【51】羽ばたけ仮初の王
やべえ……。GWけっこう忙しいな……(・_・;)
一日三話くらいできるかと思ったけど無理じゃな。
あ、そういえばいつのまにか総アクセス数10000超えてました。
ありがとうございますm(_ _)m。
「はあー……」
鎖につながれ、大敵の湿度に巻かれ、
私のJKとしての価値が失われつつある。
鉄格子の小さい窓から覗ける空は大きく、青く澄み渡っている。
白い羽や黒い羽が、たまにひらひらと落ちてくる。
鳥はいいな、自由で……なんて思い始めた頃には、
もう囚われてから一週間が経とうとしていた。
「……まっずいなあ」
あ、ご飯じゃなくてね。
いや、飯もまずいけど。
――人間化の薬の効果が、切れつつあるのだ。
ハリと艶のあった肌は今や黄土色に変色し、
特に笑ってもいないのに頬が窪み、
緑色になる両頬がカピカピに乾き、
ぼろぼろと緩やかに皮膚が死んでいく感覚がする。
……ああ、鏡がなくてよかった。
想像しただけでもおぞましい!
「……はあ」
……なーんか、面倒くさいことしてんな、私。
いや、違う。面倒くさい事をしてるんじゃなくて、
面倒くさい生き方をしてしまっているんだ、私は。
今まで背伸びをして、王様を気取ってみたけど。
やっぱり私にその才能はなかったかもしれない。
だって、私は負けた。
勇者に、惨敗してしまった。
臣下のみんなを救う立場でありながら、
守られていたのは、常に私だった。
私のせいで、私の目の前でゲイブは死んだ。
イルガスも死んだ。ブラッドだって、私の
知らないところで息絶えたらしい。
『南の賢者』がいなかったら、
今頃どうなっていただろか。
みんな、元気かな。
ちゃんと生活してるかな。
代役は立てたのだろうか。
私の代わりは、ちゃんといるのだろうか。
「はは。なーんて……」
私の代わりなんて、いくらでもいるだろう。
私は、みんなの王になりきれなかった。
悪逆の王として、正義を蹴散らすことができなかった。
ただレベルMAXっていうチートを持ってる、ただのJK。
いや、今はただの半魔か。
ゴブリンでも人間でもない、ハーフゴブリン。
なんの役にも立っていない、仮初の王だった。
ああ、自分が嫌になってくる。
もっと、ゴブリンになりきればよかったのかもしれない。
もっと、人間の矜持を捨てればよかったのかもしれない。
たとえ暴君になろうと、たとえ圧制者と罵られようと、
私は、ゴブリンの王に、「なりきる」べきだったのだ。
「ごめん―……ごめん、みんな」
気づけば――頬から涙が一つ――また一つと流れていった。
異世界で流した最初の涙は、
悲しみの涙であったことを、
私は一生悔やむだろう。
もう私には分からなかった。何が正しいのか、誰が
本当の王の器足り得るのか。そんなのどうでもいい、
ただ、私がみんなの王だって認められたい。
必要とされたい。
必要とされたい。
必要とされたい。
元ニートだった私に、更生するチャンスをくれた、
あのゴブリンたちに、報いたい。必要とされたい。
でも、それってどんな王様なの?
皆は私に、一体どんな王であることを要求するの?
……聞いた試しがなければ、言われた試しもない。
自分で解を探すしかない自問自答の悔悟。
ただ見つからない答えに、惑い、苦しむ。
空に向かって、私は救いを求めるように
手を伸ばした。
ああ、鳥よ。
空の走者よ。
こんな私を、もう一度空に―……。
試練で見た、ノイリーとともに見た、
あの空を。
あの夢を。
もう一度見る、チャンスを―……。
「――おい、侵入者だ!」
怒号が響いたのは――その直後。
新しい羽が牢獄に落っこちてきた、
その直後だった。




