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知人の枝葉

誤字報告、有難う御座います。


徐晃出そうかなーと思っていたらやらかしました。


こんな感じですが暇潰しにでも見てってくれたら幸いです。

良は政務という名の判子ポンポン業を終わらせ山の様に並ぶ手紙を読んでいた。漸く孤児や異民族に文字や算術を教えてくれる人物を紹介してもらい、開墾の目処もたち久々に時間が割けたのだ。


例えば崔均から句陽の発展を知らせる物だったり、陳宮や成廉から届く近況報告。呂布やその家族からの手紙などとこの時代に飛ばされてから縁故を紡いだ物で有った。


偶々、一番下に置かれていた最後の竹簡を取る。


「ん?久々だな。陳羣さんか」


陳羣らしい綺麗な文字と流れるような文脈を読み進めていく。所々に胃の痛くなる愚痴が散りばめられているがコレも味だ。

だが最後に注意書きのようなものが添えて有った。


「禰衡と言う変人がそちらに向かう故、気をつけて下され?・・・あのドグサレ畜生か」


手紙を見ながら色々と喜怒哀楽コロコロしていると時間が来た。

従者に呼ばれ鎧を纏い広場へ向かう。


城外に設置された高台の上に立つ良の目の前には元賊の屯兵が疎らに並び集っている。練兵官として袁渙、卞喜、武周などの武人四人も集まっていた。


「注ぅーもおぉぉーく!!」


卞喜が声を張るとブツブツと小声で話していた元賊達がビシッと背筋を伸ばす。

訂正する、ビクッとだ。


良は何となく軍曹と呼びたくなる。


「此れより州牧御自ら貴様らに練兵を施す!各員一層奮起せよ!!」


卞喜の知らせに兵達は揃って返事をした。

皆、骨の髄まで良の怒った時の怖さを知っているので御し易い。


さて、ここでやるべき練兵とは集団行動をできる様にする事であった。

内容としては疎らに並んでいた兵達に五隊を組ませ、離散集合を繰り返させる。それが上手くいけば並んで広場をランニングさせたりした。


ランニングはスタミナ向上と足腰の強化も考慮に入たものである。

十部隊計五十人を先導役の四人が開墾している場所まで先導し、帰りに背負えるだけの木や岩を重しにして城へ戻る。


勿論、練兵官は兵達よりも明らかに重い量の荷物を持ってダッシュだ。


その様に「うわぁ・・・」とドン引きしたのは大凡練兵を受けていた兵全員。しかし自分達だけ楽をするわけでは無いと言うのは伝わっただろう。全員が気力を振り絞る。


因みに最後まで追従できた部隊には酒を贈呈し士気を上げた。それぐらいのご褒美は必要であるとの判断。


夕日が沈みかけた頃、汗まみれの身体を冷たい水で洗い流し白の腹をワシワシしていると従者もとい元孤児が部屋に入ってくる。何処か舌足らずで有った喋りも滑らかになり成長を感じられた。


「父・・・兄上。魯子敬殿がいらしてますよ」


「お!来てくれたか。

じゃぁ、起。魯粛さんを此処へ連れて来てくれるか?」


「はい!」


そう言うとテテテーと駆けていく。そう言うところは未だ子供だと思いながら良は見送った。


良に言わせれば使いにくいと言える広大な城のため魯粛が此処へ来る間に茶を入れてもらう。ぶっちゃけ自分でやって仕舞えばいいと思うが客と入れ違いになるとマズイので仕方なくぼーっと待っていた。


「おいーっす」


渋い声で部下二人と共に、笑みを浮かべた魯粛が入って来る。

見てくれは整っていると言えば整っている二十五そこいらの男で、良の様に衣服は実用的で質素、腰に鉄板の様な鉈を吊るしている。一見、中肉中背だが武人ならば一目見れば鍛えられているのがわかる程度の張りがあり商人や名士と言うよりは武侠と言った風情だった。


