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13話 ライブ初日



 休日を楽しんでから1週間あれからアルファに休みは無かった、毎日の打ち合わせであっという間にライブ本番の日になった


 会場は最近出来た総合スタジアム、売りは動く客席、各階がゆっくりと回転しながらブロックに分けられた客席が上下と伸び縮みする構造になっていた


 キャパシティは12万人もあるがそれでも入れなかった客が漏れ出る音を少しでも聞こうと周辺に集まる、アルファのライブでは恒例でそれ用に会場周辺にモニターと屋台が設置されるのも毎回の事だった


 ピリオドはバイクで会場に向かう途中で会場のかなり手前から行列の横の通る、その人の多さに眩暈がしてきそうになる

 交通規制もされており一大イベントなのが分かる、規制されている道で警備している人に関係者パスを見せ進んで行くと会場の裏口からバイクのまま入った


 会場に入るとその裏方でも人とアンドロイドでごった返していた


 顔だけ出そうとアルファの控室に向かう途中に見たものは慌ただしく走るスタッフに、大部屋に綺麗に整列していたアンドロイド、パッと見ただけでもその数は100を超える、大声をあげている人もいる、その人達が全てやる気に満ち溢れた顔をしていた



 そんな中、小さくなりながらアルファの控室に着くと、アルファの周りには多くの人が集まっていた、アルファの顔つきは引き締まっておりライブへの意気込みが伝わる


 ピリオドが声をかけようか迷っているとアルファが気づく


「みんなごめんちょっと打ち合わせ」


 そう言って周りの人を下がらせるとピリオドを中に呼ぶ


 最後の一人が出て行くのを見送った後、ふにゃふにゃになったアルファがソファに倒れ込む。そこには今までの凛々しい顔はなかった


「皆を鼓舞する為とは言えずっと気を張った顔しとくのは疲れるー」


「100年歌姫がどっか行って変わりにアルファが現れた…」


「両方私ですー」


 ソファに寝転がり全身の力が抜けてだらんとしたアルファはとても今からライブがあるとは思えないほどのリラックス具合だ


「いつも以上に気が抜けてる気がする」


「100年以上やってれば慣れもするよ」


「そんな規模じゃないと思うんだけど」


「規模の大小はあんまり関係ないかな出来ることはもうやってるし、それよりピリオドの方が緊張してるんじゃない?」


「流石にこの規模を目の当たりすると緊張もするよ」


「ピリオドの仕事は終わってるでしょ、これから大変なのはコンマだよねー」


 ピリオドが持つコンマを寝たまま一撫でしていうとコンマからのメッセージが返ってくる


《私は楽しみですよ私がアルファ先輩を今まで以上に輝かせてみせますよ》


 アルファはニッコリとした表情になった


「それじゃ、私はもう行くねあんまり長居するのも悪いしね」


 そう言って扉に向かうと腕を掴まれる


「行かないでー、ピリオドが居ると謎の演出家との極秘打ち合わせって事で人が遠慮してくれるから、私にとっては気を抜いてもいい時間なのもう少し居てー」


「謎の演出家って…私そんな設定になってたの?」


「その方が人が寄ってこないでしょ技術も極秘だから本番まで秘密って事にしてるし」


「なんだかすごいプレッシャーがかかったんですけど、リハーサルもしてないのに」


「大丈夫たぶん問題ないと思うよ。私とコンマでそこは完璧にしてあるから」


《バッチリですよ》


 自分はやる事がないのはわかっているが能天気に見える二人に更にプレッシャーを感じる


 部屋がノックされてマネージャーらしき人がアルファを迎えにくるとさすがにアルファも諦めたらしく大人しく別の場所向かった


 ピリオドは指示された場所へ向う。ブースに着くと扉には演出関係者以外立ち入り禁止と厳重に書かれた文字が浮かび上がる


 やり過だと思いながらピリオドは扉をくぐった


 ブースは舞台を見下ろせる位置にあり会場も見渡せるようになっていた、コンマをセットするとブースが動き出す、いきなりの事に驚いたピリオドは咄嗟に聞く


「コンマ何かした?」


《ブースが動かせるので会場を一周してみようと思って動かしました、そのうち先輩も立つ事になるかもしれない場所なんですからしっかり見ててくださいね》


 アルファとコンマが変に意気投合するのも困りものだと思う。会場には興味があるのでブースの窓から客席と舞台を眺める


 会場は半円状になっており天井までびっしりと客席がつまっていた一番下は舞台を少し見上げる形になるが舞台の下にもモニターが設置されており舞台とモニター両方で楽しめるように設計されている


