ゴブリンキングの有閑 その11
『消えた?』エルフ王はいぶかしんだ。
死体が残っていないからだ。
魔神の眷属じゃあるまいし、死んだら消えるなどと・・・
エルフ王は突如発生した巨大なマナに反応し左を向く、そこには一人の男がたたずんでいた?
黒いタキシードに金糸銀糸で装飾されたものを着て、紳士然としたたたずまい。
髪の毛の色は銀髪。
その頭の色に映える王冠。
肌は黒くところどころに傷が・・・
手の甲は黒い肌に白い傷でトラの模様のよう・・・
瀬の大きさは人間男性と変わらぬ大きさ。
『『『『『『だれ?』』』』』』
『ん?わし。』その紳士は言った。
『『『『えっ???』』』』
『どうあれ、小さく弱くなってしまってはどうしようもないではないか。もう一度串刺しになって今度こそ死ねゴブリンキング。』と赤い槍を3本投げつけてくる、エルフ王。
ゴブリンキングに無造作に突き刺さった3本の槍・・・
しかし、ゴブリンキングは再び消えた。目標を失い地面に突き刺さる槍。
『困ったな~』
エルフ王は声のした後ろに向いた、何が起こった?
ゴブリンキングはエルフ王に背を向けていた。
『なんだか加減が出来なくて。』
ゴブリンキングは、エルフ王の右腕を持っていた。肩口からもぎ取られたそれは、通り抜けざまやったものだった。
『ひきたおそおうと思ったんだけど、取れちゃった。』えへっとか笑うゴブリンキング。
そしてエルフ王のもぎとった腕を一齧り、モグモグと咀嚼して。
『まじいぃ』と顔をしかめる。
《黒炎》と呟くと同時に、巨大な肉の塊が黒い炎に包まれた・・・そして、一瞬で灰になって消えた・・・燃え尽きてしまったのだ。
『あっ、無くなっちまったよ・・・焼いたらうまいかと思ったのに。』
エルフ王は怒りでこめかみに血管を浮かべながらも、右手の再生を行っていた。
『何なのだ?それは?お前は?』
『ああ、これは、魔神モードとっておきだ。』
『下賎なゴブリンごときが!!なぜそんな力を!!』
『ん~?偶然?』
『ふざけるな!!』
魔法による無数の光弾を打ち込んでくるエルフ王。一発あたれば大きい時のわしでも穴開いちゃうな。
魔法の盾を展開しそれを受けるわし。
さて、増速、身体能力強化、順次回復、魔法抵抗力増加、などを細かくかけつつ・・・って、わしさっきから魔法使ってない?魔法の知識なんか無いのに・・・・・
ふっ、さすがわし!
ならあれも出来るのか?
ほらあれだよあれ。
わしは左手をエルフ王に向ける。そしてホーリィの一秒間に千発の~を、思い浮かべて念じる。
出ない。
出ないじゃんか。
あれ?って、左手の手のひらを見つめながら。何で出ないんだ?とか思ってたら。
魔法が出た。
わしの顔に向かって・・・
わしの顔が黒コゲになって頭の毛がモシャモシャになったが超速再生で治した。恥ずかしいからな。
どうしてって?顔でメアリー達がいるほうに手のひらを向けてみる。
『『『『こっちに手を向けんな!!!』』』』
と、大勢からの抗議の声を聞き。
しぶしぶエルフ王に向き直るわし。
もう一回挑戦だ。
左手をエルフ王に向けるわし。
エルフ王は、あの巨体が一抱えするような光弾に黒い雷をまとわせたものを創生していた。あれぶつけられたら痛いだろうな、なんて悠長に考えていたわし。
投げられる巨大な光弾。
左手を光弾に向けるわし、出なかったらあぶないな~魔法の盾は展開しとくか間に合うかな?
魔法の盾を次々打ち破り近づいてくる光弾。
最後の一枚が防いでる時。
『終わりだ下賎なる魔族』
さらに、おかわりで同じものが来た。
あ、出た。
わしの左手から放たれた、それは魔力エネルギーの矢のようなものだった。連射で打たれたそれは、わしが作った魔法の盾を破壊しエルフ王の作った二つの魔法を打ち払った。
相打ちか?
しかし、わしはちょっと不満だった。
ホーリィみたいな槍ではなく矢って・・・それに、一秒間に十発ぐらいしか出てないぞ。
エルフ王の顔は引きつっていた。
巨大な魔力で作られた魔法弾の上に地獄の雷をまとわせたものを二発も放ったのに、それを意図も簡単に打ち消すゴブリンキングの魔法の矢の破壊力にだ。
3位の魔神に打ち込んだらかなりのダメージを与えうるものだった。それを二発も。
ゴブリンキングは、エルフ王に向けて魔法の矢の連射を続けた。
魔法の盾を展開し耐えるエルフ王。
そして、エルフ王は空に飛んだ・・・
城より上に飛び、空の上から攻撃を仕掛ける。
所詮、地を這う魔族。空には飛べまい。
渾身の魔力をこめた一撃をみまえばいくら魔神並みの力を手にいれてようと。
消えた?
ゴブリンキングが・・・
『こっちだ。』
エルフ王が振り向いたその先、ゴブリンキングが空中に浮かんでいた。
《怪力》をかけ、右手に持ったぶっかき丸をフルスイングでエルフ王にぶちあてた。
城をつきぬけ城壁を突き破り地面に激突するエルフ王。
パン!!っと何かが破裂する音がした。
エルフ王が落ちた近くに下りるゴブリンキング。
激突したショックで地面が凹んでいる、そこに水がたまるように血と肉片があった。
『生きてるんだろ?』
『なぜこんな力が?崇高な妖精族のわしらではなく・・・』
『さぁ?何かの気まぐれだ。』
わしは《黒炎》をつかってエルフ王を蒸発させた。
悲鳴と断末魔の声を上げるそれは、王と呼べるものではなかった。
もともと、王としての器ではなかったのだ。




