↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/11

一話 ♢ ミスマッチ①

何故かストーリーのテンポがスロースタートなのと、一章分(約10話)書ききってから投稿してるので、ぜひそこまで読んでくださると嬉しいです!


 私はヘザー・ヒースレイ。私は優秀でなければならない。名門伯爵家の末子として生まれ、姉も兄も優秀だからだ。 今日も藍色(あいいろ)の空が白みだすより早く、私の朝は始まった。



 ベッドを出てカーテンをそっと開けると、ひやりと冷たい窓に触れた。窓を開けると冷たい風が肌をなで、頭を冴えさせるために大きく深呼吸をすると、肺が新鮮な空気でみたされる。



 目が覚めたら空を仰(あお)ぐ。星が幾(いく)つか瞬き、グラウコス連峰(れんぽう)の奥に青白い明るさだけが顔をだす。更に視線を落とすと花畑が目に入った。朝露に濡れた花は輝いて、今日も落ち着いて過ごせるだろうと確信する。



 クローゼットを開け、ネグリジェを脱ぐ。シャツに腕を通し、ボタンを止める。タイツの上にスカートを履き、ベルトを止めるとローブの代わりにガウンを羽織った。


 ヒースレイの家紋が入った宝石の留め具を手に取ると、ループタイをしめる。婚約者から貰った金に光る指輪を取り出して指にはめると、目の前の鏡を無意識に見上げた。口元が緩んでいる私自身の顔を見て少し驚く。



 魔法史学の教科書と筆記具をとりだすと、ページを捲って字に目を走らせた。もちろん課題は昨日のうちに終わらせてあるし、今日の試験の復習はとっくに終わって絶対に全て覚えている。学園の図書館は広い。本もやることも無限にある。予習と将来のためだ。当たり前。



 羽ペンの先を揺らし、カリカリと羊皮紙を引っかく音が部屋に広がる。



 コンコンとドアを叩く音に「入って」と返事をする。ウィンがカチャリとドアノブを捻り、紅茶を持って机に近づく。

「ヘザー様。おはようございます。今日もお早いですね」いつものようにそう挨拶するウィン。



「えぇ」

 ウィンへ視線を向けると、彼女の綺麗な制服を見て、首を傾げて彼女の首筋までの蜂蜜色の髪がきちんと梳かされ、編み込んであるのを見る。いつものようにそのままパチパチと瞬きしてユーモアを込めて呟いた。「貴方も」



 ウィンは口角をちょっぴり上げ、紅茶をカップに注いで机の上に置く。

「ヘザー様の好きなセレス・メロウです。確か筆記試験は今日からでしたよね?」



「そう」私は思わずため息をついた。「古代魔術言語学、魔法史学、魔法実技理論学、それに天文学の4つ」

「ですよね。勉強、頑張ってくださいね」

 そう言ってウィンは一礼すると部屋を出ていく。



 ウィン・ウレックス。代々王室の近衛(このえ)をしているウレックス子爵家の三女。いちおう第三王子の婚約者である私の近衛をしている。ちょっぴり変な子だけど素直で真面目な少女だ。



 ウィンの注いだティーカップのハンドルを摘んで顔の近くに運び、琥珀と金銀がふわふわと漂うカップの中を眺める。鼻を寄せ軽く目を閉じると、香りを深く吸い込む。甘みと苦みのある深い香りが鼻腔をくすぐり、口に含むとあの不思議な広がる味わいを楽しむ。



 紅茶を飲むと勉強も捗って気分も良くなる。これも私の大事なルーティンの一つだ。



 窓の方を向いて朝日が昇り、キラキラとグラウコス連峰の山頂を光らせるのを無意識に見つめる。先程まで冷たそうな紺色(こんいろ)に近い青だった山々が溶けるように橙(オレンジ)になる。



 さて、朝食までに860ページ辺りまで終わらせてしまおう。5章を終わらせておきたい。

 カップを置くと羽ペンを握る。ペン先をインク壺に浸し、縁で余分な液を切って、もう一度教科書に視線を戻した。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。