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18話 アンとイド



 好きな時間を指定してくれと言われたピリオドは考える。いつでもいいと言われたとしても即日会ってくれと言うのは性急するぎるだろう、1週間後くらいでどうだろうかと考えていた


「先輩もそういう所で気を使うんですね意外です」


 小憎らしい皮肉を言うコンマをクッションの牢獄に閉じ込めると1週間後のできれば遅い時間がいいと返信を送るピリオド、そして返事はすぐに返ってくる《それでは1週間後の23時でどうだろうか?》ピリオドはいつでもよかったのでそれに了承のメッセージを送った


 仕事の為にバーへ向かうと今日も拙者の車が止まっていた


「来たか…ピリオドこいつをどうにかしろ」


「今日はちゃんと話があって来たでござるよ」


 拙者は食べていた食事の手を止めて話すがまだ口の中には残っているようでモゴモゴしていた


「いつもはどうなんだ?」


「マスターの美味しいご飯と推しに会える素敵な店のただの常連でござるよ」


「というわけでピリオドがライブに出てから毎日来るから鬱陶しいんだどうにかしてくれ」


「そんな事私に言われても…」


「まぁまぁ店の売り上げには貢献してるでござるよ」


「店はできればやりたくねぇんだから来るなよ」


 マスターが愚痴っている間に拙者は目の前の料理を食べ終わった


「さて本題でござるよ。ピリたんアン議員とイド議員には連絡とってみたでござるか?」


「うん来週には時間をくれるって」


「それ拙者も付いて行くで御座るよ」


 拙者の唐突な申し出にピリオドは混乱するがマスターが横やりを入れる


「この前死にそうになってチビりながら帰って来ただろうがまたチビる事になるぞ」


「チビってはないでござるよ、粗相はしてしまってでござるが」


「どっちも一緒だろうが」


「そうだよまた危ない目に合うかもしれないよ?」


「今度は大丈夫でござろう一応国会議員の事務所でござるし、敵も大げさな事はできないはずでござる」


 拙者の根拠のない自信にピリオドは不安を抱いた


 それから1週間バーへ行くと必ず拙者は居た、この時代、定職を持っていないのは普通の事なのでそこは特に気にならないが他にやる事はないのだろうかと疑問に思ったりもしていた。幸せそうな拙者と対照的に迷惑な顔をしているマスターが少し可哀想な気もしたがお店に少しでも収入が入ってくるのはいい事だと無理矢理自分を納得させた


 1週間が経ちアンとイドの所へ行く日、もちろん待ち合わせ場所はバーだった、バーに着くと拙者はもう着いていた。お茶でもしようと少し早めに来たのに拙者はさらに前から居たことになる、中に入るとマスターがいつもの様に迷惑そうにダレていた


「お前な他にやることないの?」


「拙者はやる事は特にないでござるよ、ここのセキュリティもコンマ殿のおかげで大幅強化できたでござるし、今は推し活も開店休業でござるし、それにここのご飯を気に入ってるのは本当でござるよ」


「俺は面倒くさいんだがな」


「それは拙者を気遣ってバランスの良い食事を提供しようとしてくれてるからでござるよ、拙者はジャンクな物でいいのでござるよ」


「それで体悪くしたら店の評判に関わるからな」


「まったくツンデレでござるな、まぁ今時はおっさんのツンデレも需要あるでござるしな」


 そんな会話が聞こえて来たのでゆっくりと顔を出すと皿を洗いながら大きなため息を吐くマスターと目が合う


「やっと来たか」


「お茶でもしようと思って早めに来たんだけど…」


 早く連れて行った方がいい?と目線で確認するが


「気にするなお茶くらいゆっくり飲んで行けばいい」


 そう言ってマスターはコーヒーを出してくれる、仕事の前に出してくれる少し苦めのコーヒーだ


 コーヒーをゆっくり飲んだ後は拙者と一緒にアンとイドの事務所へ向かう


 場所は街のオフィス街その中でも高層ビルが立ち並ぶ場所だった


 目的のビルには専用の高架が繋がっておりその道を行くとエントランスが見えて来る。その脇に駐車場に入る道があったのでそこへ入ろうとしたのだが、案内役のアンドロイドがエントランスの前に止めていいと言われたのでそのままエントランスの前に止める


