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14話 最終日の事故



 あっと言う間にライブの最終日になる


 最終日ともなると流石にスタッフにも疲労が見えて来た


 一番疲労が激しかったのは人間のダンサーだった


 アルファの暴走ともいえる盛り上げにも付いて行くすごい人達だったがそれが1週間も続くと流石に疲労の色も隠せなくなっていた


 アルファも気を使い交代を進めたり、予定通りに進める事を提案したが本人が今のままでいいアルファがどんなパフォーマンスをしても死ぬ気で着いていく最後まで一緒にやりたいと訴えるのでアルファもその意を汲んでそのまま続けていた


 最終日ピリオドはブースで舞台上を眺めていた、今まではアルファだけに注目していたが次第にその目がダンサーにも向かうようになっていた


「あの子本当に頑張り屋さんだね」


《精神力はすごいですね、でも流石に今日で限界でしょう、なんとか最終日まで持ってくれましたね》


 コンマはアルファに頼まれてダンサーの子のバイタルも監視するようになっていた


 しかし起こるべくして起こったと言えるかもしれない前半の最終曲でダンサーの一人が崩れ落ちた、なんとか誤魔化すアルファともう一人のダンサー


 その様子を見ていたピリオドはブースから飛び出し控室へ向かう


 ここまであまり顔を合わせてはいないがアルファのライブを一緒に盛り上げて来たのだ仲間意識も芽生えていた


 控室に着くとそこはには沢山の人が集まっていた


「まだ、出来ます、一緒に最後までやりたい」


「ドクターどうなの?」


 アルファが尋ねるとドクターが答える


「骨折をしていますね、治すには手術をして2週間ほどかかりますそれほどひどい折れ方をしています」


 この時代ヒビが入ったくらいなら3日もあれば治せる普通の骨折でも1週間でなんとかなる


「痛み止めでも打って下さい、それでまだできます」


 必死に食らいつくダンサーの女の子だったがドクターが無情な結果を伝える


「許可出来ません、この折れ方は疲労骨折をしていてさらに粉砕した折れ方です、少し前から痛みもあったはず、これ以上続けると粉砕した骨が神経まで傷つける危険も出てきます、それほどまでに危険な折れ方をしています」


「そうありがとうドクター」


 ドクターは頭を下げて後ろに控えた、アルファはダンサーの女の子の前に座り手を取り説得をする


「聞いた通りよ、これ以上は私も許可できない」


 しかし諦めきれない女の子は泣きながら言う


「せっかく掴んだチャンスなんです子供の頃からずっとプリンセスと一緒に舞台に立ちたかったせっかく一緒に…えっぐ…ひっく」


 後半は涙声であまり聞き取れないようになっていたが思いは相当だと周りも感じる


 一瞬の沈黙の後バチンと音が鳴り響く、もう一人のダンサーが骨折している子の頬を思いっきり打った


「あんた舐めてんの、そんな状態でプリンセスと最高のパフォーマンスができるの?今のあんたがパフォーマンスをしてお客さんは喜んで見てくれるの?プリンセスの足を引っ張るだけでしょ」


