第三十六話 「招かれる者達の思い」
今回は書き方を3パターンにしてみました。
読み難いと思いますが御付き合い頂ければ幸いです。
そうそう、わしの国の名は「ヒノモト」に決めた。国政の会議で国名が出たので問答無用でわしが決めた。反対者はいなかったが皆、きょとんとしていたのでわしは、「日出る国」などの説明をすると皆、賛同してくれた。
地形が変わった翌日、おさきが新しい法案を作ったので早急にわし・ラト・おさきの3人で決めるとたまもちゃんにお願いして女神の奇跡に追加してもらった。
わしはどんな者達が招かれるのか心を躍らせながら待つ。
招かれてから3日が過ぎた者とは面接をする事にしている。
10日が過ぎて全員と面談を終われば仕事を振り分けねばなるまい。
振り分けるのは、新年の建国を宣言するのと一緒に発表しよう。
<女神の奇跡>で移転者達には家族で3ヶ月は過ごせる金をギルドカードに追加しているので生活には困らんだろう。
用意した住居が気に入らなければ高価な処に引っ越せるようにした。今住んでいる部屋も1年後には有料にする。仕事場に近い処や広い部屋など好きな処に住めばよい。怠け者は、転移出来ないのでその辺はあまり心配しいない。
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エリザベス編
「ヤァ。ハァ。トォォーーー。」
強い日差しにさらされながらも一心不乱に剣を振っている女が居た。
広い訓練所の中、たった1人。服が乱れて肌が露わになっても、流れる汗が飛び地っても拭わずに何かを忘れるかのように。
女の着ている服を見れば身分が高い者とすぐに判る。
奇妙な事に、高価なドレスを着ている。とても剣を振るような格好ではない。
高価なドレスが汗や土で汚れていても気にせず動き続けている。
女の美貌は、高価なドレスにも負けていない。汗で髪が乱れているのにも関わらず少しも女の美しさには陰りが無い。それどころか、汗が散る度に輝きを放つので美しさが増していた。
女の名はエリザベス。今年、成人を迎え来年には遠い国の大貴族に嫁ぐことが決まっていた。
エリザベスは現国王の妾の子で王位継承権を持たないが「戦姫」として国民に人気が高かまっていた。
本来であれば妾の子を他国に嫁がせることはない。有力貴族へ嫁がせて国をまとめるのに利用する。
しかし、今回は異例で王位継承権3位の王子が遠い国の大使に危害を加えてしまい、国際問題を納める為に強くて美人なエリザベスが急遽、嫁ぐことになった。
戦略結婚を避ける為に幼い時より、厳しい訓練にも耐えてきた。未成人になるとダンジョンに潜り知名度を上げたのにバカな王子の所為で全てが無駄になってしまった。
納得出来ないエリザベスではあったが、国同士で決めた事に口が出せる訳もない。
原因の王子は謹慎中だったので直ぐに襲撃をしてボコボコにしたが気分が晴れる事はなかった。
王子襲撃の翌日から謹慎を言い渡されたが嫁ぐことが決まっているエルザべスは部屋から抜け出して訓練所で汗を流すのが日課になった。
謹慎中の者に接近するのを避ける為か、いつの間にか訓練所には誰も来なくなった。エリザベスも気を使って一番小さな訓練所で訓練はしているが騎士団からしたらいい迷惑である。
「ふぅ。今日はここまでしましょう。」
汗を拭いていると右手の甲が光りだした。
「えっ。なに。どうして。」
混乱していると何かが頭の中に入って来た。様々な情報が直接頭の中に入って来たので初めは混乱したが不思議と気分は悪くない。
右手の甲の光が消えると魔法陣が刻まれていた。エリザベスにはそれが転移陣だと直ぐに理解する。まるで神々の国へ招待されたように思えた。
自分ではかなりの時間が経ったと思い空を見ると太陽の位置は変わっていなかった。
まるで夢のようだ。行ったことも無い国、顔も見たことも無い男に嫁ぐしかなかったエリザベスにとっては正に青天の霹靂だった。
いつもは死んだような気持ちで部屋に戻っていたが今日からは違う。
誰もが見惚れるような笑顔で謹慎の部屋ではなく、王の元へ向かった。
神々の神託ならたとえ父(王)でも従うしかない。従わなければ滅びが待っているのは誰でも知っている。これで、誰にも縛られない自由が手に入る。
エリザベスがヒノモトへ来たのは期限最後の10日目だった。
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フォンテ編
