ゴブリンキングの有閑 その8
エルフの町か、木の板がメインの家が並んでいる。
壁や塀には大きく呪いの文字が書いてある。
魔を祓う呪い。わしが触ってもピリッと来るぐらいだ・・・たいしたことは無い。
山エルフによれば
限定的な指定が無い為、効き目が弱いそうだ。
気休めみたいなものか・・・
でも、ゴブリンやコボルト達が痛がるとかわいそうなので伝えることにする。
町はわしらが突然攻めて来たので大騒ぎだ・・・・
なんでだ?
だってそうだろ?わしらとエルフは確かに交戦していた。
なぜ、エルフの民はわしらを見てこんなにあせってる?
わしらを侮っていた?いや、逃げ出す準備すら出来てなく城のほうに逃げている。
明らかに混乱している。
『ゴブリンが攻めて来た!』
『デカイ魔物が・・』
『まさか、ゴブリンキング!』
『ゴブリンキングが攻めて来たぞ~!!』
っと、ゴブリンジェネラルを見たり指をさしたりしながら逃げ回るエルフの民
おい!!違う!こっちこっち!!
わしはちょっと不満を覚えた。
エルフの城壁は一本の巨大な木をくりぬいたようなかたちで出来ている。巨大な城壁の門それだけは木ではなく、なにやら金属のようだ。
城自体も巨大な木を使って出来ているようだ。
ん?エルフの民が城の前で何か叫んでいるようだが、城門は閉まったままだ?
民を収容しないのか?
守ってやらんのか?
さらに、混乱に拍車がかかったようだ。
逃げ惑うエルフの民の中に伏兵がいたりするかもしれない、当然いるだろう。
だが、この状態を打開せねば・・・
ここまで来ても何とか全面戦争だけはさけたいと思っているわし
相手を滅ぼす戦いだけは避けたい。
一人でも多く生き残らせたい。
敵も味方も・・・
よし!!
『全軍に命令!!エルフの民を避難させろ!!!一人残らずだ!!!わしは城に向かう!!!』
うぉ~~~~~!!
一斉に動き出す全軍!!
まさに攻めかかるような勢いだが・・・
それに驚くエルフの民達・・・大丈夫か?
だが任せるぞ。
わしは、生き残りエルフのメス8匹をつれていく・・・ちゃんと風呂にも入れた服も着せてある。4匹はおなかが膨れている、ハイボアオークの子を身ごもったのだろう・・・わが国、我が民を傷つけたのだからその罪の償いは必要だ・・・だがもう気のふれた彼女らはその罪を感じることは無いだろう。
拘束は全てはずしてある。
山エルフとメアリーと一緒に女ゴブリンロードたち10人に守らせてある。
いつもの軽装ミニスカートではない、しっかりしたフルプレートの鎧・頑丈な盾・片手剣。
守るための姿勢だ・・・こんな鎧でも女性らしさをかもし出している・・・
その先頭にわしとジェネラルが立ち。
城へ向かう。
そのころ、コボルトの集団が広場に集まって円陣を組んでいた。
『ゴブリンキング様の命令だ!!』
『避難させるぞ!!避難させるぞ!!』
『助けるワン!助けるワン!!』
『一杯助けてほめてもらうんだワン!!』
『ナデナデしてもらうんだワン!!』
『イクゾ!!!』
そして一斉にこぶしを上げて。
『わんわんうぉ~ん!!!』(えいえいおーか?)
