
「……ごめん、負けたのが悔しかっただけだ」
ナギは目をぱちぱちさせて、そしてふっと笑った。
「私も、ちょっと言いすぎちゃった。青とケンカするのはいや」
二人は顔を見合わせ、同時に「ごめん」と言って笑った。
シロがうれしそうに尻尾を振り、二人の間をくるくる回る。
「なぁ、次はシロも一緒にかけっこしよう!」
「いいね! 今度は負けないから!」
太陽に照らされた防波堤に、また仲直りした二人の声が元気に響いていた。
青に人魚のライバルが出てきたら面白いかなと作りました。でも、あっさり引き下がりましたが。
アイデアを出して、AIが書いたものを加筆修正しました。




