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【89】南北会議⑤

さいきん週イチが普通になってきてしもた……。


新章です。

ゴーディのフラグは次の話で回収します(・∀・)



「いっしょに東に逃げよう。エマ。

誰も君を傷つけない場所へ。

俺たちの安住の地に行こう。

東の魔女と、結託するんだ」



「――ユキミヤ・リョウヘイは自分の

娘を殺して、日本とこの世界の空間を

つなげようとしている――?」


イズミら北の勢力と南の意見が見事に

合致し、真実にたどり着いたちょうど

その頃――『紫の傷跡』の聖痕を持つ

少女――ユキミヤ・エマをめぐる

二人の勇者の物語は決着していた。


そんなことをつゆも知らない南北の両軍は、

『日本』という国への理解が少ない者も

多く、その補足で手一杯――という状況。


イズミが率いるゴブリン連隊、その幹部たちを除いて。


「……一旦、事態を収集する時間を設けましょうか。

ノイリー」


場を見かねた『南の賢者』が、自らの

使役精霊に呼びかける。


「解説をお願い」


「承知しました」


ノイリーはすっと、ざわめく南の

兵たちのもとへ赴き、これまで

散見された意見の総和と事態の

発展を要約してくれた。



「――というわけで。現在、先の西北戦争で

失態を見せた勇者の末端、ホカリ・セイタと、

その彼がしきる班に同行したと思われる少女、

ユキミヤ・エマの安否が懸念されています。

それが、この会議で見えてきた現在の状況。

そして」


ノイリーが言葉を続ける。


「エマさんの額に刻まれた傷は『紫の傷跡』と

呼ばれるもので、それには、我らが南の賢者を

筆頭とする四方偉人の出身地、『日本』との

空間を歪ませ、この世界につなげるキーでも

あったのです」


会議室のざわつきが頂点に達する。


つまり、自分たちがつかえてきた女性は

異世界人であったのだという紛れもない

事実。それに、少なからず同様している。


「……と、こんなところでいかがでしょうか。賢者さま」


「いいわ、ノイリー。ありがとう」


南の賢者が再び登壇すると、場の

空気が静まりかえる。――その

空気から、彼女の揺るぎない

忠誠心と支配力が如実に

伺えた。それに加えて、

兵たちは皆いい表情を

している。


仕える者の出自がわかって、

スッキリしたようだった。


それほどまでに、南の賢者――キサラギ・ショウコが

積み立ててきた時間と功績は多いということだろう。


「――以上のことから、私は北の魔王タドコロ・イズミに

対し南北の和平……。つまり、南北協定を提案いたします」


「協定?」


いちばんにピクリと反応したのは、

参謀職のイルガスだった。


「紫の傷跡……いえ、聖痕スティグマとでも申しましょうか。

それを保有しているユキミヤ・エマの存在は、

日本出身の私としても、安易に容認している

わけにはいかない時限爆弾のような代物です。

いつまた日本との次元が歪曲し、この世界と

つながり、『神隠し』が起こるか分からない」


つまり、こういうことだ。


一見して聞けば、ショウコさんは新たな『南の賢者』を

『神隠し』でこの世界に呼び寄せないためにも、聖痕の

存在を容認するわけにはいかない、と。


……まだ何か隠しているような気もするが、

それに反応したのもやはりイルガスだった。


「それで、北と協定を結び、聖痕の保持者を

保護する協力をしてくれと?」


「ええ。そういうことです」


「……殿下、それについてご意見は」


「特にないね。賛成だよ、私は。

でも……ね」


「殿下のおっしゃりたいことは分かります。

ですので、僕が代わりに代弁いたしましょう。

――キサラギ殿。あなたは、聖痕の保持者を

保護したのちに、一体どうなさるおつもりか」


「もちろん、空間の歪みが生じないように、

手厚く保護。および、傷の修復を行います」


彼女の言い分だと、聖痕もふさいでしまえば

ただの傷となるらしい。危険なのは、

紫色の発光している時だけだと。


「……本当に、それだけか?」


言及されたショウコさんの頬が、

気のせいだろうか? ふっと、

空気を抜くように持ち上がる。


「どうも怪しいな。他になにか、

打算を隠していそうで仕方がない」


「そう思われた、動機は何でしょう」


「あなたが『南の賢者』だからだよ、

キサラギ・ショウコさん。あなたが、

日本人であることが――異世界人で

あることが何よりの懸念材料だ」


「イズミさんだって日本人よ?」


「殿下を貴殿といっしょにするな。

殿下は、ご自身の経験と立場の中で

確かなものを確立していった。我々、

ゴブリンという異種族の中で――」



人の身でありながら、

ゴブリンの王を務める

ということ。


それはなんて難しく、

心踊る体験なのだろう。


イルガスはいつだって、

王たらんとする私の

努力を見てくれていた。


だから、こんなにも

私の心を汲んで、

代弁してくれる。


「ずっと人間の形のまま、同じ種族と

戯れてきただけの王とは、違うんだよ」


それは、なんて嬉しいことだろう。


でも――


「もういいよ、イルガス」


その言葉の矛先を、私は

へし折った。


「殿下……」


「ショウコさん。その協定案、

謹んでお受けいたしましょう」


周りの皆を見渡した。


みんな一様に、呆れた

ような、面白おかしい

表情をして座っている。


「あなたもいいね、イルガス」


「……イエス、マイロード。

あなたが選んだ選択ならば」


ノイリーもうなずき、ショウコさんは

会議場の兵士たちに向かって呼びかける。


「――これにて、正式に南北協定が結ばれ

ました。これより両軍は、聖痕の保持者で

ある少女、ユキミヤ・エマの保護に向かう。

では、全部隊、出立の準備をお願いします」



魔族の『北』と、人類の『南』は結託し。

停滞の『西』は、魔女の住まう『東』に

助けを乞うた――。


それにより。


『東』の城塞での決戦が、

『北の魔王』に迫ろうとしていた。


『魔王』と『勇者』が剣を交わす日は、近い。


この89話を書いてる途中で、


「ん……あれ? このゴブリンロードを

要約して大賞の応募作品にすればよくね?」


とか思いました。


そうすればもうちょい

いい頻度で投稿できるんだけどなあ……^^;


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