5 魔法
教わった魔法以外使わないようにと言われて、好奇心がウズウズしてた所で授業終わりに魔法学の先生に呼び出され、ビクッとなった。
「クオルフさん。貴方の適性検査の結果についてですが、普通ならあり得ない数値で少し気になるので心当たりが無いか教えて頂けませんか?その…もしや、貴族の関係の方であったり…」
えーっと、これは貴族の隠し子だとでも思われてるのかな?貴族や医者の子なんかは代々魔力高いもんね。
「いえ、多分私がクォーターエルフだからだと思います。私の父方の祖母がエルフなんです。」
「そうですか…それにしても…いえ。教えて頂いてありがとうございます。」
結局何がしたかったんだ?貴族の隠し子だったら対応が変わるとかなのかな…
カトレアと魔法鍛錬場に移動して、そこで他のクラスの子とも合流した。
「魔法実技では適性検査の結果に基づいてチーム分けをします。まずAチームはここに集まって下さい。」
おぅふ…Aチームに入れられてしまったよ。他のメンバーは制服の下のドレスなどからして上級貴族と思われる人達だ。やっぱ私の魔力値は無茶苦茶高いんだな。しっかし、やりにくい。
同じクラスの子を見れば医者の子はちょっと魔力高めで、真ん中の下級貴族も混じるチーム、それ以外の子は大体平民だけのチームに入っている。
私の異様さが際立ってしまうよ…目立ちたくないのにね!
「Aチームの担当は私がします。よろしくお願いします。まず、それぞれの実力を測るためにこの用紙に、使える魔法、取得したスキル、あるならギフトも全て書き上げて下さい。」
えーっと、生活魔法は八種で。小さい火、風、土、石、岩、雷に、少ない水、氷ね。基本魔法はその上位版の八種。下級魔法もその上位版の八種。スキルは24個ね。
それから切り傷の治癒魔法と、この三年で火傷の治癒魔法も覚えた。とりあえず冷やして水ぶくれが出来て、皮膚の下の方から新しい皮膚が生えてきて、水ぶくれが無くなって治るというイメージだ。
治癒魔法は患者がいないと魔法が使えないのでまだスキルにはなっていない。
それからギフトが三つ…と。ギフトは二つ以上あるのは珍しいというのでどうしようかと思ったけど、一応何に使うか分からないので書いておこう。
って、書くスペースが足りないんですけど!?枠の中に収めようとしたら5×5で25個しか無いから、さてどうしようかと困ってしまった。
「あのー、書くスペースが足りないので枠をはみ出して書いて良いですか?」
「構いませんが…足りないのですか!?」
「ええ、まあ。」
先生にも同じグループの子にもむっちゃ驚かれてるけど、もしかして多くて生活魔法、基本魔法、下級魔法 プラス ギフト一つの計算だったのかな?
「……もしや、医者の子ですか?」
って、皆に遅れて紙渡したら言われたよ。医者の子でも無ければ治癒魔法なんて普通は使えないもんね。
「いえ、医者の弟子みたいなものです。」
「そうですか…こほん。では、皆さん下級魔法までは使えるとの事で、最初の目標は下級魔法をスキルにする事にしましょう。クオルフさんも今日は皆さんと同じように下級魔法を練習してくださいね。」
名指しやめておくれ!プライドが高いであろう上級貴族の皆さんにじろっと睨まれたよ!
「岩の山♪火が轟々と、すごい風が吹き、消火しよっと上からどばっと水かけて、土で大きなお城!お城の周りの地面は石並べて平にする!からの、雷鳴り響いて、冬になって凍っちゃう!」
いえい!……あれ?楽しくスキル使ってたら、いつの間にかAグループ以外からも見られてますよ?どゆこと
「今のは何ですか!?魔法を同時に、それもいくつも発動するなど、容易に出来る事ではありませんよ!それを歌いながらなど…それに詠唱もきちんと行われていなかったのにどうしてそんな事出来るのです!?」
「えっと…ごめんなさい?何かいけない事しましたかね?」
ちゃんと長ったらしい詠唱しなきゃいけなかった?ていうか同時発動ってそんなに大変かなぁ?
「いえ、怒っているわけでは無いのです。どうやって身につけたのですか?それが知りたいのです。」
「どうやってと言われましても…こう、体から一つの魔法を使う為の魔力を出しながら、さらに他に使う魔力も出す、みたいな?それに詠唱はイメージを固めるためにするんですよね?それならイメージさえ出来ればとんな詠唱でも、なんなら詠唱が無くても構いませんよね?」
「それは………言うのは簡単ですが、中々出来る事ではありませんよ。それを全て同時などと…正直この目で見ても信じられません。」
そうかね?やろうと思わないだけで、案外やってみりゃ出来るのでは?
「なるほど…そんな事をしているから魔力が濃くなるのですよ。」
おっと、我がクラスの魔法学の先生だ。
「と、言いますと?」
「魔力というのは川のような物。と、説明した方が分かりやすかったですね。クオルフさんの体の中に太い大きな魔力の川があって、それを魔法として外に出す時に、太い川から一本の分流の小川が引かれるのです。
それは生活魔法を使う時はごく細い川。より規模の大きな魔法を使う時は太めの川が引かれます。
クオルフさんの場合、その本流の川の流れが人よりも太く大きく、さらにそこに流れる水の量も多い。そのため一度に何本も分流を引いても勢いを保ったままきちんと魔力が放出され、一度に複数の魔法が使えるのです。
これは、魔力が少なくても薄くても出来ない事です。さらに魔力と体との馴染みが悪くてもうまく分流に水を流せず、行う事は出来なかったでしょう。そういう事です。生徒の中には身近に例えのような川が無い者ももちろんいますので、先程はこの表現は使いませんでした。」
な、なるほど…なんか凄い事だったんだね?でもさ、もう一年生全員にガン見されてるんですけど!恥ずかしいからあっち向いて!
「ごほん…という事で皆さんに真似できるような事ではありませんので、皆さんは元の授業を続けるように!」
良かった!先生の指示で生徒が私から目を離してくれたよ!
でもさ!先生方とAグループからの視線は痛すぎるよ!
特にAグループなんか、何こいつ調子乗ってんの?的な雰囲気だよ!イジメられたらどうしよう!
その後は目立たないように大人しく普通の詠唱と単体の魔法を使ってました。先生方にはまた使って見せて!的な期待の視線が熱くかけられたけど無視無視!またあんな見世物みたいな状態にはなりたくないもん。