っと、一斉に遠吠えをあげて散開していくコボルト達。
かれらの士気は高い。
わしにパンツを見せていたロード種の女が、いつもの軽装スタイルでエルフ市民を誘導中に
エルフ市民から投石されたようだ。
混乱と怒号の中・・・
額から血を流すロード種。額から頬を伝い・・・地面にしたたり落ちる・・・
殺気立つ他のホブゴブリンやロード種
武器に手がかかる・・・・
血と武器に手のかかる音で青ざめる・・・エルフの民
ロード種の女が左手で制す。
少しふらつくのか右手を額に当てながら
『私達の王は・・・今この時も戦争はしたくないと思っている。わたしは、王の気持ち正しいと思う。私がバカなのかもしれないけど私もあなた達を殺したくないから・・・』
静まり返るエルフの民・・・
『大丈夫か?』仲間の男のロード種が布を手渡す。
受け取り血をぬぐい額にあて
何事も無かったように、笑顔で
『私と私達の王があなた方の安全な避難を保障します。安心して速やかにこの場を離れてください。』
エルフの民はかれらの誘導に従って移動を始めた・・・
傷を受けたロード種の女のところに近寄った男エルフ
『すまなかった、これ使ってくれ。』とおずおずと傷薬を手渡した。
『ありがとう。』にっこりと笑顔でそれを受け取った。
後の話だが、このことがきっかけで彼女の親衛隊がグーンと増えたとか・・・・
城壁近くにわしらがついたときにはエルフの民の混乱はかなり収まっていた。
ただおびえて道を明けただけかもしれないが・・・
城壁の上には木の板が隙間を空けて並んでいた。あそこから弓を撃つんだろうな。
でも木の板でわしら止めるの無理じゃ?
だいたい城壁自体、木だし。
むむ~っと見ていたら。
メアリーが、すごいですね~あの木の板一枚一枚に最大強度を誇る《城壁》の呪文がかかってる
山エルフは、城壁と城は世界樹イグドラシルの孫だかひ孫だかを使ってるね。
どういうこと?
『『とにかく硬い』』
はい。わかりました。
危ないので早く避難を!っと、10人の女ロード種が声をかけている。
エルフの民の壁の中から突然飛び出してくるもの・・・短剣ロード種の一人に・・・
だが突然それは崩れ落ちた・・・
首に吹き矢が刺さっていた。
上忍コボルトは、わしの前にひざまずき。
『このような危険にさらし申し訳ございませんでした。・・・・私の不徳のいたすところ・・・』
いやいや、誰も怪我してないから大丈夫だよ。
なんでも、グレムリンと連携をとり不審な動きをする者を監視・拘束・安全な場所への運搬と他の忍者コボルト達と影でしてくれていた。
偉いぞ。いいこいいことナデナデ。
『はは!身に余る幸せ!』と冷静さを失わない姿勢なのだが尻尾はうれしげに左右にふれている。
『では!』と、しゅたっときえる。上忍コボルト
さて、下のものに任せてばかり入られない。
わしもやるか。
『開門!わしはゴブリンキング!!エルフの兵を返しに来た!!』
わしの国に来ていた使いエルフが城壁の上から顔をだした。
わし的にはエルフの顔は見分けがつきにくい。美しい~とか綺麗だ~とか思うけど、あいつだけは別だ。
『開門はせぬ!!そのようなエルフは我々は知らんといったはずだ。言いがかりはやめて不浄な巣穴に戻るがいい!!』
『なぜだ!私たちは、軍事顧問の命令で出撃したはず!私達のことを知らせに戻った者はどうした?』まだ正気を保っていた捕虜のエルフのメスが叫んだ。
『知らん!そんな事実は無い!!お前達はどこのエルフだ?まさか、魔族の手下にでもなった愚かな他の国のエルフか?迷惑だ!!わが国をこれ以上巻き込まないでもらいたい。
そういうことだ、無駄足だったなゴブリンキング!他の国にさっさといけ!』
わしは、捕虜のエルフを見ていた。
打ちひしがれるエルフ捕虜・・・・
ロード種の一人がわしに耳打ちをした
『王、城壁の上。火矢。』
たしかに、火矢をつがえる弓の集団が見える。
おい?わしは民の避難をさせるように命じているが・・・まだ、エルフの民のこってるぞ・・・まさか撃つのか?