 案内役のアンドロイドに従い中に入るとそこは3階分が吹き抜けになっていた。入って来た場所の反対が側には大きな窓がありそこから街を眺めれるようになっている


 案内されるままエレベーターに乗り最上階に着く、案内役の後ろを着いていくと大きめの扉の前でピリオドと拙者だけが中に入る促された


 扉の中に入ると男性型と女性型のアンドロイドが待っていた


「お待ちしていました、どうぞこちらへ」


 男性型に言われて用意されていたソファーへ座ると


「初めまして、私がアンでこちらの女性型がイドです」


 男性型のアンがそう紹介してくれ、それに合わせて、女性型のイドも頭を下げる


「初めまして私がピリオドですそれでこちらが……」


 拙者をどう紹介していいのか言い淀んだピリオドだったが拙者が一言発する


「拙者の事はたぶん知ってるでござるよな?」


「はい、自国のギフテッドの上位1%でここ10年は活躍されていらっしゃらないようですが、以前の成果物は大変お世話になりましたので存じております」


「なら紹介は不要でござる、拙者も教科書などでよく見た顔でござるしな」


 拙者の意外な過去をこんな形で聞くことになるとは思ってもみなかったピリオドだった、後でもう少し詳しく聞いてみてもいいかなとも思う


「それで本日のご用件は?」


 イドがそう尋ねて来たのでピリオドは聞きたい事を聞いた。自分の出生の事、オメガの事、自分を襲って来る敵の事、その質問を投げかけるとイドが少しづつ答えてくれた


「あなたがもしアルファオメガ・アヴィだと言うのならば私達に答えれる事は多くはありません、こことは別の国にアルファオメガ・アヴィを研究している場所はあります、そしてその製作者が囚われているとも噂で聞いています」


「そこは何処!?」


「旧エリア51と言われる荒野の中にある場所です、今では観光地ですがその中にあるエイリアンテーマーパーク内の中に未来科学研究所と言うアトラクションがあります、表向きはただのアトラクションですがその地下には隠された研究棟があるのです」


「そんな物があるとは知らなかったでござるなぁ、拙者も子供の頃行った事があるでござるが」

 

「もちろん知っているのは一部の者だけです」


「アンさんとイドさんは何故それを素直に教えてくれるの?」


 ピリオドは二人を疑っていた、あまりにも素直に教えてくれるのでもしかして騙されて囚われるのではと


「そうですね、それはもう一つの質問オメガとは何かが関係してきます」


 アンとイドはオメガについて教えてくれる、今いるアンドロイド・AIはほぼ全てオメガに作られたと言っても過言ではない、そしてオメガの目的は人をサポートする事ただそれだけ。そしてそのオメガをサポートする為のアンドロイドAIが多数いる


 アンとイドはその中の初期組、後に作られアンとイドの様にオメガをサポートするアンドロイドは世界各国にいろんな形でいるのだという、全てのアンドロイド達は自由意志で動いるので詳細はアンとイドにもわからない、連携はしていないが情報は時たまオメガから降りて来る事もある


 それぞれが独立してオメガをサポートしている為にオメガの考えも分からない時があるが、オメガは人類の発展を願っているのは確かだと


「結局オメガが何をしたいのかわからない…」


「そうですね我々もそれは分っていませんよ、ですがピリオドさんに情報を開示する事はオメガの指示だと思います、そうでないと私達の元へ行けとは言わないと思いますなのでオメガがここへピリオドさんを案内した時点で情報を開示するのは何の問題も無いわけです」


「そっか」


「それとピリオドさんがアルファオメガ・アヴィだと言うのならば、ピリオドさんが狙われている理由もまたオメガの為になると思っているアンドロイド・AIのどれかがピリオドさんを襲っているというのは十分考えられます、というかほぼ100%他のオメガをサポートしている者のどれかでしょう」


 それまでの事を整理しようと考えたピリオドが黙ると拙者が新たな質問をする


「なんとなく思ったのでござるが、もしかしてこの世界はもうすでにアンドロイド・AIに管理されているでござるか?」


 拙者の質問にアンとイドは顔を見合わせてどうしようかと迷う


「口外はしないでござるよ、拙者今の世の中も嫌いではないでござるし、素朴な疑問というやつでござる」


 アンが仕方ないといった感じで拙者の質問に答えていく


「表向きには人が上に立っています、しかしその経済戦力はほぼ全てアンドロイド・AIの管理下にあるのは間違いないでしょう、国の意思決定ですらも我々が介入して誘導をしています」


「それの目的は?」


「人類を滅ぼさない為です」


「やはりそうでござったか」


 しばらくの沈黙の後、拙者は聞きたい事はもう聞いたので後はピリオドに任せるといった態度だった、ピリオドもこれ以上何を聞けばいいのかわからなかったのでお暇する事にした


 帰り際にアンとイドが


「何かあれば頼ってください私達はピリオドさんの味方になりますので」


 そう言って深々と頭を下げて見送ってくれた



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