「うむ。まっ。いいだろう。ほれ、修了証明書だ。まさかその年でレベル40を越えるとは、呆れるぜ。」
「へへへ。ありがとうございます。親方。」
僕は、親方に深々と頭を下げると親方から鍛冶修了証明書を受け取ると急いで工業ギルドに向かった。10歳から鍛冶屋に弟子入りして15年でやっと修行が終わった。
工業ギルドに入ると受付のお姉さんに挨拶をして要件を伝える。
「こんにちは。やっと修行が終わったのでギルドカードの更新をお願いします。」
「おめでとう。フォンテ。その若さで独立出来るなんてすごいわ。でもね。もう少し服装にも気をつけないとせっかくの美人なんだからもったいないわ。」
「別にいいよ。鍛冶屋は腕が良ければ客に困る事はないから。それより早くしてよ。」
フフフ。これでギルドランクが4に上がる。お金はまだ貯まってないから独立出来ないけど、親方からは少しずつ仕事を回してくれるって言われてるから30までには店が持てるかな。
これからの事を考えていると右手の甲が光りだす。
「キャーー。なにこれ。どうしたの僕の手!!」
僕が大声で騒ぐと周りの人が集まって来る。
光と共に頭に直接情報が流れてくる。頭がクラクラしてきて、受付に倒れ込む。
光が止むと頭が冴えて来たので右手を見ると甲に魔法陣が刻まれていた。
僕はすぐに転移陣だと理解が出来た。あれ?何でかわからないけど刻まれた転移陣に不安がなかった。
暫らく見ているとギルドカードの更新を終えたお姉さんが戻って来た。
「はい。ギルドカード。それとギルドマスターが呼んでるから案内するわ。」
えっ。何でギルドマスターに呼ばれたかは分からないけど、お姉さんについていった。だって、いつも笑顔のおねぇさんが真剣な顔になっていたから逆らえないよ。
ギルドマスターの部屋に通されるとそこにはガッチリした老人が座っていた。
「ギルドマスター。フォンテを連れてきました。」
「えっっと。失礼します。初めましてギルドマスター。」
「うむ。そんなに緊張するな。フォンテよ。まずは座りなさい。」
僕は初めて会うギルドマスターに緊張していた。親方よりもおじいちゃんだけど風格があってなんだか怖かった。
「フォフォフォ。フォンテよ。そんなに怯えるな別に取って食おうとしているわけではない。
ちょっと、右手を見せて欲しいのじゃ。それと判る範囲で説明をしてほしい。」
僕は、震えながら右手を差し出した。説明って転移陣の事だよね。なんでか知らないけど理解していることをギルドマスターに説明する。
「うむ。先程わしの部屋の鏡に神託が刻まれた内容と同じじゃな。
それにしても、転移陣を刻むのと同時に情報まで理解させるとは流石は神様じゃ。
フォンテよ。我が工業ギルドは全面的にお前を支援するぞ。
親方にも相談して出来れば神託に応じて欲しい。必要な物は全てこちらで用意するから安心せい。」
僕は緊張したまま部屋を出ると急いで親方の工房へ向かった。
右手を見せながら親方に説明すると驚いていたがギルドマスターと同じで応じる様に勧められた。
帰り道に神託と家族の事を考えていた。
僕の家族は母親と僕が長女で下には3人の妹達の5人。僕が稼がないといけないけど神託には家族の転移も認められている。僕は転移しても良いと思ったけど家族が反対するなら皆には悪いけど断わらないと。
色々と考えていると家に着いた。
夕飯を食べながら家族に相談すると皆、賛成してくれた。
期限の10日間で僕達は友達や知り合いに別れのあいさつ回りをする。
ギルドマスターからは鍛冶屋に必要な物一式を全て用意してくれた。
親方はまだ僕には難しい技法を次々と見せてくれた。形よりも技をプレゼントしてくれたのが嬉しかった。工房での最後の日は泣きながら親方に抱き着いて別れを告げた。
僕は期限ギリギリまで使ってヒノモトへ旅立った。
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エリク編
俺の名はエリク、やっと全てにケリをつけて、生まれ故郷に帰って来た。
故郷を離れて40年は過ぎたと思う。それまで色々とあった。
戦闘ギルドで様々な仕事を受けては金を貯めて、装備を整えては難しい依頼をこなしていた。
10年が過ぎると一人の女と恋をして、女が身籠ったので結婚した。
両親に報告をしようと帰郷の旅の途中で強盗にあった。
俺は、妻の体を気にして安全な道を選んだ。道は、狭いが魔物のレベルも低くいのでこの道を選んだ。
