ゴブリンキングの迷惑 その1
セント・クロス・クラウン城の主、エルダース王は法王庁に召喚されていた。
なにやらきな臭い話なのだが、呼ばれたところが呼ばれたところなので出向かないわけには行かなくなったのだ。数人の部下を引き連れてきたが控えの間で待機するように伝えられる。
ここから一人か・・・
司祭の一人に案内され、長い廊下の奥にある両開きの扉の前で司祭は止まり。
『セント・クロス・クラウン城の主、エルダース王おつきになりました。』
両開きの扉が内から開けられ奥に進むように合図された。
謁見の間と言うか、査問室・・・
奥には垂れ幕がありその向こうに人影がある。
法王か?
両脇に居並ぶ高司祭達?
私は、粗末な椅子に座るように言われた。
『異端審問を始める。』
なんだと?
私は驚きのあまり立ち上がろうとした・・・
近くにいた神官に手で制される。
朗々とした声で、読み上げられる私にかけられた嫌疑の数々
魔神と戦う為とはいえ、魔族と組した。
異端の神の出現を放置した。
その神に創られた人もどきを野放しにしている。
大きくはその3つであった。
『他国に援軍を求めたが、誰も反応を示してくれなかった。それに、法王庁にも聖騎士団の出馬の依頼までしたが・・・何もしてくれなかったではないか?魔神の海路封鎖に対しても対応していただけなかったではないか?一番最初に動いてくれたのが魔族だったのには驚いたが、その後に北の小国たちが援軍を出してくれた・・・それを・・・』
『我等に落ち度があったと?時機を見て動くつもりだったのだ。』と、聖騎士らしい貫禄のある男
『異端の神を奉じて、人もどきを放置する理由にはなりませんな。』大司祭の一人
『人もどきとはどういう言葉か!』わたしは激高する。私の民は人間だ。
『搾取のエリアに囚われ死んだ者が生きかえった例はない。つまり、その異端な神が作り出したそのものたちに似せた別物だ・・・それが、人もどきと言う意味だ。異端なるそのもの自体を存在させておくことが正しいとでも?』と別の大司祭
垂れ幕の向こうに何やら動きが・・・
垂れ幕の向こうから、神官が現れ・・・
『セント・クロス・クラウン城の主、エルダース王よ。我等の信ずるべき神ではなく異なる神を奉じるとは何事か。エルダース王は異端者として、流罪とする。なお、人もどき共は聖騎士団によって徴せ!!と、法王のお言葉だ!!』
私は、その場で拘束され懲罰房に入れられた。
異端審問自体が行う罰と呼ばれる拷問は、今までの行いと王だと言うことから受けなくてすんだようだ。
ここにつれてきた者と国の者たちのいく末が心配だ。
それとわが国を救ってくれた魔族の王のことを・・・・
法王は神官にもうひとつの言葉を残し自室に戻った。
神官が法王の言葉を告げる。
『キング種という魔物を徴せよ!』
『今確認できているのはオークキング、ゴブリンキング、サハギンキング・・・』
『いや、オークキングは何者かに退治されたはず。』
『オークキングは兵を集めていると言う噂が・・・』
『各地でキングを名乗る魔族が現れてるとも聞いた。』
『各国と冒険者ギルドに勅令をだせ!キングを名乗る魔族を討てと・・・・特にゴブリンキングだ、サハギンは海の魔物ゆえな・・・』
世の中でわしに対しての迷惑が作られているころ。
わしは、クロイツの入れてくれたお茶をまだ戻らないホーリィと一緒に飲んでいた。
わしはあくびをしつつ
『あ~あ~なんか起きないかなぁ~』
口は災いの元って知るのは先のことなんだが・・・




