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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第五部 鉄勇者の果断
210/214

第200話  『サブライ』

あらすじ

どき! 犬だらけの島で襲撃されちゃった!


強制無能 VS いかれバトルマニア槍 VS 偽勇者カッコ笑

キノコ娘 VS 黒ゴケグモ女 おまけ 神眼少女

異世界アイドル暗殺娘 VS おさむらいさま  ← いまここ


短いのとお待たせしたので、2話連続投稿します。

さむらい


その語源は、「そばに居る」という意味の、”さぶらう”と言われる。


古くは貴族に付き添う用心棒、天守にはべる武装集団。

これらを総じてサブライと呼び、いつのまにか武士階級、それ自体をさむらいと呼ぶようになった。


エ=ルガイアにおいて、さむらいという職業は存在しない。

ワコクの一部貴族階級が、それを名乗ることはあるが、階級ではなく、どちらかと言えば、『剣聖』や『クロオビ』と同様に強さをあらわす称号として使われることが多い。


今から数百年前、日本の侍がワコクに流れ着き、鬼を退治した。その時から、ワコクには刀を扱う剣術が生まれ、そして”サブライ”というジョブスキルが受け継がれるようになった。

スキル保持者は、いずれもこの異世界人の血をひくものと言われている。


ゆえに。

鎧武者のワコク人、オンジが持つジョブスキル『サブライ』は、シーワルドの東方洋上に浮かぶ独立国『ワコク』にのみ受け継がれる、レアジョブスキルである。


『サブライ』のスキルはジョブスキルとして、身体強化、居合い、刀術、歩法、十手術などが組み込まれている。


異世界人の血をひくものが多く存在するワコクにおいては、わりと発生しやすいスキルであるという。

アーツの組み合わせにより強さは千差万別で、そのアーツの構成は個人により異なり、最強と呼ばれるものには『神速』や『心眼』が組み込まれていた例もある。


オンジは自らを『さむらい』と名乗り、スキル『サブライ』を喧伝している。

それは、強者を呼ぶ甘い蜜のようでもあり、敵を死地に誘う蟻地獄のような罠である。


サムライの本願は、一閃。ただ一閃。


一閃で全てを断ち切ることこそが目的であり、「しがらみ」も自らの「弱さ」も断ち切ろうとしている。


道半ばにして、偶然、新たな目的を見つけ、侍・オンジは、今、この島にいる。


―――――――


体中に薄いピンクの傷をつけ、異世界アイドル・ヒカリは、肩で息をしていた。

身に纏う黒装束は、切り裂かれ、布面積が半分以下になっていた。黒いミイラ姿のようにも見えるほど。


傷からは一滴も血が出ていない。


侍は、おそるべき腕だった。


布だけ切り取り、肌をかすめ、ピンクの筋だけ残すが、肌に一切傷をつけない。

こんな神業が人に可能かと思えるレベルで、ヒカリは翻弄されていた。


ブレながら近づく黒い影を、横凪一閃、刀を払うと、敵は遠のく。そして、皮一枚、いや布一枚が絶たれ、相手は近づけない。


「ふしゅうぅぅ」

頬面の下で、白い呼気が、蒸気をまとい吐き出される。


腰を深く構え、頬面の下の眼光を相手ヒカリに見据える。


魔法をぶつぶつ詠唱する赤い頭巾の少女を木にもたれさせ、その前で、腰ダメに構える。


「何度やろうと無駄なこと。無益な殺生せっしょうは好かぬが。

これ以上やるなら致し方なし。


次は、首を刈る」


冷ややかな視線がヒカリを見据える。


侍の声は地獄の幽鬼のように低く、男か女かも定かではなく、何人かの声が重なったような不快な響きだった。


だが、ヒカリも「はいそうですか」と引き下がるわけにはいかない。


舐められていると感じた。


殺すつもりなら、何度も殺せている。いや、殺されている。


――怖い。


ヒカリは心の底から、恐ろしさを感じた。


死。


死ねば終わり。


戦いの最中、死を感じるということは、すでに心が負けている。


ヒカリは距離を取りながら、震える手で起死回生を狙う。


その時、上空から影が舞い降りた。


巨体が、侍に背後から爪を振り下ろす!!


ギャギイーーーン!!


侍は振り返ることなく、刀を上に構えて爪を弾いた。


「ガアアアアア」


狼の口が大きく開き、開戦の咆哮。

それは、レディ=キラを追わずに獲物を変えた長男・サグだった。


ヒカリは好機を見た。


侍の後ろに、詠唱を続ける魔導士が、木にもたれている。


ヒカリですら分かる。あの詠唱にどれくらいの魔力がめられているか。呪文が発動すれば、どれくらいの被害が出るか。


止めねば。


狼男の爪と、侍の刀が、剣筋も見えない速度で、はげしくしのぎを削る。


大回りで魔導士に近寄り、仕留めれば・・・。せめて気絶させることができれば。


殺すことに躊躇しながら、ヒカリは森を駆ける。


ギャリギャリという金属音が続く。サグの猛攻を、侍は涼しい顔で捌ききっている。


殺気!!!


ヒカリの前を剣閃が走った。


飛ぶ斬撃!!!


木々を薙ぎ倒しながら、斬撃がかすめる。


手練れ。まさにその言葉が相応しい。サグの猛攻をいなしながら、ヒカリの進路を文字通り絶った。


「くっ」


頬面の奥の瞳が、ヒカリを牽制する。


「ガアアアアア」

狼男が吠え、手数を増やすが、侍はそれを見ることなく、見事に弾いていく。


「・・・・近寄らせなどしない」

地獄から聞こえるような声が、静かに言う。


「加減はここまで。散れ。夢想散華」


ヒカリは見た。


いや、正確には見えなかった。


侍の肩から先が消え、血飛沫が舞った。


曼珠沙華の花のような血飛沫が舞い、ヒカリには大輪の花が咲いたような幻が見えた。


血を吐き、ゆっくりと崩れ落ちる狼男・サグ。


「サグ!!!!」と叫ぶが、次の瞬間。


ヒカリは首が飛んだ。


はっきりと、自分の胴体を見て、自らが死んだのを実感した。


「はっぐっ」


だが、次の瞬間、首を押さえて、繋がっていることを確認した。

何が起きているのか全く分からない。


「見えたか。自分の死に様が」


鎧武者がゆっくりとヒカリを見る。


逃げることもできず、蹲り、ブルブル震えた。


力の差が大きすぎた。


「ひゃっく、ひゃっ」


ヒカリは地面を見て、泣いていた。呼吸がおかしくなっている。


殺される。間違いなく殺される。


手が震え、殺されること以外考えられない。パニックになっていた。


だが、いつまでたっても一撃は来なかった。


泣きながらゆっくり顔をあげると、そこには。


地面に横たわるサグ以外、誰もいなかった・・・・。


【マッチアップ結果】

サブライ:オンジ v.s 異世界アイドル暗殺者:ヒカリ

途中乱入 暗殺団長男狼男:サグ


結果

勝者:オンジ 決まり手:夢想散華

敗者:サグ(重症)、ヒカリ(戦意喪失)


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