魔物には警戒していたが、【業】があるので人間には襲われないだろうと警戒を甘くしたのが失敗だった。
奴は岩場で道が細く、わずかに下っている谷間に罠を仕掛けていた。
そこは一日中霧が立ち込めている。地面には毒の実を潰して撒かれていた。そこを通る者は気付かずに毒に侵されていく。さらに別の罠で徐々に弱らせる。毒に気付いた時には、俺達は殆んど動けなくなっていた。
俺は助けを呼んだが、誰も助けには来なかった。どうやら俺達は道を外れていたらしいと後になってわかったが今はそれにも気付かない程、焦っていた。
妻が苦しみながら咳をしている。戻ろうとしたが歩く速度はかなり遅い。苦しむ妻はついに倒れてしまった。
俺は妻を担いで必死に戻ったが、力尽きて俺も倒れてしまった。
何やら音がしていたので目を開けるとそこには奴が妻の服を脱がしているところだった。妻を全裸にすると今度は俺の装備を脱がしている。
殴りかかろうとしたがまったく体が動かなかった。奴に顔を忘れないように睨みつけた。
「おや。男はまだ生き居るのか。むっ。目が虚ろなら長くはないたろう。
殺したいが【業】が貯まるのは拙いだよなぁ。まっ。全裸でこの先を行けるはずもないからいいか。」
俺は奴に脱がされるのをただ見ている事しか出来ず、段々と眠くなったが怒りで眠気を飛ばしていた。
奴が去ると限界が来たのか気を失った。
目が覚めると体は動くようになっていたので妻の処に駆け込んだ。妻は全裸にされていて乱暴を受けた後もあった。妻の顔は安らかな顔だったのがせめてもの救いだ。
俺は妻を抱きしめながら、大声で叫んび、そして泣いた。泣き止むと奴の顔を浮かべて復讐を決意した。
妻を抱えながら、道を戻ると正しい道に出た。今度は間違えない様にゆっくり進む。なんで間違えたのだろうと自分を責めた。
幸運な事に戦闘ギルドのパーティーに出合う事が出来た。
事情を説明すると彼らは俺達を労わってくれた。余っている服を2人分も貸してくれて妻には生活魔法で綺麗にしてくれた。彼らに護衛されながら街につくと医療ギルドで浄化してもらい埋葬してもらった。
俺は奴の情報を集めることにしたが、中々集まらなかった。
奴のうまい所は、人を狙て罠を仕掛けた訳ではなく獲物を取る為に仕掛けたので【業】はそれほど増えない方法を選んだことだ。
そこまで用意周到な奴が簡単に見つかるわけがないが復讐を諦める訳にはいかない。
5年が過ぎる頃、情報屋から1つの情報を買う事が出来た。
情報に従って男に会うと復讐ギルドに勧誘された。
復讐ギルドは大切な者を殺された人だけが入れるギルドで非公式のギルドだ。
ギルドに入ると厳しい掟を守らなければならない。掟の1つにギルド員の復讐に手を貸さなければいけない。しかも、ターゲットしか殺すことは許されない。悪事をしていないターゲットの家族や護衛などを殺すことは禁じられている。
復讐が達成されても新しいギルド員が入らないと抜けられない。
当然、復讐ギルドの事は他言無用である。
厳しい掟はまだあるがそれでも5年間必死に探したが奴の情報は集まらなかったので俺は入る事にした。
それから5年が経つとついに俺の番が来た。奴はあれから何人も殺していたようで殺しに参加したギルド員は全員被害者だった。奴を見つけると一斉に取り押さえてギルドに連れ帰った。
人数が多いので攻撃しては回復を繰り替えして全員が復讐できるようにした。
一辺に抜けるとギルドの戦力が落ちるので順番に抜けることにした。俺には守る者がいないので一番最後に抜けることを告げるとギルド員から感謝された。
数十年が過ぎた今は、ギルドマスターまで上り詰めていた。
このままギルドを抜けなくても良いと思っていた時に神々からの神託が右手の甲に刻まれた。
俺には勿体ない話が頭に流れて来た。他のギルドマスターに相談したら「お疲れ様。」と言われてギルドを無理やり抜けさせられた。
わしは納得できなかったが部下からも祝福されたので飽きられることにした。
このまま「ヒノモト」へ向かってもいいが10日あるので妻の墓の中にあるギルドカードを回収して、もう一度故郷を目に焼き付けるだけの時間は十分ある。
エリクがヒノモトへ来たのは期限最後の10日目だった。
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様々な思いや背景を背負いながら殆んどの者が転移に応じてヒノモトに集まって来る。




