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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【始動編】 第1章 終わり、そしてはじまり
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1 静かな暗闇の中で

■第1章 終わり、そしてはじまり


【フィフスサン恒星系第二小惑星帯】

 統一時間4月6日16時05分。


 無数の岩塊が浮かぶ宇宙の暗闇の中を、一筋の流星が走る。否、それは白銀の殲闘騎(スレイヤー)であった。

 殲闘騎(スレイヤー)――人類が宇宙怪獣との闘争のために作り出した人型機動兵器――今、宇宙を駆けているのは、その最新鋭機シグルドであった。全長20メートルあるその機体の外観は中世の騎士を彷彿とさせる。


 シグルドの胸部、その最奥に設けられたコクピットの中で、パイロットの少年は周囲の空間に意識を張り巡らせていた。センサーをフルに使い敵の気配を探っているが、反応はない。

 殲闘騎(スレイヤー)であれば、周囲数千キロ以内の敵影を瞬時に捉えることができる。しかし小惑星が密集するこの宙域では障害物が多く自慢の目もその能力を大きく制限されていた。

 索敵の結果は、機体から瞬時にパイロットの脳へと届けられる。しかし、脳内に広がる光景はいつまで経っても、宇宙の暗闇と不細工な岩塊だけであった。


 作戦を変えよう。


 相手はこの小惑星帯の中に隠れている。それは確実だ。ただし自分がむしゃらに移動したところで、決して見つけることができない位置に潜んでいる。

 自分が周囲を警戒し、時間を無駄にしている間にも迎撃の準備を進めているのだ。


 この小惑星帯は、フィフスサンを中心として、ひらたく環状に広がっている。

 シグルドのパイロットはこの環の中から出ることを決意した。


 岩塊を楯にできない分、防御力は下がるが、相手を見つけやすくなるはずだ。

 パイロットの思考に従い、シグルドは小惑星の群れから脱出する。

 機体はシフィフスサンを中心にして時計回りで環の周りを駆けた。


 予想通り、今までよりも広い範囲を見ることができるようになった。

 岩塊、岩塊、岩塊…シグルドは小惑星帯の周りを駆けながら、視界に捉えた全ての岩塊をサーチし、その結果をパイロットへと共有した。

 秒間1000を超す探査結果がもたらされるが、まだ相手の姿は捉えられていない。しかし、見つけるのも時間の問題だろう。


 パイロットはシグルドからもたらされる情報を聞き流しながら、機体の右手で煌々と輝くフィフスサンを眺めた。このあたり一帯の人々の生存を支える灼熱の恒星。


 この宙域とあの星の間には、いくつの惑星があったっけ?


 そんなことを考えた時だった。センサーが機体の右前方に動く影を捉えた。

 慌てて、機体背面のウェポンボックスから銃を取り出し、照準を合わせる。

 相手はまだ武器を構えていない、これなら先手を打つことができる。

 そこでパイロットは、自分が致命的なミスを犯したことに気がつく。


「…っ!?」


 彼は相手に照準を合わせることに意識を向け過ぎていた。背後にある恒星、フィフスサンの存在が頭から抜け落ちてしまうほどに。

 照準を合わせ、トリガーを引こうとしたその時だった。

 恒星の光がセンサーへと入り込み、パイロットの視界が真っ白に塗りつぶされた。

 慌てて光量を調整するが、その行為が致命となった。


 恒星の光をシャットアウトするまで、かかった時間はコンマ数秒程度であった。

 しかし、この数瞬で相手はシグルドを攻撃する十分な時間を得ていた。


 警告が脳内に響く。

 パイロットが機体に回避行動を取らせる前に、コクピットに衝撃が走った。

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