未来
——こうして、悪い召喚士は倒され世界に平和が戻りましたとさ。
「おい、お前まだ、そんな子供騙しの本読んでんのかよ。ダッセーな」
「子供騙しなんかじゃ無いよ! この本はホントにあった事しか書いてないんだから」
休み時間を迎えた教室で二人の少年が言い争っている。
「嘘つけ! その本、鬼とか出てくる奴だろ? 現実にそんなんいるわけ無いじゃん」
「嘘じゃないもん!」
「ああ、はいはい。喧嘩は駄目よ」
そこに、機材を取りに来た教師が現れて二人の喧嘩の仲裁をした。
「だって、雄太が僕の事嘘つきって」
「嘘つきじゃん。ねぇ、先生この本に書いてるのって作り話なんでしょ?」
少年の一人が机の上で開かれた本を指差して聞いた。
「本……? ああ、この本か」
「ねぇ、先生。嘘じゃないよね?」
「そうねぇ。この本はずっと昔の話だから先生にも分からないなぁ」
教師は歯切れ悪く唸った。
「ほらな」
「うぅ……」
本を読んでいた少年は顔を絶望と羞恥に染めた。
「でもね、この話が作り話かは分からないけど二つだけ先生にも本当かどうか分かる事があるわ」
教師は二人の少年を見下ろしつつ言葉を続ける。
「それってどんな事?」
「それはね、私達が今平和に暮らせるのは昔の人達が一杯、頑張ってくれたからって事。そして、その事を考えればどんなに難しい事も出来る気がしてくるって事」
「難しい事って?」
本を読んでいた少年は目元を拭って上目遣いに尋ねる。
「んーん、そうねぇ。例えば……仲直りとか!」
「「え、」」
教師の強引な説教に二人の少年は思わず顔を見合わせた。
「ほら、早くしないと休み時間終わっちゃうわよ? 外で遊んでおいで」
「しょうがねーなあ、ほら太一行くぞ」
「うん!」
二人の少年はボールを取ると校庭に出掛けていった。
教師が換気のために窓を開けると、強い風が吹き込む。その拍子に少年が机に置いていった本のページがパラパラとめくれた。
そして、偶然、あるページが開かれる。しかし教師はそれに気付かず教室を出て行った。誰も居なくなった教室に校庭から届く子供達の声が響いている。
本には六人の少女が描かれていた。
六人は手を繋ぎ、屈託の無い笑顔を浮かべ、自らが勝ち取った平穏を見守り続けるのだった。




