表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様がみてる  作者:
1/8

1.ウロ



 ――あれは、神様なの。あの砂浜に打ち上げられた流木の横に佇み、じっと、わたしを見つめる。目。


 暗く、底がないかのような底なしの二つの丸い空洞。黒いウロ。あれは、神様なの。


 ――神様が、わたしを、みてる。


 **


 始まりは、本当に、些細な偶然で


 偶々、だったと思います。


 わたしは、お姉ちゃんと、二人で海水浴に出かけました。


 お姉ちゃんと、わたしは、本当にはしゃいでいて、久しぶりの海に、テンションは最高潮、だったんです。


 ほぼ、休憩もしないで、二人で、先の小さな島へ泳ぐ競争をしたり、大きなペンギンのボート型の浮き輪にわたしをのっけて、お姉ちゃんが動かしてくれたり、岩場でカニを捕まえたり、いっぱい遊んだんです。


 それは、二人がお腹を空かせるまで続きました。


 お母さんが、あんまり、夜遅くなっちゃ駄目よ、夜の海は危ないのだから、と、心配気に持たせてくれたお弁当を開けて、大きなおにぎりにかぶりつきました。お母さんのおにぎりは最高です。特にわたしは、肉みそが入ったおにぎりが大好きなのです。ちなみにお姉ちゃんの大好物のおにぎりは、おかかです。


 一生懸命ごくごく冷たく冷やしたお茶をがぶ飲みしました。お姉ちゃんが困った顔で、お腹を冷やすから、温かいのにしなさいと言って渡してくれたお茶を断って、一生懸命のみました。


 その日は、本当に喉が渇いていたんです。


 一生懸命遊んだからかな?とわたしは内心不思議に思いながら一生懸命のみました。


 お姉ちゃんが、思い立ったように、


 「ねぇ?美鶴?アイスクリーム食べたくない?」


 と、急にわたしに振ってきました。おねえちゃんは、普段、こういった場所でわたしをひとりにしないので、それも、後から考えると不思議に思うことだったように思います。

 

 そわそわしだしたおねえちゃんは、我慢できなくなったのか、わたしにじっとしておくのよ?と言い含めて、アイスを買いに走っていってしまいました。


 わたしは、ぼんやり、きっと、お姉ちゃんは、マンゴーアイスにするのだろうな、って思って、お姉ちゃん、ちゃんとわたしの好きなメロン味のアイスにしてくれるかしら。ってちょっと思いました。


 おねえちゃんの黄色いサンダルと、しろい細長い足が残像みたいに消えていって、お姉ちゃんのショートの髪がぱらぱら風に揺れて、そのまま豆粒みたいになっていくのをぼんやり見つめていました。


 よくわからないけれど、なんとなく、目を離せなかったんです。よくわからなかったけれど、急に独りは寂しいと、思ってしまいました。


 そう思ったとたん、


 ふ、っ、と、なにか視線を感じて、わたしは、ぱ、っ、と、後ろを振り返りました。



 ――そこには、うろのような、底のない闇のような、二つの空洞、黒いふたつの穴が、わたしをじ、っと、見つめていたのです。


 **

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