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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【始動編】 第4章 ドラゴン型侵入作戦
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24 カドモス隊の奮戦

 ◇ ◇ ◇


 【ガイア恒星系第11惑星近郊】

 統一時間4月8日08時20分。


 シグルド隊の8騎は作戦実行のため、待機宙域に到着した。


「全機、カドモス隊からの合図があるまで待機」


 ミソラの指示を受け、シグルド隊の面々が動きを止める。

 戦闘宙域から離れた場所である。特殊装備を持ったシグルド隊はドラゴン型の撃退に注力するため、ワイバーン型との戦闘には参加せず、この場所で次元振動砲の発射を待つことになっていた。


「後はあのおっちゃん達の頑張り次第か~」


「アレックス、軽口を叩かない」


「いいだろ、やることもないんだし」


「まぁまぁ、アレックスも緊張しているんだよね…」


「な、なんだとぉ、おいジョセフ! 変なこと言うんじゃねぇ!」


 クロウは、コクピットの中でそんなシグルドパイロット――元α隊の面々の会話を聞いていた。


「いいじゃない、カンナ。私たちが動き始めたら、こんな会話はできなくなるでしょうし~」


「もう、セレナはいつもそうなのだから」


「ミソラも、そう思うよね~?」


「え、あ、アタシ…!?」


 ミソラは、急に話を振られて驚いた。


「あ、アタシも…おしゃべりしても、いいと思うかなぁ」


「お、ミソラ、話分かるじゃん!」


「…仕方ありませんね、アレックスの緊張を取るためにも、ワタシも話に参加しましょう」


「ちょ、だから俺は別に緊張してるとか、そういうわけじゃないからな!」


 アタシも、できれば緊張を取っておきたいし。


 ミソラの思考を聞き取り、もっともだと思うクロウである。

 皆、緊張しているのだ。すでに人でなくなった、クロウですらそうだった。


 カテゴリー7の体内に入りこみ、爆弾をしかけて離脱する。

 言葉だけで聞けば簡単なようにも思えるが、この任務には数多くの危険が存在した。

 おそらく、この場にいる全員が生きて帰ることは難しいだろう。 


 それでも、やらなければ自分たちが死ぬ。この恒星系に住む人々が死ぬ。

 だから、戦うのだ。


「アレックスってさ~、なんだかんだ言って、臆病なところあるよね~」


「はぁ、何言ってんだよ!?」


「ワタシもそう思う」


「カンナまで…!」


 クロウは、かつての同僚達の雑談に耳を傾けながら、現在戦闘が行われているホール付近の状況を確認するのだった。


 ◇ ◇ ◇


 同時刻。

 ホール近くの宙域では、カドモス隊がワイバーン型との戦闘を行っていた。


 1機が襲い来るワイバーン型の攻撃を防ぎ、もう1機が反撃を行う。

 レーザーライフルで撃ち抜かれたワイバーン型は、その息の根を止めた。


 戦闘を始まってから5分の間に、4体のワイバーン型が倒されていた。

 カドモスは合計13騎、対するワイバーン型は8体であったため、これは予想通りの展開だった。


「あと10分以内には、全部落とせますかねぇ」


 パイロットの1人が、ワイバーン型の刃を防ぎながら、そんな軽口を叩いていた時だった。

 カドモスのレーダーが光熱源反応を感知した。

 余裕の表情だったパイロットたちは慌てて機体に回避行動を取らせる。

 直後、巨大な熱線が戦闘宙域を通過した。


「今の、どこからだ!?」


「ホールだ! あいつが、俺たちに攻撃してきたんだ!」


「ドラゴン型から援護射撃がくるなんて、聞いてねーぞ!」


 カドモス乗りの1人がそんな叫び声をあげる。

 ホールから出られないドラゴン型は、光線を放ってきたのだ。その巨体から放たれる光線の威力は、宇宙戦艦の主砲に匹敵する。当然、少しでもかすれば殲闘騎に甚大な被害を与えることになる。


「…ちっ、これじゃ俺たちが作戦の進行を遅らせちまうじゃねーか!」


 そんな文句を吐いた直後…

 再び、レーダーが熱源を感知する。


「…!? あいつ、早すぎるだろ!?」


 再び、熱線が戦場をないだ。

 攻撃を避けきれなかったカドモスが、1騎爆散する。それからも、次々と熱線が彼らを狙って放たれていた。


「く、くそ、こんなに連射されたら、避けらんねぇぞ!」


 熱線は10分以上、休み無く放たれた。

 この間、カドモスは防戦一方となり、その数を1騎、2騎と減らしていく。

 13騎いたカドモスの数は、この10分間で9騎まで減らされていた。 


 このままでは、じり貧だな。


 殲闘騎部隊隊長のビラーゴは、攻撃を避けながら舌打ちする。

 また、1騎、カドモスが熱線に飲み込まれた。


 なにか、避ける方法はないか…


 残っている機体は、現在ワイバーン型と交戦している5騎。そして、ビラーゴと支援射撃用の装備を持った2騎のカドモスだった。


 再び、熱線が戦場を走る。

 熱源反応を感知したビラーゴは即座に回避行動を取った。


 さらに、熱線が彼を襲う。

 間一髪、避けることができた。


 次のターゲットは、支援射撃部隊のカドモスだった。

 何発かの攻撃を受けて、1騎のカドモスが宇宙の塵と化す。


 次の攻撃は…再びビラーゴに向けられたものだった。


 そこで、彼はある違和感に気がついた。

 熱線を避けながらコクピット内のシミュレーターを起動する。

 過去のドラゴン型の攻撃パターンを解析…出てきた結果を見て、即座に指示を出す。


「全員、ワイバーン型へ近づくんだ! やつの攻撃は厄介だが、ワイバーン型には当たらないように撃っている!」


 乱射された熱線だが、そのどれもが単独で行動しているカドモスに対して放たれていた。 ワイバーン型には1発も当たっていない。


「人質を取るというのは、好まないが…!」


 背に腹は代えられない。

 カドモス達は次々と近くにいたワイバーン型へと近づいていった。

 それはワイバーン型からの攻撃を受けるリスクが高まることを意味していたが、歴戦のカドモス乗りたちは、器用に攻撃をかわしていく。


「こうなったら、とっととワイバーン型を片付けるぞ! おそらく、こいつらを落としたら、ドラゴン型は容赦なく俺たちを撃ってくる、皆、死ぬなよ!」


「「おお!」」


 ビラーゴの読みは当たっていた。

 彼らがワイバーン型に肉薄した途端、ドラゴン型からの攻撃が止んだ。

 複数のカドモスに囲まれたワイバーン型は、熟練兵たちの攻撃を避けきることができずに、その数を減らしていった。


 数分後、カドモス隊はすべてのワイバーン型を撃墜した。

 ワイバーン型がいなくなった戦場に、再び熱線の雨が降る。

 それは仲間を喪った恨みから放たれているようにも見えた。


「カドモス隊全騎、ドラゴン型からの射撃を避けながら戦線を離脱しろ!」


 対して、ビラーゴは冷静に指示を出す。

 彼らの任務はワイバーン型の撃破であり、この戦場に留まることではない。


「ビラーゴからシリウスへ。作戦の準備は整った。次元振動砲の発射を要請する」


 ドラゴン型の攻撃が止んだのを確認すると、ビラーゴは迎撃艦シリウスへとそう報告した。

 作戦は、次の段階へと進められた。


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