訓練と脳筋の意思疎通
「では、公台殿。酒宴、楽しゅうございました。」
「武井。また、語らいましょう。」
掌と拳を合わせ文官の二人が門の前で礼をする。
「陳別駕またいらして下さい。」
ついーーー。
「亮。きをつけてな。」
お供を連れて荊州に帰る諸葛亮と、徐州に帰る陳軍に、手をブンブン振る良。
昨日の酒宴で親睦を深めた彼らは、長旅になる為に日も登りきっていないのに別れの時を迎えた。
さて、全員解散して一時間ほど経ってだろうか。
「では、良殿。
二、三日我が屋敷にお泊りください。」
ついーーー。
と言われた良はする事が無く、陳宮に教えられた練兵場もとい唯街の外のだだっ広い平原で日課をこなしていた。
陳宮の屋敷の召使らしき人から槍、薙刀っぽい物を借りそれで素振りをし、終わったら腕立て、反復横跳び、などなど延々と基礎訓練を続けていく。
もう昼頃だろうか、弓の訓練をしようとしたのだが良の中での事件が起きた。
「弓ちっさ・・・。」
そう、良は家族に色々な武術を習い、その中に弓道があったのだが、中国の弓は日本のものと比べて、メチャクチャちっちゃいのだ。
「うーん。撃てるんだけどなんかなぁ・・・。
威力とかなぁ・・・。」
と言いつつ、数千年前の弓矢で的のど真ん中に当てるあたりは、日頃の成果と馬鹿みたいな才能なわけだが。
「こんなもんでいいか。
爺ちゃんいたらヘッドバットされるけど。」
母方の祖父を思い出し、出てくるのがヘッドバットという事は置いといて、槍や薙刀っぽい物は割としっくりきたのだが弓に慣れず、諸葛亮達と別れてから続けていたのもあり休憩がてら、周りを見てみる。
厳つい雰囲気のお兄さんにメッチャ見られていた。
「新兵、なかなかやるな。
偃月刀の訓練なら、私と一戦矛を交えんか?」
「んぁ?あぁいいぜ。」
道場の先輩を思い出しながら薙刀っぽい物を、叩き切ってやるゼェな構えで持つ。
『なんか、薙刀と長巻足して半分にしたみてぇだなコレ。
刀の部分クソぶっといけど。』
「ん?偃月刀とは、珍しい。
そんな物を使えるのは、私以外に一人しか知らないぞ。」
そう言い、お兄さんも青龍偃月刀を横に構える。
「おう。槍と同じくらい使いやすいからな。
行くゼェッ!!」
「こいっ!!」
構えから一線。瞬発力と力に任せ一気に振り下ろす。薙刀より圧倒的な太さを持つ刀身によってその破壊力はどれほどか。
お兄さんの方は、その振り下ろしを受けるではなく身体を横にずらすように避ける。そのまま流れるように横薙ぎの一撃を良の横っ腹に叩き込む。
だが同時に、良も振り切った薙刀を急停止させ、そのまま前に進む。
「なにっ!?」
何を隠そう。防御が間に合わないと見て、ショルダータックルをカマしやがったのだコイツ。
少しよろけるも、体制を立て直すお兄さん。
そこに、良の一直線の剛撃が落ちてくる。混乱してはいたが、なんとか得物で防御する。
その時である。
メキャッ。
偃月刀の柄が折れた。
「あっ。」
「ヤベェ!?ブッ壊しちまった。」
微妙な空気が流れる。
「気にするな新兵。
この武器は訓練用のものだ。」
「いや、でもよ。」
そこにである。
「おーい。弟よ!!
将軍が呼んでおるぞ。急ぎ参れと。」
お兄さんの兄貴だろうか。
少しだけお兄さんの筋肉をそぎ落とし、文官の格好をした人が手を振りながら伝える。
「ん?わかった兄上!!
新兵またやろう。次は勝負がつくまでな。」
良は風に吹かれながら思う。
超楽しかったと。
おそらくは、成廉並みの強さがあった。今度はちゃんと一回死合い・・・試合したいなーと。
所変わってさっきのお兄さん達。
「全く弟よ。27にもなって楽しそうな顔しおって。」
「汎兄上、強き新兵を見つけた。
まだまだ若いが、その武は目を見張るものがある。
この私が、一瞬危うかった。
また一戦したいものだ。」
「弟よ、ちょっと怖いぞ。」
呂布配下にはこんな奴らばかりなのだろうか。
同じような事を考えているお兄さんの姿があった。
武器とかの事は、許してください。
演義ベースだからいいよね・・・。




