第四十三話 「北の森から」
「ふぁぁ。いい天気じゃのぉぉ。」
暖かい昼下がりわしは、天守閣でお茶を飲んでいる。
外を眺めれば、ランプルがガーターベルトだけの格好で屋根を掃除いていた。
何故裸なのか聞いてみると
「前回の失敗は、この足に履いている布が滑るからです。
今回は。脱いだから失敗はしません。
ランプルは頭がいいのです。
なんてったって優秀なメイドですから。」
自慢げに言っているが靴を履けばすむと思うのだが・・・。
そもそも、メイドは屋根など掃除せん。
・・・・相変わらずブレない、ランプルは可愛いのぉ。
四つん這いで屋根を拭いてるので手が動くたびにおっぱいと尻が揺れている。
時々、向きを変えては、大事な部分が丸見えなのだがランプル気にしていない。
胡坐をかいているわしの右足の上にエリザベスが頭を乗せて寝ている。
あれからエリザベスはわしの専属護衛兼愛玩動物?になった。
近衛隊ではないので正式な軍には所属していない。あくまで客分としてわしの護衛をしている。
最初は、近衛隊を勧めたがエリザベスが断固として今の立場に拘ったので希望通りにした。
普段は、キリッと目を光らせて護衛をするがわしと二人だけになると、今の様に甘えてくる。
まるので小さい時に得られなかった父親への甘えを取り戻すように。
わしの実年齢で言えば玄孫くらいなので、子供みたいに甘えられると嬉しくもあり愛おしくなる。
わしがエリザベスの頭を優しく撫でながらランプルを見ていると強い風が吹く。
ランプルは少し風になびいたが両足を開いてバランスを取るとそのまま作業を続ける。
なんて見事なポーズなのじゃ。うむ。もう少し尻を上げていれば最高じゃ。
「あなた様。どうしました?」
うむ。エリザベスが起きたようじゃ。
動いたつもりはないのじゃが、起きたエリザベスを見ると原因がわかった。
「うむ。お前の寝顔があまりにも可愛くてつい反応してしまった。」
わしのパトスがランプルのポーズに反応して天を向いてしまいエリザベスの頭に当たったらしい。
バレない様にランプルは見ずに笑顔でエリザベスに言う。
エリザベスは、頭に当たっている物が何かわかったらしくうつ伏せになった。
「フフフ。もう仕方ありませんね。」
器用にわしのズボンを脱がすと奉仕をしてくれる。
今までのドレスアーマーでは、着衣に時間が掛かる。今回のような突然のアクシデントの時は、脱がせられない事が多かった。
しかし、今、エリザベスが装備しているのは、工業ギルドと魔法ギルドの共同開発した特注のドレスアーマーじゃ。
ある部分にわしの魔力を通すと前面が観音開きになるので急なアクシデントにも対応を可能にした。
二人で汗を流していると【気配探知】に北の森から何かが向かっているのがわかる。
反応からして、脅威にならないと判断してエリザベスを堪能するのをやめない。
そろそろ終わりにしようとした時には、わしの目の前に1m位の大型のハチが現れた。
エリザベスは手すりに両手をついて下を向いているので気づいていない様で、甘えた声を出している。
「・・ギ・・ギ。・・・・ニンゲンノオウ。・・・・タスケテ」
「あっ。もっと・・・・・えっ。キャーーー!!」
ハチに気付いたエリザベスが悲鳴を上げるとパトスが抜けなくなってしまった。
「エリザベス。落ち着きなさい。これは少し痛いぞ。」
悲鳴に気付いてランプルが駆けつけてくる。
「これは・・・・・。〇〇〇です。
確か対処法は、えぇぇぇっと。
そうです。さっさとして小さくすればいいのです。」
何を思ったのかランプルがわしの全身を攻め始めた。
「ハチよ。少し待ておれ。直ぐに済むから。」
「ギ・・ギ。・・ハヤク。・・・・ハヤク。」
下の方からドカドカと複数の足音が聞こえてくる。
これは拙い。少なくともエリザベスの体は隠さねば。わし以外の男に見せる訳にはいかん。
慌てて、ドレスアーマーに魔力を通すと前面が閉まる。
「えっ。あっ。いきなり。」
エリザベスが何か言っているが気にせずに状況改善に意識を集中する。
【気配探知】からはどうやら王妃達とメルの後宮護衛隊と家臣だとわかる。
「タケル様。どうしました。エリザベスの悲鳴が聞こえましたよ。」
アリス達が天守閣に入ってきたが幸いにも反対からなので、たぶんわしの後ろ姿しか見えないじゃろう。
「大丈夫じゃ。大型のハチが現れたので驚いただけじゃ。
ハチを驚かせてはいかん。王妃達とメルだけこちらに来なさい。
家臣達は、緊急の会議をするので準備をせい。」
どうせバレるので呼ぶことにした。
エリザベスとランプルの裸や乱れている姿を男共には絶対見せんぞ。
アリス達がわしに近づくと目の色が変わっていた。
それはそうだろう。大型のハチを目の前にわしとエリザベスが繋がっていて、ランプルが懸命に奉仕をしているのだから。
おさきがハチとわしらを交互に見るとため息をついて女性達に語りかけた
