表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/76

第1章 第5話 起床戦線

 朝。それは人間が最も油断する時間帯である。言い換えれば一番危険だということ。



 俺が起きる前に、ベッドに忍び込まれたらアウト。カーテンを開けて着替え中に出くわしても厳しいだろう。いや、もっと前。深夜に仕組まれたらどうしようもない。だから。



「……よし」



 俺はイヤホンをつけたまま就寝。朝5時に目覚ましをかけ、瑠奈の襲撃に備えることにした。が、



「……来ない」



 6時になっても、7時になっても起きてこない。顔洗ったり、着替えたりと物音を立てても仕掛けてこなかった。



 となると考えられるのは、起こしに来た俺を狙っての撮影。上のベッドのカーテンを開けたらスマホが俺を狙っている。というのが考えられる。



 その手は食わないぞ。対処は簡単。奴がベッドからおりてくるまで待っているだけでいい。が、それでも。



「……もう9時だぞ」



 いつまで経っても起きてこない。今日は授業はなく、先輩が学校案内する日だから起きなくてもいいのだが、さすがにそろそろ朝ごはんが食べたい。



 いつもだったら冷蔵庫にストックがあるのだが……先輩に持っていかれた今、この部屋に食糧はない。だから食べにいかなきゃいけないのに。



「瑠奈! 起きろっ! 朝だぞ!」



 こうなったら仕方ない。俺は下から瑠奈に声をかけた。



「ふわぁい……」



 すると力ない返事が返ってきた。普通に寝てた……? いや油断はできない。



「アイマスクつけてるからな。なにしても無駄だぞ」



 ここで裸に近い格好で来られたら困る。だから対策は完璧だ。



「…………」

「……瑠奈?」



 梯子が軋む音がし、隣を通り過ぎた感じがしたが特に何もない。普通に朝に弱いだけか……?



「えー、と……」

「……おはようございますぅ……」



 妙な感じがしてアイマスクを外すと、瑠奈はすぐ隣で目を擦っていた。てっきり裸ワイシャツとかで攻めてくるかと思っていたが、白シャツとショーパンといういたって普通の部屋着。肌の露出は多いが、正直肩透かしだ。いや期待していたわけじゃないけど。そして何より……。



「メガネ……なんだ」

「ふゎい……。ちょっと目が悪いので……」



 縁がピンク色の丸メガネ……。なんかおしゃれぶって大きいことは気になるが、すごいギャップを感じて、なんか……こう……。



「早く顔洗ってこい。朝飯食いに行くぞ」

「はぁい……」



 少し、照れる……。



「……あ、それと結構ベッド軋むし……音も漏れるから。するなら風呂場とかにしとけよ。俺そっち行かないから」

「……? なんのことですかぁ……?」


「いやエチケットの話でさ……」

「…………。……ふわぁっ!? ちがっ、ちがいますからねっ!?」


「あーうんわかった。とりあえず着替え、早くしろよ」

「あーもうほんとむかつく! ほんと最低っ! デリカシーなし男っ! 退学退学退学退学退学っ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