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ミッションプリンセス  作者: 雪ノ音
3章 動くモノと静寂のモノ
28/142

9 戦線

魔物に対する準備に各自が動き出す。

 状況は人との争いから魔物達との争いへ。そして守るべき物が自身と館から、この町ベルジュへとナナカの意思と関係なく、運命のレールが敷かれて行く。


(このままでは面白くないな)


 確かにナナカは誰かの用意したレールの上である。

 しかし、シェガードはどうだろう? シェードは? レイアは? マコトは?

 彼らは自分が巻き込んだ側だと言える。本来なら逃げ出す事も出来るのに彼らは残った。いつか彼らにそれを返す日を迎えるためには負けるわけにはいかない。


 問題が大きくても、やる事は明確なのだ。レールを敷いた人間の思惑を超えれば、その先はこちらで選択できるはずである。それだけ分かっていれば十分。


 着替えの最中といえども、今は嫌がる姿を見せている場合ではない。いつも楽しそうに仕事をするメイドですら表情を硬くしている。まるで意思が高く統一されていくかのような感覚さえ受ける。


「ナナカ姫様。本日は勝負仕様としておきました」

「特別にしなくて良かったのに。いつもと同じように明日があるだろう?」


 つまり今日と変わらない明日があるという事の誓い。


「もちろんです。明日からも何も変わらない日が待っておりますよ。何よりも明日は7歳の誕生日でございます。誕生会は延期となったようですが、館の皆でささやかなお祝いの準備を致しておきます」

「それは楽しみだな。下らない事で遅れないようにしないといけないな。……では、行ってくる!」


「「「「「 はい! ナナカ姫様! 行ってらっしゃいませ! 」」」」」


 ナナカに着用されたのは白を基調とした軽装皮鎧だった。魔物相手と直接戦う事がない事を想定された、動きやすさを重視した物と言える。所々に肌の露出が多く見えるのは軽量化の為であろう。腰に装着された武器は片手に収まる程度のナイフ一本。こちらは実用性よりも見た目を重視された装飾が目立つ作りとなっていた。


(気付けば戦場に赴く事態か。だが、何事もなかったかのように明日を迎えてみせるさ)


 頭を下げたまま上げる様子のないメイド達に軽くうなずき、聖騎士の様に廊下で片膝を付き王女を待つシェードと合流すると、長い廊下を帰る場所として記憶するように目に焼き付けた。


「シェードも明日の誕生日を祝ってくれるか?」

「あたしで良ければ参加させてもらいますよ」

「そうか。じゃあ、ちょちょいと問題を解決しに行こうか」

「もちろんです」


 頼もしい言葉に納得の笑みを浮かべながら、ナナカとシェードは町の合流地点へと歩み始めた。


(カジルの奴に起きたらビックリするような良い報告の準備もしないとな)


 大地歴214年5月27日。太陽が朝靄から姿を現した時刻。

 10倍以上の数を相手に、王女ナナカの自らが防衛線に立つ事になるベルジュ防衛線の幕が開かれようとしていた。

みじかっ!とか思った方。申し訳ありません。

一身上の都合というところです。

2015.9.10

描写と表現の変更と修正を行いしました。

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