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7 図書室行きたい



午後の診療を終え、慌ただしく帰る準備をして走って帰った。何とか門限を破らずに寮に帰り着き、寮の食堂で息を整えながら欲しいだけ食べ物を取ってカトレアの横に座った。


「おかえりなさい!お疲れ様。」


「ただいま!ありがとう。」


お腹が空いて猛烈な勢いで食べ始めてからそう経たずに、会話の流れでカトレアが魔法実技での事を思い出してしまった。


「そういえば…すごかったね、あれ!ビックリしたよ!」


「あはは…自分でもビックリだよ!あんなにたくさんの人に見られて緊張しちゃった!クォーターエルフなんだけど、エルフだったおばあさんには会った事が無いし、お父さんも死んじゃったからさ。よく分かんないだよね。」


「そうなの…私たちの親の世代だとまだ差別があったらしいから、教えてくれる人、探すのも難しいかもね。あまり表立ってハーフエルフだと言っている人は見ないもの。」


「…そうなんだ。でも別にいいよ!だって多少遠回りにはなるけど、自分で自分の事知っていく方が面白いじゃん!」


多分今ここで、ハイあなたのお母様はここにいて、ナニーはここにいますよ。今は何をしていて、あなたが望めばすぐに会いに行けますよ!


…とか言われたって多分私は戸惑って動けない。一歩々々自分で手がかりを見つけて行った方が、心の準備にもなるんじゃないかな。


という事で、明日は図書室に行こう!



と決めて、翌朝早めに起きて行こうかと思ったら、寮の開扉と朝食の時間が決まっていて、とてもそんな余裕は無いと分かった。


今日の授業は歴史、算学、馬術、剣術で、歴史と算学は問題無く進み、新しい体育的選択授業を興味津々で受けた。


馬術は初日なので馬に触れる事すらせず、馬についての知識(利用法、乗馬姿勢、合図の出し方、世話の仕方)などを教わり、ほのぼの餌やりタイムを経て終わった。


剣術に関しては、スラムにいる以上必要だと思って真剣に授業に臨んだのだが……どうにも道場剣術というのか?型にはまった動きしかしないというか…これはこれで素晴らしいんだろうけど、実際無頼者に切りかかられた時に対処できるのかっていうと無理だと思うのよね。


こっちが綺麗な受け返しをしている間に敵は足で砂蹴って目くらましくらいは普通にやってくるし、それどころか隠し武器を持ってたり、途中で不意に剣を捨てて殴りかかって来たりと、その時その時の判断が要求される実際の現場では使えない。


こちらも初回は剣には触れず、受け身の取り方を教わったり急所の場所を教わったりしただけで終わった。あんちゃん凄いや!あんちゃん直伝の受け身ですぐに合格判定貰いましたとさ。


ちなみにこの授業、貴族の女子は見学してたよ…まあ、護衛に守って貰うんなら必要無いもんね。あと、そんなヒラヒラしたドレスでは絶対に無理だ!


さーて、いよいよ昼休み!図書室に行くぞ!…って思って頑張って急いでご飯をかきこんでたら、肩を叩かれてにっこりと、でも目は怖く、まったく笑ってない感じでまたお誘いを受けてしまった…


「今日はお誘い…受けて頂けますよね?」


「えっと、今日に限らず午後からは駄目なんです。庶民なので家業の手伝いがありまして…」


どどど、どうやって断ろう!これじゃダメか!?


「では今から、少しの時間でよろしいですから来て頂けませんこと?」


「んー、ほんとに急いでまして〜!他にも用事もありますので…」


「では、学園がお休みの日に我が家にお招きいたしますわ。」


それはマズイ!完全に敵(仮)の縄張りに入ってしまうじゃないか!


「ほんとに少しの時間なら、大丈夫です。今から行きましょう。」


あー!気が重い!何だ!何の用なんだ!?



そのまま貴族のために作られた学園という事で設置されているサロンに連れて行かれ、丸いテーブルを囲んで座って、紅茶を嗜みながらお喋りでもしましょうよ…という事らしい。


……ねえ!これってどう考えても時間かかるよね!急いでるんだってば!さては話聞いてないな!?


「クオルフさんはご出身はどちらなの?」


「王都です。」


「そう…ご両親は何をされている方?」


「父が亡くなったので自警団をやっている後見人に面倒を見てもらっています。」


ギャングを自警団に言い換えてるだけで嘘って訳では無いよ?嘘つくと後で辻褄が合わなくなるからね。


「そうなの…おかわいそうに。それではその魔力はお父様から受け継がれたの?」


「ええ。まあ。父はハーフエルフだったので。」


「まあ!…そうでしたの。それはご苦労されたでしょうね。」


なんかさ!カトレアのは純粋な案ずる気持ちだって分かるけどさ!あんたにその憐憫の眼差しで見られたらムカムカして腹立ってくるんだけど!


「いえ、そんな事は。では私はそろそろ行ってもよろしいですか?」


「ええ。お付き合い頂いて感謝致しますわ。」


ぜってー、言ってるだけだろ!


あー!気分悪いっ!結局図書室には行けないし、それどころか午後の診療時間に間に合わなくなりそうだったよ。


図書室に行きたいのにぃぃぃぃぃぃ!!!!!



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