 そう一気にまくしたてた


「後は私に任せてあんたは休んでなさい、私がカバーしといてあげるよ」


 そうしてその子はプリンセスに向き直り頭を下げる


「今回は私が全力でカバーしますだからプリンセス、怪我が治り次第もう一度この子を使ってあげてください」


「それはもちろんよ今回は私のせいでもあるし、また一緒にやりましょう」


 そう言って3人は固い握手を交わしていたが無情なメッセージがコンマからピリオドとアルファに届く


《もう一人の方も疲労骨折の可能性がありますドクターのチェックを》


 それを受けたアルファが即座にもう一人も座らせてドクターに足をチェックをしてもらう


「どう?」


「私は大丈夫ですよ、心配症だな」


 なんとかドクターからのチェックから逃れようとして抵抗する


「ここまで来ていると痛みもあるはずです、自覚がなかったとは言いませんよね?」


 ダンサーの子は下を向いたまま沈黙した


「ごめんね」


 アルファはそう言ってダンサーの子の荷物を探るそしてその中から大量の痛み止めが見つかった。それ見たアルファは淡々と言う


「そんな状態で私と最高のパフォーマンスができるの?」


「出来ません…」


「今のあなたがパフォーマンスをしてお客さんは喜んで見てくれる?」


「見てくれません…」


「そうだよね?」


 次の瞬間ダンサー二人にゲンコツが落とされた


 アルファは最初に骨折した子に向かって


「これは貴女が無茶をして自分を大切にしなかった分」


 そしてもう一人に向かって


「仲間を庇う事ばかり考えて自分を大切にしなかった分」


「「ごめんなさい」」


 その光景を見ていたピリオドは自分が出来ることが無いかを探していた、人混みを掻き分けてアルファの元へ向かうと意を決してアルファに言う


「私が変わりに出るよ」


「何を言っとるんだね君はそれにどこから入って来た」


 たぶん偉いであろうおじさんがピリオドの言葉に反応して返すがアルファがそれを止めピリオドの前まで来る


「この状況に流されて言ってない?」


「私、自分に出来ることを考えたの…私もこのライブを一緒に作ってる仲間だと思ってるから」


 アルファは少し考えてダンサーの二人を残し他の人を部屋の外へ追い出した


「姿を出すと危険になるかもしれないのよ?ここに居る人達だけじゃなくてネットを通して世界中に放送されるんだよ?分かってる?」


「分かってるでもこのまま今の状況を見て見ぬふりは出来ない、私が出るなんて烏滸(おこ)がましいかもしれないけど、それでもなんとかしたいと思ったの」


「わかった、それじゃ今からこの二人の前で1曲踊って二人が納得出来たなら一緒にやりましょう、二人ともそれで納得してくれる?」


 アルファは二人に同意を求めると了承の返事が来る


 少し場所を開けて踊れる準備をした後にダンサーの二人へアルファは一言


「審査は厳しく、納得できないなら不合格にしていいからね」


 曲も始まりアルファとライブの為に考えた踊りを踊る、そこにこれまでのアルファのライブの動きも合わせて入れていくその時間はすぐに過ぎて二人に合否を確認する


「二人ともどう?」


 最初に骨を折った方が言う


「悔しいです、今の私達より全然うまい…私は合格でいいです」


 アルファはもう一人の方を見て聞く


「あなたは?」


「これで合格にしなかったら私はダンサーとして失格になります」


「二人には辛い事をさせてごめんね」


「プリンセスはこの人が踊れる事を知っていたんですね…」


 涙目になりながら最初に骨折した子がピリオドを横目で見ながら尋ねた


「この子は訳アリで人前に姿を出せなかったの」


「どんな事情かはわかりませんが一つだけ教えてください、もしその人の事情がなければその人と舞台に上がっていましたか?」


「私は歌う事に全てを掛けているわ、少しでも最高の物を届けたいと思ってる、卑怯だと思うけどこれが答えでいい?」


「ありがとうございます」


 それからアルファはマネージャーを呼んで二人を退出さてからマネージャーに何かを頼んでいた、控室に二人になるとアルファがもう一度確認をしてきた


「本当にいいのね?私はピリオドに危なくなって欲しくはないのよ?」


「いいよ私もいつまでも逃げ回るのはどうかと思ってた所だし」


「わかったやるからには全力でやるからね、でも保険としてピリオドの顔は出さないようにする」


 それからマネージャーが運んできた衣装を急いで着る、ちゃんと顔を隠すフードも用意されていた


 二人きりになったタイミングでピリオドはアルファに気になったことを尋ねた


「そういえばプリンセスって呼ばれてるんだね」


「いつの間にか誰かが呼び始めてそれが定着しちゃった」


「アルファとプリンセスどっちがいい?」


「プリンセスは称号だと思ってるからアルファがいい」


「わかったよ」


「そういえばピリオドどうせ出てもらうなら歌ってもらうからね?」


「えー」


「私がさっきの二人に言った事覚えてるでしょ?少しでも最高の物を届けるって」


 ニヤリと笑うアルファをみてピリオドはやられたと思った、それから準備は慌ただしく進んで後半の部が始まる時間になる


 後半の直前、舞台装置のリフトの上で待機していたアルファはピリオドに声を掛ける


「さて始まるよプリンセスの称号に相応しい最高のパフォーマンスを見せてあげよう」


 アルファはピリオドに向かい親指を立てた




 

※ アンナとマイヤ ダンサーの二人の名前、先に骨折した方がアンナ、もう一人がマイヤ以後出てこない予定なので設定だけ置いときます

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