「よう!良羽坊の旦那。待たせたな」


「お久しぶり。その変な呼び方やめてくんない?」


苦笑いを浮かべた良に魯粛は顎ヒゲを撫でながらニヤリと笑って機嫌良さげに答える。


「ハハハ、無理だな。もう俺の中で定着しちまってる」


「ったくヒデー大人だ」


「そう言うなよ。ほら、目録」


「アザーっす。あぁ、それと歩隲さん達の紹介も有難う」


「お!話を受けたか。それぁ良かった」


談笑していた魯粛が竹簡を放り投げる。良が目を通している間に出された茶を飲み反応を待った。茶がガッツリ無くなり漸く良は疑問符を浮かべながら顔を上げる。


そして一言。


「多くない?」


「そうか?」


「いや、一つだけ施設を作るつもりだったのにこの量だと二つ分はあるだろ。


・・・なんか頼みてぇの?」


「察しが良くて助かるぜ。会って欲しいガキ供がいるんだ」


「うぇ?」


「いや〜ここに来る途中で知り合ったんだが、お前に会いたいって頼まれたんだ」


「ちょ、何者んだよ。

てか高々会う為だけにこんなに貰っちゃ悪い。全部払うから待ってくれ。

どうせ増設するつもりだったし」


「ん?気にしなくて良いぜ」


「いや、気にするわ。賄賂送るヤツと送られるヤツって思われたら困るしな」


「一理あるか。しかしまぁ、お堅いね」


「そこは譲れねぇよ」


「まぁ良い、来てもらおう。おい、頼む」


「へい」


そう言うと厳つい護衛の一人が出ていく。彼に連れられて来たのは二人の青年と少年だった。


二人とも質のいい服を纏っており、たかだか部屋に入るだけだというのに所作が逐一洗練されている。


良でさえも一目で育ちの良さがわかる滑らかな拱手の後に青年がハキハキとした声を発した。


「お初目にかかります豫州府君。

揚州呉郡呉県、陸家の代理家長陸遜、字を伯言と申します」


続いて少年が言う。


「陸績、です」


「丁寧にどうも。豫州牧の呂井、字を良羽だ。よろしく」


「此方こそ宜しくお願いします」


「お願いします」


「詳しい話は明日中に必ず聞くよ。今日は旅で疲れてるだろうから客間でゆっくりして」


「ありがとう御座います」


「御座います」


そう言うと陸家の二人は一礼し退室した。

最近の子はしっかりしてるなーなどと考えていると魯粛が驚いた様な顔で良をまじまじと見ていることに気付いた。


「いや、スゲーなお前」


「なんで?」


「いや、お前。え?呉の陸家だぞオイ」


「ゴノリクケ?」


「まさか知らねぇのか?呉の四姓を?!」


「いや、まぁ知らねぇ。」


「え"ぇーーー。お前っ。

えぇーーーー良羽坊の旦那らし過ぎるわ」


「誉めんな」


「褒めてねぇよ。十全たる皮肉だよ。


いいか?呉の四姓ってのはその名の通り呉県出身の名家だ。


さっきのガキの陸氏、それと顧氏、朱氏、張氏がそれに当たる。其々が呉県どころか揚州の顔みてぇなもんで都の人間でさえ耳にする名だ。


その上であのガキの才気は見ての通りだ。孫策っつーぽっと出に家長を殺され尚も己が足で立ち上がる胆力が有る。


いいか?これぁ青田買いだ。

ああゆう名実揃った奴が成功しねぇ訳がねぇ。恩を売っとけ」


驚いてみたり、呆れてみたり面白い。しかし良に色々な人物を紹介しようとしてくれている事は、幾ら察しの悪い良でも理解した。同時に手を貸して欲しいとも考える。


「成る程な。

本当、あんたは良い先輩だよ。

そこまで言うんなら大体のことは聞くさ。ガキが頑張ってるんなら手ぇ貸せるんならそうしてやりてぇし。


つか、マジでウチにこねぇ?御用商人ってんじゃ無くて従事として。それが嫌なら親父とか魏続さんとかに話し通すけど」


「あぁ。そう言ってくれるのは嬉しいがな。もう少し考えさせてくれ」


「気が向いたら何時でも来てくれ。


じゃぁ、よっしゃ!仕事も終わってるし何か作ろうか」


「お前、州牧に成っても料理指揮してたんかい。

まぁ、楽しみにしてるぜ」


「おうよ!」


その日の晩餐のメインは鶏肉を梅酢と塩などで煮付けた甘酢擬きと泥抜きされた川エビの素揚げだった。味は悪くないと明記しておく。




そして翌日。荀攸と袁覇を同席させ陸遜達との話し合いである。


先ず、陸遜と言うか陸家が呂布に対して望む事であるが即ち交易であった。


呉の名族である陸家で生産している塩と絹を内陸地で割拠する呂布達に買ってもらい、対価として陸家と四家丸ごとの保護をして欲しいと言う。


丁度、故揚州牧劉繇が奸賊を討滅させると同時に病死し、変わって揚州の最高実力者の牧となった魏続と彼の上司に当たる呂布への売り込みである。では何故、良の元へ来たかと言えば根回しだ。


「って事は許褚さん達とかにも話しといた方がいいな。領内での塩の運搬はコッチが受け持つことになるだろうし」


「汝南袁氏にも私から伝えておきます」


「私は潁川の名士に伝えておきましょう」


良に話を通しておけば豫州の諸豪族が表立って敵対できなくなり、陸遜としてはそれだけでも会う価値がある。


「んで陸家の代理家長殿。それだけじゃねぇだろ?」


「はっ!豫州牧、折り入ってお願いが御座います。


一年間、人質として預ける弟の陸瑁を玉院に預かって欲しいのです」


「いいけど、文字と簡単な算術を教える程度の玉院に名族の子が学ぶような事があるかい?」


「はい。今、差し出せる物はありません。しかし、人質とせねばならぬとは言え唯一人の弟。少しでも見聞を広めさせてやりたいのです。


聞けば此度、平興に開く院も鮮卑匈奴や貧民奴僕から名士の子まで望む者は学舎へ入れているとか。


どうかお願いいたします」


「そう言う事なら全然いいよ。

ただし。規則は守ってくれよ?折角、必死こいて作ったんだからな。名族だからって優遇は出来ないし、しない」


「はい。それは勿論」


「んじゃぁ、細かい話は荀汝南太守と袁覇さんに任すよ。良い感じにしてあげて」


「はっ!」


「ははっ!!」


話し終えると陸遜に書簡を渡す。仰々しく其れを受け取ると陸遜は二人に連れられ退出した。


束の間の休息として王粲が竹簡を持って来るまで、更に大きくなった白を呼び、枕にして朝寝と洒落込んだ。

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