ウソ
私と旦那は話し合いの上、子供を私が引き取り、養育費をもらうことになった。
慰謝料はない。
養育費は十分ではないが、歳をとった母が、離婚の原因に私の浮気があること、家事が増えることを嫌ったため、実家に戻るわけにもいかず、実家近くにアパートを借りた。
実家に子供を預けて彼に会っていたことも母の怒りをかい、もう、実家に子供を預けることもできない。
離婚のゴタゴタで、土曜日に彼に会うこともできず、2ヶ月が過ぎた。
彼には、母の体調が思わしくないと伝えていた。
そして、久しぶりに彼に会う。
彼は、母の体調を気にかけてくれる。
彼と会うために、もう、実家に子供を預けられず、彼と夜を共に過ごせなくなった私は、子供がいて、バツイチでいることを打ち明けた。
そして、彼と出会った時には、すでにバツイチであったとウソをつく。
「お母さんが、体調が悪いのも、ウソだったの?」
「それは、本当。
だから、子供を預けるわけにもいかなくて、会うことが、できなかった。」
ウソを重ねる。
「そう。」
大変な時だからと、彼は、ランチを済ませると、母と子供のためにと早々に帰った。
彼とちゃんと向き合うため、今の自分の正直な姿を彼に見せようと、次の土曜日に、アパートに彼を招待し、子供と共に会う約束をした。
しかし、前日、彼から連絡が入った。
「ゴメン、色々君が言ったことを思い返して、君のことがよくわからなくなってる。
だから、今は子供に会うべきではないと思うんだ。」
「土曜日は保育園に預けられるから、しばらくは2人で会ったほうがいいかな?」
「お母さんは、大丈夫なの?」
「今は、落ち着いているから。」
彼は、少しためらってから言った。
「ゴメン、しばらく距離を置いて、気持ちを整理したい。」
母が病気だと言うことにも、疑いを持っているのだろうか。
彼の気持ちが離れていくように感じた。
「ごめんなさい。
子供がいることを最初に言ったら、付き合うこともできないと思ったから、言えなかった。
時期を見て、言おうと思ってたけど、言う勇気が待てなかったの。」
「せめて、ぼくが、ご両親に挨拶したいっていった時に、言って欲しかった。
ぼくは、誠実に君に接していたから、君のいろんな言動が、ウソだったんだと思うとやりきれなくなるんだ。」
「あなたへの気持ちにウソはないよ。」
「ごめん。君の言葉を素直に受け入れることができない。」
彼に、私の言葉は届かなかった。
「彩華、彼はホントに私のこと好きでいてくれたのかな?
ウソで気持ちが失くなるの?
すごく、心を通わせてたはずなのに、どうして?
好かれるためのウソって、誰でもついてるよね。
子供がいることが嫌なの?
私のこと本気で好きだったら、ウソも受け入れてくれるんじゃないの?」




