ウィ○ペ○ア
小沛の大通りをいろんな意味で不安そうな顔の良、呆然とした網金、良の頭を
・・・モロ噛みしている白が全く同じ一カ所を見ている。
「困る・・・二将軍は文官とうまくいっていない、玄徳殿は呂将軍を小沛に入れた・・・。
やはり袁術と呂布が・・・ブツブツ。」
端的に言ってしまうと目の前で、身なりのいい細身の男が周りの空気を濁らせていた。
「失礼ですが・・・。陳長文殿・・・ですかな?」
「?・・・おぉ!全網金殿ではないですか。
先の手紙の件は、助かりました。」
「いえいえ。
私は、商人ですからね。むしろこれからもよろしくお願いしますよ。
それよりどうしたのですか、ずいぶんとお悩みになられていたご様子。」
「・・・色々な事がありましてね・・・ははは。
・・・おぉ、ずいぶん逞しい護衛を雇いましたな網金殿。」
あまり言いたくないのか話題を変える陳羣。
「おお長文殿こちらは今回の商品を納めるためこちらに寄る道の途中で会った、武良羽殿です。
護衛ではありませんが途中襲ってきた賊五人を、瞬く間に叩き潰すほどのお方です。
命を救われたので恩をかえそうかと。」
「良羽殿、こちらは陳長文殿です。
今は、劉玄徳様の元におられます。幼き頃にあの孔文挙殿に才を認められたほどの方です。」
*孔文挙・・・孔融 文挙 (こうゆう ぶんきょ)
孔子の子孫で有名。
建安の七子の一人。
曹操に妻子共々処刑されるが、その息子の曹丕は孔融の書いた詩文をとても好んだ。
面と向かって短所を指摘してくるが、裏では長所を絶賛する・・・ツンデレ?
「武良羽です、コイツは白。
網金殿には、色々と世話になってます。
よろしくお願いします。」
「ご丁寧に、陳長文です。
此方こそよろしくお願いします。
・・・かわいいですな。」
頭に乗っていた白を撫でながら答える陳羣。
「長文殿ところで、先ほどいたく悩んでおられたご様子。
もしよろしければ、愚痴くらいなら聞きますが?」
「それがですな・・・」
陳羣が白の肉球をプニプニしながら、言いにくそうに語ったのは、最近の主そして親族含めて身の回りの不安だった。
陳羣曰く、主の劉備が、袁術、袁紹などが徐州を狙っている中で、徐州を領有してしまった事。
主の義兄弟である関羽・張飛が、数人の文官とうまくいっていない事。
これが理由で、家族に悲劇が起きないか不安な事。
まぁそれだけではないだろうが大まかに言えばこんな事である。
「・・・聞いてて腹痛くなってきたわ長文さん。」
「グゥ」
話をしながら周りの空気をゆがめていく陳羣に当てられたのか、少し調子の悪そうに答える良と白。
『えーとまだ呂布が小沛にいてそんな経ってねぇから・・・。
というか、一番の不安は呂布かな実際。』
「まぁ、今は袁紹は公孫サンに付きっきり、曹操が袁術とにらみ合うようにすれば少しは落ち着くと思うが。
その関羽・張飛の二将は、アレじゃない?
旗揚げ時からいる義兄が文官かまってばかりだから嫉妬してる感じだろうし・・・。」
自分の知っている三国志のイメージと、うっすら覚えているウィ○ペ○ィアなどで見た情報で、おおよその憶測を言ってみる良羽。
「おお良羽殿は、見聞が広いのですな。」
「・・・さっき町人とかが飯屋で大声で話してたの聞いたんで、おおよそですが。」
「ほぉ、良い耳をお持ちだ。」
一瞬、未来知識は、マズイかとも考えたが、どうやら誤魔化せたようで安心する良。
「ぉお!!そうだ長文殿。少しお話ししたい事が。
ちょうど昼頃ですしどうですか昼食でも。」
網金の誘いにのって昼飯を食いに行く三人と一匹だった。