 それを見てピリオドは自分の友達は本当に大スターなのだと再認識する。普段のアルファからは想像ができない


 色々な思いを胸にピリオドは開演時間になるまでぼーっとするしかなかった。いくらピリオドが緊張した所でやるのはコンマとアルファだ、少し蚊帳の外な気がして寂しい気もする


 入場が始まり客が入ってくる、その客が増えるにつれて観客の熱気も上がって行く、舞台のモニターにはこれまでのアルファの活躍とスポンサーの映像が流れていくそのスポンサーの映像もメインはアルファだった


 改めてアルファの凄さを実感していると辺りが暗くなりライブの開始が告げられた


 ライブ時間は合計4時間、前後半で2時間ずつ間には1時間の休憩が入る


 ライブが始まると最初は観客を盛り上げるための勢いのある曲から始まる、演出もコンマが上手くやってくれているのでピリオドの緊張は解けた、後はアルファのライブをただ楽しむだけになっていた


 楽しい事をしている時の時間が経つのは早い物であっと言う間に前半の最後の曲になっていた


 最後の曲を見ているとピリオドは気づくアルファが予定と違う事をやっていたのだ、もちろんそれは予定していたものよりその場を圧倒的に盛り上げていた


 曲も終わり前後半の休憩に入る、休憩中に流れている映像も観客を飽きさせない為に様々なアルファが見れるようになっていた


 中にはピリオドが見たアルファの練習風景とそして何より驚いたのはアルファの休日の夜に防波堤灯台で歌っていたアルファが映っていた、月をバックに見えるアルファはとても綺麗だった


 もちろんそんな映像を用意できる犯人はココにしかいない、目の前の球体を見つめる


「コンマ?やったね?」


《謎の敏腕演出家ですから》


 コンマの実力を改めて評価したのとそれが悔しかったピリオドは少し落ち込む、私はアルファの為に何かできているのだろうかと


 そんな事を考えていると扉が開く、ここに入ってこれるのは公演中はアルファとピリオドのみになっていたはずだ


「疲れたー」


 そういいながら飛び込んで来たのはアルファだった


「アルファどうしたの?」


「どうしたのも何も今休憩中だからピリオド成分を補充しに来たの」


 そう言ってピリオドを抱きしめた


「というかコンマと二人でなんか色々やっているようで…」


「嫉妬しちゃった?」


 うりうりとピリオドの頬を突く


「大丈夫映像にはピリオドは映ってないし、ピリオドとの思い出を出すのはちょっと気が引けたけどね。コンマが猛プッシュして来たから折れちゃった」


「といことは元凶はコンマか、犯人のコンマさん何か弁明は?」


 コンマに手を置いてピリオドは凄んでみたが


《私は私に出来ることをやったまでですよ》


 さらりと流された


「そういえばコンマ最後の曲よく着いてこれたね」


 アルファがコンマを撫でながら言っていた


《途中からうずうずしていたようなので準備はしていました》


「ごめんねテンション上がちゃってさ、今まで同時で演出もしてたからその分考えなくてよくなったから本気でやってみた」


「最後の曲打ち合わせとかなかったんだ」


 コンマの高スペック具合をこういう所で再確認させられるとは思っていなかったピリオドだった


 束の間の休息も終わりアルファは舞台袖へ帰って行くと後半が始まった


 後半は前半で味をしめたアルファがコンマに無茶ぶりをするよう自由に動き回りにさらに会場は盛り上がった


 ライブ初日は大盛況の内に終わりを向かえた


 そして休憩時間にはアルファがブースに来るのが恒例になっていた


 日が経つにつれアルファの行動もあり今回のライブはすごいという噂も流れ謎の演出家にも注目が集まるがそこはアルファが上手くはぐらかしてくれた


 そしてライブはあっと言う間に最終日を迎える



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