「どうやら。エリザベスとの最中にハチが乱入して来て、驚いたエリザベスが〇〇〇を起こして動けなくなり。解決する為にランプルが手伝っている訳ですね。」
まるで見ていたかの様に完璧な説明をするおさき。
説明を聞いた女性達は顔に太い血管を浮かべてわしを睨む。特にアリスが怖かった。
「・・・マダ。・・・マダ。・・ハヤク。・・・・ハヤク。」
ハチだけはマイペースにわしを急がせていた。
あれからおさきの正しい対処によりパトスが重傷を負うのを免れた。
あの状態では男性よりも女性をリラックスさせるのが効果的らしい。
・・・・・・相変わらずのランプル仕様じゃったわい。
無事に生還を果たしたパトスだが、あんな事があっても天を向いていた。
何たる意志力じゃ。お前はわしの誇りじゃ。
これからも頼むぞと思った瞬間に体から離れて行った。
「のぉぉぉぉぉぉ。わしの誇りがぁぁぁぁ。」
激痛に耐えてながら再生魔術を使い、第58代目パトスが誕生させた。
落ち着いたので誰がやったのか確認すると刃物付魔法杖(薙刀型魔法杖)を右手に持ち、左手に第57代目パトスを握りしめた。夜の魔女がいた。
「フフフ。あれ程いい聞かせたのに。
このパトスは・・・・・。
本当に悪い子ですねぇぇぇ。後でお仕置きですよぉぉ。」
笑顔なのに目が笑っていないアリスが赤ちゃんに話しかける様に語り掛けた後、アイテムボックスに第57代目パトスを入れた。
最近、アリスがヤンデレ化に進んでいる様な気がする。これは、ルル様の影響だと信じたい。
さて、一悶着もあったがハチの話を聞くために天守閣で会議が開かれた。
参加者は、王妃達3人、メル、エリザベス、ラトを含む家臣達と大型のハチで行われた。
エリザベスは恥ずかしいのかずっと下を向いている。
大型のハチは、聖虫の一種で正式名を蜂聖虫と言う。
性格は、穏やかで最高級品質の蜂蜜を大量生産する。
戦闘力が高くないので人や聖獣などと共存しながら生活をしている。
言葉も話せるので、わしは彼らの女王と契約を交わした。
その時に聞いたのだが、蜂聖虫は良質の蜂蜜を作る事に人生を捧げる。
共存の道を選んでからは、蜂蜜作りに適した体に進化した。
昔は毒針もあったが蜂蜜作りには、必要ないので退化してなくなった。
そのかわりに沢山のミツを体に蓄えられるようになった。
「ギ・・ギ。・・トウカマエ・・カラ。・・・オソワレタ。・・・スミカ・・コワサレタ。
・・・・・・ミツ。タベラレタ・・・。」
「なんじゃと。どれ位壊されたのじゃ。それと誰にじゃ。」
「30・・コ。・・ミタコトナイ。・・オオキイ。・・クロ。・・カタイ。・・タクサン。」
成程、蜜箱を30個も壊した犯人は、新種の大きくて黒くて硬い魔物でしかも沢山いる。
あそこには300個の蜜箱がたったはずじゃ。1/10もやられたのか。
これは急がないと拙いぞ。蜂蜜は様々な用途で使われているので国に影響が出る。
油断していた。こんな事が起きる前に蜜箱にも警備のゴーレムをつけるべきだった。
この国に蜂蜜泥棒や天敵がいなかったので安心して油断していた。
これは、女王に謝罪せねばなるまい。
「うむ。要件は分った。すぐに応援に行くので女王に伝えてほしい。
王妃達とメルとエリザベスは、直ぐに準備をしろ。出来次第向かうぞ。
それとおさきは、審判者のゴーレムを500体、北の森へ向かわせてほしい。
数が多ければ蜂聖虫達も安心するだろう。
ラトは、各ギルドに通達して、混乱が起きない様に調整じゃ。
少なくとも農業ギルドと商業ギルドはかなり影響を受けるじゃろう。
それでは、解散じゃ。」
「・・・ハヤク・・キテ。」
ハチが帰り、王妃達や家臣達が、天守閣から降りて行ったのを確認する。
「聞いていたな・・。どういう事じゃ。お前達からは何も報告が無かったぞ。」
「申し訳ございません。まさか蜂聖虫を襲う者がいるとは・・・。
いえ。言い訳になりません。10日も前から襲われ続いているのに気付かないなど。
この責任は、私が全て負いますので部下たちには、何卒ご慈悲を。」
天守閣には誰も居ないが足元から声が聞こえてくる。
「責任を感じるならいち早く情報を集めろ。
それと、今回はわしも油断していたので不問とするが、次は無いぞ。
良いな。」
「はっ。二度とこのような醜態は晒しません。
この忍頭:ハンゾウの名に賭けましてお約束します。
では、ごめん。」
情報局の主だった仕事が新聞作りになったので、不満を持つ者達を集めて忍びを結成した。
忍びになる者は、ゴシップ系の情報を集めるのに嫌気がさしていた様じゃ。
まほろば衆を結成すると転移陣から適任者が現れるようになった。
余談だが、殆んどが武闘派なので任務に試練の塔へ行く事を追加したらかなり喜ばれた。
うむ。怪しいぞ。
例え動物や魔物でも転移陣が無ければこの国に入れん。
転移陣で入った者には聖獣などを襲わない様に頭に刻まれているはずじゃ。
それなのに蜂聖虫を襲うとは、何が起きているのじゃ。
わしの国で好き勝手する者にはそれ相当の罰を与えねばならん。
覚悟しておれ。




