第1章 第14話 仲間
「あのね、瑠奈ちゃん。あたし結構人のこと見てるから。言ってる意味、わかるね?」
「……はい」
全部、ばれていた。あたしが猫をかぶってること。せんぱいを退学させようとしていること。
せんぱいがそんなことを相談するわけがない。自発的に動くほど……せんぱいは大切に思われてるってことだ。
「あたしと八雲は友だちじゃない。それでも色々助けられたし、色々助けたし。そんな1年間を一緒に過ごしてきた仲だからさ。八雲が嫌な目に遭うのは嫌なわけよ。あの陰キャ、人の気持ち全然わかんないから大変だけど」
そうだ。せんぱいにだって、積み上げた1年の関係がある。せんぱいを退学させるということは、せんぱいだけの問題じゃないのに。
……いや。そんなこと、言われなくてもわかっていた。無視していたんだ。所詮、自分より格下の人間だって見下していたから。
「まぁちょっと脅かしちゃったけどさ、そんな気にしなくていいと思うよ。今の八雲は花音さんにしてもらったことを後輩にもしようとしてる後輩第一人間だから。でも理不尽なことしたら……どうなるかわからないよ? 1年間一緒にいたけど八雲の思考回路なんて全然わかんないから。最悪殺されちゃうかもね。冗談じゃなく」
「はい……そうですね」
あぁそういえばそんな問題も残ってた……。せんぱい……そんな、強かったんだ……。そんな人にわたし……めちゃくちゃ喧嘩売ってた……。やばい……やばいかもしれない……。
「ごめんごめん、また脅かしちゃった。大丈夫だって。八雲優しいから。瑠奈ちゃんもわかってるでしょ?」
「……はい」
せんぱいは優しい。そんなことはとっくにわかっている。
「とりあえず一度謝ってきたら? 嫌いな人だったとしても、悪いことしたら謝るべきだと思うな」
「そう……ですね」
せんぱいを退学させる。その気持ちに変わりはない。それがなくなったら、わたしはわたしじゃなくなる気がする。
でも今朝の態度は悪かった。必要以上に罵倒しちゃった。
そのことは謝っておきたいと、心からそう思った。
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