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ケッペキショーの珍道中  作者: 朱華
初めましてスラム街
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25 気遣いの男




今日はあの騒動の後だし、黒幕も見つかっていなければ、ちゃんとした片付けもまだなので診療所はお休みだ。だからといって何もする事が無い訳ではない。休日の私もそれなりに忙しいのだ。えっへん。


まずパンと豆&野菜入りのスープを朝ご飯に食べて、日課の畑の水やり。みんな忘れてるかもしれないけどここにはじゃがいもを植えてある。(詳しくは15話参照☆)


そして、皆で雑魚寝してるボロっちい絨毯と毛布数枚を天日干しにする。下の家の屋根 兼 私たちの家の床の日当たりの良いところで、普段は小さくして持ち歩いてる石で重しにして飛んで行かないようにして、っと。


それからチビ助たちと内職に勤しむ。昼食のスープは夕食の分と共に私が作っておく。ハンス兄やハンナ姉、ジンやナサラは家で食べる時間があれば帰って食べるし無ければパンと豆で我慢する。


ハンス兄たちは何してるかって?


みんなには定休日というものが無いから今もお仕事中だよ。休むのはせいぜい体調の悪い日か、あんまり仕事の無い雨の日くらい。だから、診療所が休みの日でも私も色々仕事するってわけ。


と、いつもはこんな感じだけど、今日は内職は程々に切り上げてドンの所へ昨日の事件についての詳細説明に行く。


迎えに来た護衛と共にドンのアジトに向かい、到着するとすぐに執事さんにいつもの応接室に通された。いつもの定位置に座るとさっそく昨日のお礼を言ってしまう事にする。


「こんにちは、ドン。昨日はありがとうございました。みんな大喜びで本当にありがたかったです。」


「喜んだなら良かったじゃねぇか。うちの料理長も目を輝かせて今研究に励んでるぞ。特にケチャップに感嘆したららしくてな。今日の朝もオムレツにケチャップがついてきたな。」


「ふひひ。そーですか、喜んで貰えて何よりです。」


「ああ。研究が進んだら嬢ちゃんに美味くなったか確認して欲しいって言ってたから今度味見をしてやってくれ。」


「もちろん!喜んで協力するよ!私も懐かしい味が再現されるのは願ってもない事だからね!」


「そうか。俺も楽しみにしてるぞ。あれは気に入った。」


「うん!」


それからほんの少しの間、私達の間に沈黙が降り、ちょっぴりためらいながらドンが切り出す。


「…それでだ、昨日の事件の事だが、詳細を聞かせてくれ。」


私達がくだらないおしゃべりをしてたのはいつもの事だけれど、今は黒幕を探り出すために目撃者から一刻も早く事情を聞き出すべき重要な局面。本来ならおしゃべりしてる暇なんてないと思う。


だけど、ドンはこう見えて気遣いの人だから私の心をおもんばかって昨日もひとまずの危険が去れば家に返してくれたし、今日だって場を和ますために普段通りのやり取りをしてくれた。


私は分かっていてそれに乗って、故に観客のいない芝居が繰り広げられる事になったのだ。


空虚で心地よい芝居を終え、目をつむりゆっくりと語り始めた…





ハンス兄にも説明した後だったので割とスムーズに分かりやすく説明出来たと思う。


「……事の次第は分かった。犯人は今日中には全て吐くだろうから、後は黒幕に聞けば済むことだ。すぐに吉報を知らせてやる。待ってろ。」


「…うん!ありがと!じゃあ私、拷問(・・)で忙しいだろうし帰るね。」


「ああ。すまんな。茶を出す暇もなくて…」


「いいってことよ!がんばってね。でも、あんまり根詰めすぎないでよ!じゃあね。」


びしぃ!と親指を立てて励まして、邪魔をしないようにすぐに部屋を出る。


ドンったら、ありゃ相当疲れてるな。カマかけてみたら見事に引っかかってたし。普段のドンなら拷問だなんてすぐに否定して尋問なりに言い換えてただろうし…ドンは私の事なんだかんだおこちゃまだと思ってるもん。まあ実際そうなんだけどさ。


逆に私がドンを心配になって来ちゃったよ。


執事さんに慌ただしくて用意できずに申し訳ありません。と言われながらお土産がわりの飴ちゃんをいっぱい渡された。


また追って知らせがあるだろうけど、この分だと明日は診療所を再開する事になるだろう。スラムの住人に不審がられないようにこの件は隠蔽され、普段通りの日常を取り戻さなくてはいけない。


今日は明日に備えて早く寝ようと決めた。




なんでしたら前半は20話も読むと分かりやすいかもしれません。

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