第二話 拍手が足りません
翌朝。
「よーし!」
俺は村の広場で立ち上がった。
「まずは能力検証だ!」
昨夜は勢いで誤魔化したが、正直この能力、危険すぎる。
条件が曖昧なまま使うのは怖い。
何人でどの程度の威力が出るのか。
歓声と拍手、どちらが重要なのか。
“盛り上がり”の判定基準は何なのか。
つまり。
「チュートリアルが必要だ」
すると近くでパンを売っていたおばちゃんが言った。
「また爆発させるのかい?」
「しません!」
「昨日、噴水光らせてたじゃないか」
「あれは事故です!」
村人たちは妙にワクワクした顔でこちらを見ていた。
やめろ。
期待するな。
その期待で変なもの出るんだぞ。
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十分後。
広場には村人が集まっていた。
「兄ちゃん、今日は何やるんだ?」
「魔法ショー?」
「狼燃やしたやつ見せてー!」
違う。
事故だから。
しかし、ここで気づく。
「……あれ?」
昨日より人がいる。
しかもみんな、ちょっと楽しみにしている。
もしかして。
これ、条件いいのでは?
俺は咳払いした。
「えー、本日は能力検証を行います」
「おおー!」
拍手。
すると俺の周囲に、
パァッ、と光の粒が浮かんだ。
「うおっ!?」
まだ何もしてないのに!?
村人たちもどよめく。
「おお、綺麗だ!」
「昨日よりすごいぞ!」
パチパチパチ。
さらに拍手が増えた瞬間。
光の粒が突然、
空中で文字を作り始めた。
【本日の演目】
「演目!?」
「ショー扱いなの!?」
しかもその下に、【第一部 火球実験】と表示された。
「勝手に進行するな!」
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「じゃあ火球やってくれ!」
「派手なの!」
「爆発しろー!」
観客のテンションが高い。
完全に祭りの空気である。
俺は少し不安になった。
「えーっと……小さいのいくぞ?」
パチパチパチ!
歓声。
よし。
今だ。
「“万象演武”!」
ボォッ!!
今度は普通に火球が出た。
直径一メートルくらい。
「おおおおお!!」
「すげぇぇぇ!!」
歓声が爆発する。
すると火球も比例するように巨大化した。
「待て待て待て待て!!」
ボォォォォォッ!!
直径三メートル。
「でかくなってる!!」
「もっといけぇぇぇ!!」
「煽るな!!」
火球はどんどん膨らみ、最終的に家くらいのサイズになった。
死ぬ。
村が終わる。
「消えろぉぉぉ!!」
俺が叫ぶと、火球は上空へ飛び――
ドゴォォォン!!
遠くの山で爆発した。
数秒後。
ズズズ……と地鳴りが響く。
広場が静まり返った。
「あ……」
村人全員が、ゆっくり山を見る。
山頂が少し消えていた。
「「「…………」」」
そして。
「うおおおおおおおおお!!」
大歓声。
「兄ちゃんすげぇ!!」
「英雄だ!!」
「もう一回!!」
「やるか!!」
「やらねぇよ!!」
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その頃。
村の外れの街道。
一台の馬車が止まっていた。
「……今、山が吹き飛びませんでした?」
若い女が呆然と呟く。
銀髪。
ローブ姿。
胸元には王国魔術師団の紋章。
「気のせいではないか?」
隣の老魔術師が言った。
しかし彼の額には汗が浮かんでいる。
「いや、魔力反応が異常です。災害級どころじゃありません」
「馬鹿な。この辺境村にそんな術者がいるはず――」
そのとき。
遠くから歓声が聞こえてきた。
『アンコール! アンコール!』
「……何なんですかあの村」
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一方その頃。
「だからアンコール文化を作るな!」
俺は全力で叫んでいた。
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