『行かぬというなら!』あの使い者が右手を挙げ、わしに向かって振り下ろした。
多量の火矢が放たれた。
逃げ惑うエルフの民。不運なものは矢が刺さり苦痛にうめいている。
わしらはゴブリンジェネラルとロード種に守られ無事だったが。
まずい、エルフの家は木でできてた・・・狙いはむしろそっちだったようだ。
放たれた火は、家を見る間に次々と飲み込んでいく。
エルフに刺さった火矢も消える様子もない?助けに駆け寄り服や毛布で火を消そうとする者を巻き込んで強くなる火・・・あまりに不自然だ。
『なぜ?兵士は民を守るのではないのか?なぜ?なぜ?』捕虜のエルフは両手で顔を覆い泣いていた。
『ひどいな。こんなことをするとは。』と山エルフ
どうやら、火の精霊に関与して火勢を強めているのだとか・・・それも少人数ではないかなりの人数で・・・
もともとエルフは精霊とのつながりの強い種族・・・しかし
メアリーは強まる火に興味があるようだった。のんきなやつめ
消火と避難。同時進行かきついな・・・・
燃え盛る火の音に負けないほどの音量で。
『ア~~~~~!!』とか『ラ~~~~~!!』とか長く続く旋律が町の外のほうで聞こえるとそちらを見たら、エルフ兵の集団がこちら向かって隊列を組んでいた。
兵が歌っている。
メアリーが、『戦乙女の歌ですね、全力で向かってきますよ。』
『4000は、いるね。』と山エルフ
まずいだろ?ちょっとピンチすぐる。
『あの魔族め!町を焼き。民を殺すとは・・・・許せん!!』
『全軍突撃!!!』
一斉にこちらに向かって進撃してくるエルフ軍。
『ゴブリンキング!』
何だメアリー?
『この国おかしいよ。自分の国の民にこんなことする国。やっつけてこの国ゴブリンキングの国にしちゃえ!』
ふっ!
『ぐわぁっはっはっは~!!国を潰せだと!!この状態でか?!!!!強欲だ!!その強欲かなえよう!!』
わしは元の姿に戻った。
わしの姿が変わったのに驚いたのか、城壁の上の使いの者が、わしを討てと命じた!!
矢や魔法が飛んでくる。
それを受けるゴブリンジェネラルとロード種たち。
わしは・・・のどを膨らませて・・・・
『ぐぅっぉぉおおおおおおおおおおおお!!』ゴブリンキングの咆哮を放った。
この咆哮は威嚇のもではない。
『ゴブリンキングが魔法?』とメアリー
マナの上昇を感じたのだろう。
『違うね、面白い。面白い。』と、山エルフ
『これは全軍の掌握!《王の進軍》!!』とゴブリンジェネラル
は~い、説明モードありがとう。
現時点から、わしの兵全ての感覚行動を全てこちらで管理する。全員の視点は、わしのものだし
行動に対して命令を与えることができる。
さらに、全ての行動に対して強化される。
わしも説明モード終わり。
エルフの軍が襲ってきて魔法を撃とうとしても。誰かが呪文の詠唱を見つければ攻撃範囲を予測して退避させたり。攻撃の先行しそうな敵を先に攻撃させたりして有利に進められる。全くの死角が無いいい業なんだけどね。
脳への負荷が半端ないのが欠点だね。
誰だ、わしいは馬鹿だからとか言ったの?考えてる事も筒抜けだと・・・えっ。お前あいつの事好きなの?いや、いらん情報が・・・後でネタにするか。
『頭の中で斜め左後ろに逃げろって王が言ってる』といいながら避けるゴブリン。今までいた場所に《ファイヤーランス》と言う魔法が着弾。当たればオーバーキル。
フィードバックで、わしの兵たちの次は~?次は~?脳に響く。少しは自分で何とかしろといいたくなるがそれは出来ん!
これで、消火・避難・戦闘に対応させる被害は出ているができるだけ少なくする。
傍目からみるとわしがう~う~言いながら頭に血管浮かせてうなってる
ちょっと怪しい感じに見えるんだろうなぁ~。
だって、エルフの民ひいてるし・・・
火勢は消火させても治まる様子が無い。避難もそのせいで困難だ。先ずそんなとこで戦闘なんかするか普通。
火をなんとか・・・
ん?捕虜エルフどうした?わしを見てるけど??あれ?
私が何とかします・・・・
確かにそう聞こえた。




